会社設立時の資本金払込はどうやる?払込証明書の作成方法と注意点を解説!

2023.10.20

資本金の払込証明書は、会社設立時に必要な書類の1つです。

必要事項を漏れなく記載し、通帳の必要なページのコピーとあわせてホチキス留めをして提出します。

 

資本金の払込自体は決して難しくありませんが、払込証明書には細かなルールが存在します。

ルールの確認が不十分ではミスや漏れが起こりやすく、手続きのやり直しといった手間も発生してしまいます。

資本金の払込に複雑なルールはないとはいえ、事前の確認が重要なのは他の手続きと同じです。

 

今回は会社設立時に行う資本金の払込や、払込証明書の作成方法について詳しく解説します。

 

なお、資本金の払込額は定款に記載された資本金額と一致している必要があります。

資本金は会社設立時に決めるべき事項のうち、重要性が高い内容の1つです。

資本金については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

CONTENTS

会社設立時に必要な払込証明書とは

はじめに、払込証明書の基本的な事項について解説します。

払込証明書の概要

払込証明書とは、資本金が銀行口座に払い込まれた旨を証明するための書類です。

会社設立時だけでなく、資本金額の増加(増資)の際にも必要となります。

 

払込証明書そのものはA4程度のサイズ1枚に必要事項を記載した書類です。

なお、会社設立時は払込証明書だけではなく、通帳のコピーもあわせて提出する必要があります。

記載事項および通帳コピーに不備や漏れがあると書類が認められず、法人登記が受理されない恐れがあるため注意が必要です。

払込証明書の記載事項

払込証明書に所定の様式やひな形はありません。必要事項を記載した書類を自分で作成します。

ちょっとした不備や漏れは手続きがスムーズに進まない原因になるため注意しましょう。

 

払込証明書に記載しなければならない事項は以下の通りです。

 

  • 資本金の払込があった旨を示す文面
  • 資本金の払込があった旨を示す一文を記載します。
  • 払込証明書の表題を「払込があったことを証する書面」とするのも1つの手段です。
  •  
  • 設立時発行株式数
  • 株式会社の場合、設立時発行株式数を記載する必要があります。
  •  
  • 払込金額
  • 払込金額の総額を記載します。
  •  
  • 日付
  • 払い込みが行われた日付です。
  • 資本金の払込が複数回にわたって行われた場合、払い込まれた日付のうち最も遅い日(最新の日)を記載します。
  •  
  • 商号(会社名)
  • 略さず、定款の内容通りに記載する必要があります。
  •  
  • 代表取締役氏名
  • 商号の次の行に記載するのが一般的です。
  •  
  • 押印
  • 会社の代表者印を押印します。
  • 押印箇所は書類の左上・代表取締役氏名の右の2か所です。

会社設立時 払込証明書の作成方法

この章では、払込証明書の作成方法について流れで解説します。

資本金の払込を行う

まずは資本金の払込です。

会社設立時は法人口座を所有していないため、発起人の個人口座に払い込みを行います。

 

なお、資本金の払込は原則として預入ではなく振込で行う必要があります。

預入では入金した人の名前が記載されず、誰が払込をしたのか証明できません。

特に発起人が複数いる場合、払込は必ず振込で行いましょう。

通帳のページをコピーする

続いて、通帳のページをコピーします。

払込証明書を作るために必要となるページは以下の通りです。

  • ・通帳の表紙
  • ・通帳表紙の裏面(口座の支店名・口座番号・口座名義人などの基本情報が記載されたページ)
  • ・払込金額が確認できるページ

なお、インターネットバンキングの場合は紙の通帳がありませんが、必要事項が載ったページのPDFを印刷すれば問題ありません。

払込証明書を作成する

払込証明書の記載事項は前章で紹介した内容の通りです。

払込証明書には所定の様式やひな形がないため、必要事項を漏れなく入力したものを自分で作成します。

※Web上で公開されているひな形を活用するのも1つの手段です。会社設立支援を行う専門家に相談すればひな形をもらえたり、作成の代行を依頼できるケースもあります。

 

