会社設立に役員と取締役は何人必要?役員構成のルールについて解説!

2023.09.29

役員とは、会社経営において中心的な役割を果たす立場の人です。

会社法においては、取締役・会計参与・監査役が役員とされています。

役員の構成や人数は、会社設立前に決めるべき事項の1つです。

 

取締役を含め役員にはさまざまなルールが存在し、公開会社と非公開会社で最低人数も異なります。

会社設立をスムーズに行うためには、役員構成に関する正しい理解が必要です。

 

本記事では役員について、会社設立時に押さえておきたい事項を紹介します。

 

なお、役員の数や取締役に関する内容は、定款の記載事項でもあります。

定款については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

※本記事では株式会社について解説します。

CONTENTS

会社設立に必要な役員・取締役を見る前に

会社設立の際に必要となる役員や取締役の人数・構成について見る前に、まずは役員・取締役の概要から紹介します。

役員とは

役員とは、会社経営の中心的な役割を果たす立場の人です。

会社法においては取締役・会計参与・監査役が役員とされています。

取締役と役員を区別して表現されるケースが多いですが、正確には、取締役は役員の一種です。

 

取締役・会計参与・監査役それぞれについて解説します。

取締役

取締役は、会社運営における重要事項の意思決定や、業務執行を行う役員です。

会社法で、取締役は会社経営の決定権を有する役員であると定められています。

非公開会社では最低1人、取締役会設置会社では最低3人の取締役が必要です。

※非公開会社や取締役会設置会社について詳しくは後述します。

 

取締役の任期は原則として2年間です。

ただし、譲渡制限会社の場合、定款へ記載することで最長10年まで任期を延長できます。

会計参与

会計参与は、取締役や執行役と共に貸借対照表など計算書類の作成や保管、関係者への開示・説明を行う役員です。

会計参与に就任できるのは、会計分野の専門家である以下いずれかの個人・法人に限ります。

  • ・公認会計士
  • ・税理士
  • ・監査法人
  • ・税理士法人

会計参与は原則として設置の義務はなく、会社の任意で設置するか否かを決められます。

ただし、取締役会設置会社で監査役を設置しない場合は会計参与の設置が必要です。

 

任期は原則2年ですが、定款へ記載することで最長10年まで任期を延長できます。

監査役

監査役は、会社の活動や取締役による会社経営が適正に行われているかを監督する役割を持つ役員です。

これまで紹介した取締役・会計参与と違い任期は原則として4年間ですが、定款へ記載することで最長10年まで任期の延長が可能です。

 

監査役が行う監査は大きく以下の2種類に分けられます。

  • 会計監査
  • 取締役が作成した計算書類が適正な内容であるか、不備や不正がないかをチェックする監査です。
  •  
  • 業務監査
  • 業務執行が適切な内容であるかをチェックします。

役員と従業員の違い

役員と従業員の大きな違いを3つ紹介します。

契約

役員と従業員は、それぞれ会社と結ぶ契約が異なります。

 

役員が結ぶのは委任契約です。任用契約とも表現されます。

使用者に従属しておらず、会社に従属はしていません。

委任契約は特定分野の専門家に対して専門業務を依頼する際に締結されるのが一般的です。

役員は経営の専門家という扱いになり、会社は役員に対して経営という専門業務を依頼するイメージです。

 

一方、従業員と会社は雇用契約を結びます。

労働基準法における労働者になるため、雇用契約の対象です。

役割

役員の主な役割は、組織づくりや業務の実行、業務遂行が行われているかのチェック等です。

役員=会社の使用者とも言い換えられます。

 

一方、従業員は決定された方針に従って業務を行う労働者です。

役員が決めた方針に沿った会社運営や業務を実行できるよう、役員の指示に従って業務を遂行します。

責任

責任の範囲や重さについても、役員と従業員で大きな違いがあります。

 

会社の違法行為について、従業員個人が責任を追及されることはありません。

一方、役員は会社を適正に管理する義務を負うため、会社の違法行為について役員個人も責任を追及される可能性があります。

役員の方がより責任の範囲が広く、負う責任が重いといえるでしょう。

会社設立に必要な役員・取締役の数とは

続いて、会社設立に必要な役員・取締役の数について解説します。

公開会社は最低でも4人必要

公開会社とは、発行する株式のすべてまたは一部の譲渡に関して承認が必要である旨を定款で定めていない株式会社です。

定款に株式の譲渡制限について記載がなければ公開会社となります。

 

公開会社の設立には取締役会の設置が義務付けられています。

取締役会を設置する会社には取締役3人以上が必要です。

そのため、公開会社の設立には取締役が最低3人は必要となります。

 

また、取締役会を設置する会社は監査役もしくは会計参与の設置も義務付けられています。

したがって、設立する会社が公開会社である場合、取締役を含め役員が4人以上必要です。

株式譲渡制限会社は取締役1人で会社設立が可能

株式譲渡制限会社とは、株式の譲渡制限の規定を定款で定めている会社です。非公開会社とも呼ばれます。

 

株式譲渡制限会社の場合、取締役1人で会社設立が可能です。

会社法326条1項では「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。」と定められています。

したがって、会社設立に必要な役員の数は最低1人といえます。

 

なお、非公開会社は非上場会社と同じ意味として扱われる場面も多いですが、ポイントは上場有無ではなく株式の譲渡制限の有無です。

非上場でも、定款で株式の譲渡制限を定めていない会社であれば公開会社となります。

ただし、非上場の会社が株式公開をするメリットは特にないため、非上場会社は実質ほぼすべて非公開会社です。

役員構成のルール

新会社法の施行前は、取締役が最低3人以上、監査役が最低1人以上必要でした。

しかし、現行の会社法上は役員が取締役1人でも会社設立が可能です。

 

公開会社・非公開会社ともに、役員のうち取締役は必ず設置する必要があります。

取締役の最低人数は定められていますが上限は存在しないため、必要に応じて好きな人数を設定できます。

なお、株主・取締役・発起人が同一人物でも問題ありません。

特に中小企業は株主・取締役・発起人が同一人物の会社が多い傾向です。

 

また、取締役は経営者の独断による経営を防ぐ役割を持ちますが、実際は社長と取締役(代表取締役)が同じケースは多くみられます。

社長は法律で設置が義務付けられた役員ではなく、あくまでも会社の判断で任命する役職です。

会長や専務といった役職も同様に、あくまでも会社内のルールによって定められています。

 

このように、会社法に基づく役員と、社長をはじめとした役職は異なるルールに基づいて設置や運用が行われます。

社長と代表取締役が同じ会社が多いとはいえ、正式名称や役割の違いをしっかり理解することが大切です。

まとめ

役員は会社経営の中心的な役割を果たす立場で、会社法においては取締役・会計参与・監査役が役員とされています。
会社の設立に最低限必要な役員は、株式譲渡制限会社の場合は取締役1人、公開会社の場合は取締役3人および監査役または会計参与1人です。

役員の人数について最小は設けられていますが上限は特にないため、必要に応じて人数を増やせます。

 

一口に役員といっても、取締役・会計参与・監査役それぞれで役割が異なります。

会社設立および運営をスムーズに進めるためには、役員について正しい理解が必要です。

今回紹介した内容を押さえ、役員に関する基本事項や役員構成のルールを正しく把握した上で、会社設立を進めましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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