会社設立後の経理業務はどうする?自社と代行業者それぞれのメリットと注意点を解説!

2023.11.25

経理とは、会社のお金を管理しお金の動きを記録する仕事、およびその仕事を行う職種を意味します。

会社設立後の経理業務を自社で行うか、それとも代行業者に依頼するかは、会社設立時に決めておきたい事項の1つです。

それぞれ異なるメリットおよび注意点が存在するため、自社のケースに合わせて判断する必要があります。

 

今回は会社設立後の経理業務をどのように行うか、自社と代行業者それぞれのメリットや注意点を詳しく解説します。

 

なお、経理業務を自社で行う場合も代行業者に依頼する場合も、クラウド会計ソフトを活用すると効率的なためおすすめです。

クラウド会計については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

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CONTENTS

そもそも|経理業務とは

はじめに、経理業務に関する基本事項を紹介します。

経理の概要

経理とは、会社のお金を管理しお金の動きを記録する仕事、およびその仕事を行う職種を意味する言葉です。

領収書や請求書などの資料をもとに日々の会計取引を記録し帳簿を作成します。

会計取引の記録方法には細かなルールが定められているため、十分な知識や理解が必要です。

 

経理と似たイメージの仕事・職種に、財務というものがあります。

経理は過去に行われた取引を記録して帳簿を作成するのが中心で、現状のお金を管理・把握するための仕事といえるでしょう。

一方で財務は、資金調達・資金運用・予算管理等、将来のお金の使い方に関する業務を行います。

どちらも会社のお金に関する仕事ではありますが、経理は過去、財務は未来という点が大きな違いです。

経理の仕事内容

経理の仕事内容は大きく以下の3パターンに分けられます。

  • ・日次業務
  • ・月次業務
  • ・年次業務

それぞれに該当する仕事の具体例を紹介します。

日次業務

経理で時期を問わず日常的に行う業務の例は以下の通りです。

  • ・現預金の入出金管理
  • ・現預金の残高確認
  • ・領収書や伝票の整理
  • ・仕訳入力(記帳、伝票作成)
  • ・立替経費の精算
  • ・仮払金の処理

経理業務の大半は日次業務が該当します。

月次業務

毎月特定の時期に発生する経理業務として、以下の例が挙げられます。

  • ・買掛金や未払金の管理 期日までの支払い対応
  • ・売掛金の管理 入金があり次第消し込み、必要に応じて督促
  • ・請求書や領収書の発行
  • ・社会保険料や各種税金の納付
  • ・月次決算

独立した労務部門や労務担当者を設けていない会社の場合、経理の月次業務に給与計算が加わるケースも多いです。

年次業務

年に1度発生する業務を指します。

経理業務の中でも特に重要性や難易度が高い上に作業量が多いため、年次業務が発生する時期は特に忙しくなりがちです。

  • ・決算作業、決算書類の作成(税務申告に間に合うように行います)
  • ・法人税や消費税等の税務申告(決算日の翌日から2ヶ月が申告および納付の期日です)
  • ・年末調整
  • ・法定調書および給与支払報告書の作成、提出
  • ・償却資産申告書の作成、提出
  • ・賞与の計算および支払い ※労務担当者が行う会社もあります。

会社設立後の経理業務を自社で行うメリット・注意点

まずは、会社設立後の経理業務を自社で行うメリットと注意点を紹介します。

経理業務を自社で行うメリット

経理業務を自社で行うメリットとして、大きく2つが挙げられます。

 

1つ目は、代行業者への報酬支払いが発生しない点です。

経理業務を代行業者に依頼すれば、その分外注費や支払報酬といった費用が発生します。

自社内ですべて対応するのであれば報酬の支払いは発生しないため、外注費を抑えられるでしょう。

ただし、経理人材の採用や育成にかかる費用や給与等の人件費が、外注費よりも高くなる可能性があります。

つまり、自社で対応すればコストを抑えられるとは限りません。

 

2つ目は、自社内に経理業務のノウハウがたまる点です。

自社内で経理業務を行うのであれば、自然とスキルやノウハウが溜まっていきます。

はじめは自社で対応するのが大変だとしても、ノウハウが溜まるうちに効率化が進み負担が軽減されていくでしょう。

経理業務を自社で行う際の注意点

経理業務を自社で行う際の注意点を3つ紹介します。

 

