会社の固定電話の番号は登記事項に含まれていません。そのため固定電話がなくても会社設立は可能です。
しかし、会社設立時に固定電話を取得するケースは多く、会社設立時が固定電話を導入するタイミングとして適しているのも事実です。
ただし、固定電話の導入は手間やコストもかかるため、メリット・デメリットを押さえた上で、自社にとって必要か判断する必要があります。
今回は会社設立時に固定電話を導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。
会社設立の流れや会社設立後の手続きについては、以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
会社設立の際に固定電話は必須ではない
会社の固定電話の番号は法人の登記事項に含まれません。したがって、固定電話がなくても会社設立は可能です。
しかし、会社設立時に固定電話を取得するケースが多いのは事実です。
会社としての固定電話番号があった方が手続きをスムーズに進められる場面も多く存在します。
反対に、固定電話を取得するメリットが自社にとって魅力的ではない場合、固定電話を導入する意味は薄いともいえるでしょう。
実際、固定電話の導入によるデメリットも存在します。
必要ないのに会社設立時に固定電話を導入しても、メリットを享受できず負担だけが増えてしまう場合もあります。
会社設立時に固定電話を取得するメリットとデメリットの両方を確認した上で、自社で導入するべきか検討しましょう。
会社設立時に固定電話を取得するメリット
会社設立時に固定電話を取得するメリットを5つ紹介します。
信用を得やすくなる
会社で固定電話を導入する大きなメリットの1つが、信用を得やすくなることです。
固定電話がある方が信用を得やすい理由として、以下の3つが挙げられます。
- ・本当に存在する会社であることを証明する証拠の1つになる
- ・携帯電話に比べて番号の変更や解約の手間がかかる分、途中で連絡がつかなくなるリスクが小さい
- ・携帯電話を使った詐欺の存在により、仕事で携帯電話のみを使うケースは警戒されやすい
会社としての事業活動では、信頼度を高めること・不信感を持たせないことが非常に重要です。
信用度を重視する、あるいは事業活動をより円滑に進めたい場合、固定電話はほぼ必須といえるでしょう。
手続きがスムーズに進む場面が多くなる
固定電話の導入は必須ではありませんが、会社設立後、固定電話があった方がスムーズな手続きができる場面が多いのは事実です。
前項で紹介したように、固定電話は会社の信用度につながる要素の1つといえます。
厳密には「固定電話がないと不信感を持たれる恐れがある」の方が近いと考えられます。
固定電話を導入し不信感を持たれる要素をなくすことで、取引先の確保や顧客の獲得等がスムーズに進む可能性が高まるでしょう。
また、融資の申し込みや法人用クレジットカードの作成時など、固定電話の存在が必須の場面も存在します。
固定電話がない場合、融資等の申し込みを検討したタイミングで急ぎ固定電話の手配が必要になってしまいます。
必須項目ではない場合でも、固定電話の有無が審査に影響を与える可能性が高いです。
公私の電話を明確に区別できる
公私の電話を明確に区別できるようになる点もメリットの1つです。
固定電話がない場合、個人の電話番号で会社関係の電話対応をする必要があります。
連絡先の管理や通信料の計算など、電話関連での手間が大きくなってしまいます。
公私ともに同じ携帯電話を使って電話対応をする場合、気持ちの面で公私の切り替えがしにくくなる恐れもあります。
経営者という立場上、仕事とプライベートを区別するのが難しいケースも多いでしょう。
だからこそ、固定電話のような公私の区別につながる要素を導入するメリットは大きいといえます。
個人の電話番号を公開する必要がなくなる
会社の固定電話の番号があれば、会社のホームページや名刺等に個人の電話番号を載せる必要がなくなります。
個人の電話番号に営業電話がかかってきたり、個人の電話番号が流出・悪用されるリスクを抑えられる点は大きなメリットです。
実際のところ、会社のホームページや名刺に電話番号を載せるのは必須ではありません。
しかし、電話番号を載せた方が連絡を受けやすくなり、仕事のチャンスが広がる可能性もあります。
公に電話番号を載せるのが理想ではありますが、個人の番号を載せるのはリスクが高いのも事実です。
個人情報を保護しながらも会社で電話を受けやすくする方法として、固定電話の導入が最も確実といえます。
電話番号管理の手間を抑えられる
固定電話を取得することで、電話番号の管理にかかる手間を抑えられます。
個人の電話番号は法人用に比べ、電話番号を変える必要のある場面が起こりやすいです。
キャリア乗り換えのような理由だけでなく、トラブルに巻き込まれて連絡先を変えるという事態も想定されます。
個人と会社で使う電話番号が同じ場合、何らかの理由で個人の電話番号を変える必要が生じた際に会社の電話番号も変えることになります。
個人の電話番号の変更が、そのまま会社関連の手間の増大につながってしまうのです。
最初から会社の電話番号を用意しておくことで、将来の手間を抑える効果が期待できます。
会社設立時に固定電話を取得するデメリット
固定電話の取得には多数のメリットがありますが、デメリットもゼロではありません。
固定電話を取得するデメリットを3つ紹介します。
手間やコストがかかる
固定電話取得の大きなデメリットが、手間やコストがかかることです。
固定電話を取得するまでには、電話会社の決定や電話機選び、業者とのやり取り等の様々な作業が必要となります。
会社設立や開業準備で忙しい時期に電話関連の作業が加わると、負担が重くなる恐れがあります。
また、固定電話の取得に際しては、電話機の購入や配線工事費等のコストが発生します。
取得時だけでなく、その後のランニングコストも決して小さくはありません。
個人の携帯電話で対応する場合に比べると、どうしても費用が高くなってしまいます。
オフィスの移転時の手間が大きくなる
オフィスの移転時の手間が大きくなる点も、固定電話を取得するデメリットです。
会社に固定電話がある場合、オフィス移転時に固定電話関連の作業が必要になります。
固定電話の取得時とは違い、電話機の撤去や配線に係る原状回復工事など、より大掛かりな作業が必要なケースがあります。
移転後はまた改めて電話機の設置や配線工事が必要になります。移転によって市区町村が変わる場合、電話番号の変更も必要です。
「オフィスの移転を考え始めたけれど、必要な手続きを考えるとデメリットの方が大きいかもしれない」「手間やコストがかかるし、オフィス移転はしばらく保留にしよう」
このような考えからオフィス移転を保留にした結果、規模拡大や組織変更などが後回しになってしまうケースもあります。
固定電話に限らず、オフィスに属する備品や機能は、オフィス移転の足かせになる恐れがあるのです。
電話応対ができるよう出社する必要がある
会社に固定電話がある場合、電話応対は当然会社で行うことになります。
つまり、電話応対のためには会社に出社する必要があるのです。
経営者がオフィスにいない時間が長い場合、電話要員の配置が必要になります。
近年はテレワーク普及に向けた動きが活発ですが、固定電話の導入は出社を促し、テレワークを阻む要素になってしまうでしょう。
まとめ
会社設立に際して、固定電話の取得が必須なわけではありません。固定電話がなくても会社設立が可能です。
しかし、固定電話の取得には信用を得やすくなる・手続きがスムーズに進みやすくなる等、様々なメリットがあります。
会社設立時に固定電話を取得することで、将来プラスに働く可能性が高いです。
ただし、会社設立の目的や事業計画によっては、紹介したメリットに魅力を感じないケースもあるでしょう。
「固定電話があった方が良さそう」というイメージだけで取得してしまうと、メリットを享受できず損となる恐れがあります。
メリット・デメリットの両方を把握した上で、会社設立時に固定電話を取得するか検討しましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士