会社設立直後は消費税が免除される?事業者免税点制度について解説!

2023.09.17

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法人に課せられる税金の中でも、特にインパクトが大きいものとして法人税と消費税が挙げられます。

法人税はすべての法人が対象であり、会社設立直後であっても利益が出ていれば課税されます。

一方、消費税には免税要件が定められており、会社設立直後は消費税免除の対象となる可能性が高いです。

とはいえ、設立直後の会社すべてが消費税免除になるわけではないため、免税要件について確認する必要があります。

 

本記事では設立直後の会社が消費税の免除対象となりやすい理由や、消費税の免税要件について詳しく解説します。

 

本記事でも詳しく解説しますが、消費税が免除されるか否かは資本金の額によって変わります。

会社設立時の資本金の決め方について以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

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CONTENTS

会社設立直後は消費税免除になる?

消費税は一定の要件を満たすことで納税義務が免除されます。

設立したばかりの会社は消費税の免除要件を満たすことがほとんどです。

とはいえ、すべての会社が必ずしも消費税免除になるわけではありません。

この章では消費税が免除される条件について詳しく解説します。

資本金が1,000万円未満であれば消費税免除の対象

設立時の資本金が1,000万円未満であれば、設立1期目は必ず消費税の免除対象となります。

そのため、税負担を最小限に抑えたい・初年度の消費税をゼロにしたい場合、設立時資本金を1,000万円未満にするのが効果的です。

 

資本金1,000万円以上の場合、後述する要件に関係なく必ず消費税の納付義務が生じます。

設立2期目も消費税免除を受けるための要件

前提として、以下のいずれかに該当する場合は消費税の納税義務が免除されます。

  • ・基準期間における課税売上高が1,000万円以下
  • ・基準期間における給与の支払額が1,000万円以下

法人の場合、前々事業年度(2年前)が基準期間に該当します。

すなわち前々事業年度の課税売上高、もしくは前々事業年度の給与支払額が1,000万円以下であれば消費税の納税義務が免除されます。

そして、設立2期目の時点では基準期間が存在しません。そのため多くの場合は2期目も消費税免除となります。

 

ただし、特定期間における課税売上高および給与支払額が1,000万円を超える場合、対象の課税期間から課税事業者になります。

法人の特定期間は、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間です。

前事業年度の上半期と考えて良いでしょう。

つまり、設立2年目の会社でも初年度上半期の売上が大きい場合は消費税の納付義務が発生する可能性があります。

 

なお、特定期間における1,000万円の判定は基本的に課税売上高で行いますが、課税売上高ではなく給与支払額に代えることも可能です。

特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与支払額が1,000万円以下であれば消費税の免除要件を満たすと判断されます。

 

設立2期目も消費税免除を受けるためには、特定期間の課税売上高または給与支払額を1,000万円以下に抑える必要があります。

設立初年度の上半期で課税売上高と給与支払額の両方が1,000万円を超えてしまえば、設立2期目から消費税の課税事業者になってしまうため注意しましょう。

消費税免除を受けるための手続きとは

設立したばかりの会社が消費税免除を受けるために必要な手続きは特にありません。

消費税の申告義務自体がないため、特に手続きをせずとも自然に消費税免除を受けられます。

会社設立直後の消費税免除 インボイス制度による影響

前章で紹介したように、設立時の資本金が1,000万円未満であれば、設立1期目の会社に消費税の納付義務は発生しません。

必要な手続きは特になく、自然に消費税免除が適用されます。

 

しかし、インボイス制度の導入に伴い、会社設立直後の消費税免除に影響が出る可能性が考えられます。

免除要件そのものに変更はありませんが、消費税の免税事業者でいることでデメリットが生じる恐れがあるのです。

 

インボイス制度の導入によって生じる影響について詳しく解説します。

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度とは、2023年10月1日に施行開始が予定されている消費税の仕入税額控除の方式です。

 

前提として、納付する消費税額は以下いずれかの方法で計算します。

 

  • 原則課税
  • 売上にかかる消費税(受け取った消費税)と、仕入や経費にかかる消費税(支払った消費税)の差額を納付額とする方法です。
  •  
  • 簡易課税
  • 売上にかかる消費税に所定の割合(みなし仕入率)を乗じた金額を、支払った消費税の額とみなす方法です。
  • 売上にかかる消費税-売上にかかる消費税×みなし仕入率が納付税額となります。