1つ目は、経理人材の確保や育成にコストがかかる点です。

採用費や人件費といった基本的な経費はもちろん、未経験者の場合は研修や経理関係の資料を用意するためのコストもかかります。

自社で行うメリットの1つとして「代行業者への報酬支払いが発生しない」を紹介しましたが、経理人材の確保や育成にかかるコストが報酬を上回る可能性があります。

 

2つ目は、コア業務に割けるリソースが小さくなる点です。

経理はやるべき業務の量が多いため、経理担当者がほかの業務に携わる余裕はほとんどありません。

経理担当者を設けた分だけ、コア業務に割ける人的リソースは小さくなります。

 

3つ目は、ミスや漏れのリスクが大きくなる点です。

経理は高度な知識や経験が求められる部分が多いため、未経験者が行うとミスや漏れが起きる恐れがあります。

経理は属人化しやすく他の社員が間違いに気づきにくい点も、ミスや漏れが起こりやすい理由の1つです。

会社設立後の経理業務を代行業者に依頼するメリット・注意点

続いて、経理業務を代行業者に依頼するメリットおよび注意点を紹介します。

経理業務を代行業者に依頼するメリット

経理業務を代行業者に依頼するメリットとして大きく3つ挙げられます。

 

1つ目は、専門知識に基づく質の高い正確なサービスを受けられる点です。

経理業務の代行サービスは、いずれも経理に関する高度な知識や経験を持つ人が対応します。

自社内で経理業務を行う場合よりも、ミスや漏れのリスクを抑えられるでしょう。

税理士のような専門家に依頼すれば、経営コンサルティングや節税アドバイスも受けられます。

 

2つ目は、本業に割けるリソースが大きくなる点です。

経理業務を外注すれば、自社内に経理担当者を設ける必要がないため余裕が生まれます。

本業に充てるリソースが大きくなることで、売上アップや効率化が期待できます。

 

3つ目は、経理人材の確保や育成が不要な点です。

人件費や研修費等の費用を抑えられるだけでなく、手間が発生しない点も大きなメリットといえるでしょう。

経理業務を代行業者に依頼する際の注意点

経理業務を代行業者に依頼する際の注意点は、経理業務を自社内で行うメリットの反対といえます。

すなわち、「自社内にノウハウがたまらない」「外注コストがかかる」が注意点です。

自社でできることを増やしたい場合や、外注費を抑えたい場合には代行業者への依頼が合わない恐れがあります。

 

また、業者選びの手間がかかる点にも注意が必要です。

自社に合うサービスを選ばないと、希望するサービスを受けられない・費用負担が大きい等、かえってデメリットになる恐れがあります。

会社設立後の経理業務 自社と代行業者どちらが良い?

会社設立後の経理業務は自社と代行業者への依頼どちらが良いか、考え方の一例を紹介します。

 

前提として、法人税の申告は非常に高度な知識が必要となります。

法人税の申告業務を自社で対応するのは難しいため、法人税の申告は税理士に依頼するのが一般的かつ安心です。

つまり、最低でも法人税の申告業務は代行するのが一般的なため、経理業務をすべて自社で行うケースはほとんどありません。

 

大切なのは、経理業務を代行業者にどこまで依頼するかです。

 

以下いずれかのケースに該当する場合、一部は自社で対応しそれ以外を代行業者に依頼するのが良いでしょう。

  • ・自社に多少はリソースの余裕がある
  • ・経理業務ができる社員が在籍している、もしくは採用予定がある

経理業務の依頼に際して発生するコストを抑えつつも、自社で対応できない部分は専門家に依頼できるため安心です。

 

経理業務の負担を最小限に抑えたいのであれば、経理業務すべてを代行業者に依頼するのが適しています。

経理業務を代行業者にすべて依頼すると、ノウハウがたまらない・外注コストがかかる等、デメリットがあるのも事実です。

しかし。自社にかかる経理業務の負担を最小限にして本業にリソースを費やす方が、トータルでメリットが大きい可能性があります。

 

代行業者へ問い合わせや申し込みをする前に、経理業務のうちどこまでを依頼するかをまず明確にしましょう。

まとめ

経理業務に該当する仕事の中には、高度な知識や経験が求められる業務があります。

特に法人税の申告を専門知識のない人が行うのは非常に難易度が高いため、税理士に依頼するのが一般的です。

つまり、経理業務をすべて自社内で行うケースはあまりなく、少なくとも税務申告は代行業者に依頼するのが基本となります。

その上で、ほかの経理業務を自社で行うか代行業者に依頼するか、入念な検討が必要です。

 

自社のリソースや代行業者に依頼する目的などを考慮した上で、どこまで依頼するか判断しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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