なお、払込証明書は片面1ページですべてを記載するのが原則です。

両面を使ったり複数ページ使うのは一般的ではありません。

記載事項はそれほど多くないためスペースが足りなくなる可能性はありませんが、片面に抑える意識を持っておくと安心です。

製本する

払込証明書の作成および通帳のコピーが完了したら製本を行います。

ページがバラバラのまま提出しないようご注意ください。

製本の際は、作成した払込証明書が一番上になるようにし、その後通帳の表紙・表紙裏面・払込が確認できるページのコピーを重ねます。

書類を重ねて左側2か所をホチキス留めしたら製本完了です。

 

なお、以前はページの境目に代表者印による契印が必要でした。

こちらの契印は令和3年1月29日に発出された通達によって現在は不要となっています。

そのため、押印が必要な個所は前述の2か所のみです。

 

少し前までは契印が必要だったために、契印をするべきと認識している人も多いかもしれません。

契印が不備と認定されたり契印が理由で受理されないといったことはありませんが、不要な手間をなくすためにも契印は不要と覚えておきましょう。

会社設立時 払込証明書に関する注意点

払込証明書に関する注意点を3つ紹介します。

払込を行う日に注意

資本金の払込は、定款認証の後に行うのがおすすめです。

定款認証より前に払込をする場合は、払込日と定款認証日の期間をなるべく空けないようにしましょう。

 

前提として、資本金の払込を定款認証前に行うことは可能です。

定款認証後の払込が原則とされていますが、定款認証日より前の払込でも、設立に際する出資金と認められれば受理されます。

払込のタイミングそのものよりも、払込金の額が定款の内容と一致しているか・書類に不備がないかの方が重視されます。

 

ただし、定款認証よりも前の払込は、定款認証後よりもチェックが厳しくなります。

また、定款作成日よりも払込のタイミングが早い場合は、法務局で登記申請が受理されません。

(発起人合意書の作成が済んでいれば、定款作成日より前でも認められる可能性があります)

 

資本金の払込および払込証明書の作成は、特別時間がかかる作業ではありません。

期日が厳しいわけでもないため、定款認証よりも優先する必要はないでしょう。

現金預入でなく振込で行う

すでに解説した内容ではありますが、資本金の払込は現金預入ではなく振込で行う必要があります。

現金預入では払込をした人の名前が印字されず、誰が払い込んだのか証明できません。

発起人が複数人いる場合は各々が払込をした旨および各自の払込額を証明する必要があります。

そのため、払込をした人の名前が印字される振込をしましょう。

なお、発起人が1人の場合は現金預入による払込でも問題ありません。

ネット銀行の場合の必要書類

ネット銀行(インターネットバンキング)の場合、紙の通帳がありません。

ただし、必要事項が記載されたページさえ用意できれば、インターネットバンキングへの払込も可能です。

印刷する必要のあるページの具体例として以下の4つが挙げられます。

  • ・金融機関の名称がわかるページ
  • ・口座の名義人がわかるページ
  • ・支店や口座番号がわかるページ
  • ・取引履歴のうち、該当の払込について記載されたページ

これらの情報をマイページから探し、PDFにダウンロードした上で印刷します。

払込証明書の作り方や製本の仕方は、紙の通帳の場合と同じです。

まとめ

資本金の払込は会社設立に必要不可欠な作業ですが、特別難しくはありません。

今回紹介した内容に沿って基本的なルールを押さえれば、問題なく進められるでしょう。

 

ただし、難しい工程がなく専門知識も不要だからこそ、思わぬところでミスや漏れが生じる恐れがあります。

資本金の払込および払込証明書の作成を終えた後は、内容の振り返り・見直しが欠かせません。

 

1人で確実にチェックできるか不安な場合は、第三者にも確認してもらうと安心です。

会社設立に関する疑問や不安があれば、専門家である税理士へご相談ください。

必要書類を漏れなく用意できているかの確認はもちろん、会社設立について幅広いアドバイスやサポートを受けられます。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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