 

このように売上にかかる消費税から支払った消費税を引いた額を納付額とする仕組みを、仕入税額控除と呼びます。

現行制度においては、消費税の課税対象となる国内取引はすべて仕入税額控除の対象です。

 

しかし、インボイス制度の導入後、仕入税額控除の適用を受けられるのが適格請求書(インボイス)を保存している取引のみとなります。

インボイスはこれまでの請求書の記載事項に加え、以下の情報を明記したものです。

  • ・適格請求書発行事業者の登録番号
  • ・税率ごとに区分した消費税額
  • ・税率ごとに区分して合計した税額および適用税率

 

インボイス制度の導入後、適格請求書を保存していない取引は仕入税額控除の計算に含められません。

インボイスが発行されていない取引に消費税額が上乗せされている場合、買い手側は本体価格に加えて消費税額も負担する必要があります。

インボイスを発行できるのは課税事業者のみ

インボイスを発行するためには、税務署に申請書を提出して適格請求書発行事業者として登録する必要があります。

こちらの適格請求書発行事業者として登録できるのは消費税の課税事業者のみです。

このような仕組みから、免税事業者はインボイスの発行が不可能となります。

消費税の納付義務が生じる条件に変化はない

最初に紹介したように、インボイス制度の導入後も消費税の納付義務が生じる条件に変化はありません。

資本金1,000万円未満であれば、設立1期目は自動的に消費税の免税事業者となります。

設立1期目上半期の課税売上高・給与支払額が1,000万円以下であれば、設立2期目も消費税の免税事業者のままです。

案件・取引先の獲得に支障が出る可能性がある

インボイス制度の施行が開始されても、消費税の免税要件に変更はありません。

そのため、前述した要件を満たしていれば消費税の免税事業者となります。

会社設立直後は消費税の免税要件を満たす会社が多いことに変わりはないでしょう。

 

しかし、インボイス制度の導入後も免税事業者のままでいると、案件・取引先の獲得に支障が出る可能性があります。

 

これまでは、消費税の納付義務がない免税事業者も本体価格に上乗せして消費税を請求しているのが一般的でした。

しかし、仕入税額控除の仕組みが存在していたために、消費税を上乗せ請求されても買い手側に大きな負担は出ていませんでした。

 

しかし、インボイス制度の導入後、買い手は免税事業者が発行した請求書の取引について納付税額の計算時に含められなくなります。

もし免税事業者に本体価格に消費税を上乗せした金額を請求された場合、買い手は本体価格と消費税の両方を負担しなければなりません。

すなわち買い手側企業にとって、免税事業者との取引はリスクと負担が大きくなるのです。

 

前提として、現状契約している取引について、買い手側が一方的に取引内容の変更をする・取引停止をするのは違法です。

しかし、新たに設立する法人の場合、会社設立時点ではそもそも取引先が存在しない状態のことが多いです。

そしてインボイス制度の導入後、前述した理由から免税事業者との新規契約を避けようと考える企業が増える事態が考えられます。

そのため、免税事業者について案件・取引先の獲得に支障が出る恐れがゼロとはいえません。

会社設立直後の会社でも、取引先および案件確保のためには、インボイスを発行できるよう課税事業者になる必要性が生じるかもしれません。

 

インボイス制度の導入による影響について現時点では予測しかできませんが、今後の動きに注意する必要があります。

まとめ

設立時の資本金が1,000万円未満であれば、設立1期目の会社に消費税の納付義務は発生しません。

また、基準期間である前々事業年度の課税売上高・給与の支払額が1,000万円以下の場合も、消費税の免税事業者となります。

このような仕組みから、設立直後は消費税が発生しない会社が多いです。

必要な手続きは特になく、自然に消費税免除が適用されます。

 

消費税の免税要件は、インボイス制度の導入後も特に変わらない予定ですが、インボイス制度の導入後に免税事業者でいると、案件・取引先の獲得に支障が出る恐れがあります。

 

インボイス制度の導入による影響については、今後の動きに注意が必要です。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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