会社設立の必要書類を郵送提出は可能?注意点について解説!

2024.01.25

会社設立手続きには複数の工程があり、提出が必要な書類も多数存在します。

そんな必要書類ですが、一部は郵送での提出が可能です。

必要に応じて郵送で提出する方法をとることで、会社設立手続きをより効率良く進められるでしょう。

 

ただし、郵送は便利な面もある一方で、直接提出する場合とは異なる注意点も存在します。

郵送は提出してから相手先が確認するまでにタイムラグが発生するため、ミスや漏れがあると通常よりも修正までに要する時間が長くなってしまいます。

会社設立の必要書類を郵送で送るのであれば、郵送ならではの注意点について確認が必須です。

 

今回は会社設立にあたって必要書類を郵送できる工程や、郵送する際の注意点について解説します。

 

会社設立の必要書類については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

 

CONTENTS

会社設立 必要書類を郵送できる工程

前提として、会社設立手続きは大きく以下5つの工程に分けられます。

  • 1.会社概要の決定
  • 2.法人実印の作成
  • 3.定款の作成および認証
  • 4.資本金の払込
  • 5.法務局への登記申請

このうち、必要書類を郵送できる工程は「5.法務局での登記申請」と条件次第で「3.定款の作成および認証(書類提出が必要なのは定款認証)」です。

また、会社設立後に必要となる手続きの多くも郵送で必要書類の提出ができます。

それぞれ詳しく解説します。

法務局への登記申請

法務局への登記申請は、郵送での書類提出が可能です。

登記申請の書類を郵送で送る場合に押さえるべき注意点として、以下の3つが挙げられます。

  • 1.書類の送り先は本店所在地を管轄する法務局にする
  • 2.見てすぐに登記申請書類と判断できるよう宛先付近に「登記申請書在中」と明記する
  • 3.書留郵便やレターパック等、書類の到着を確認できる方法で送る
  • 普通郵便での郵送も可能ですが、配送事故を防ぐため到達確認が可能な方法が好ましいとされています。

なお、会社設立登記で提出が必要な書類は以下の通りです。

  • ・登記申請書
  • ・登録免許税納付用台紙
  • ・「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R
  • ・定款
  • ・発起人の決定書
  • ・発起人全員分の印鑑証明書
  • ・就任承諾書
  • ・資本金の払込証明書
  • ・法人実印の印鑑届出書

なお、登記申請書や添付書類の補正も郵送で行えます。

補正が必要な場合は法務局から電話等で連絡がくるため、指示に従い必要な手続きを行いましょう。

電子定款の認証

作成した定款が電子定款で、かつ、条件を満たす場合は、定款認証における必要書類を郵送で提出できます。

 

前提として、電子定款の認証手続きはオンライン申請で行います。

オンライン申請は「登記・供託オンライン申請システム」を使う方法とテレビ電話を用いる方法の2種類があり、郵送での書類提出が可能なのはテレビ電話を使う方法の一部です。

 

テレビ電話による電子定款認証では、以下いずれかの対応を行う必要があります。

  • 1.発起人が電子定款に電子署名を行い、自ら電子定款をオンライン申請する
  • 2.定款作成および認証申請を代理人が行い発起人等が自分で電磁的記録である委任状に電子署名する
  • 3.定款作成および認証申請を代理人が行い、発起人等が紙の委任状に印鑑登録してある印を押す

このうち3の方法では紙の委任状と印鑑登録証明書の提出が必要であり、これらの書類を郵送で提出が可能です。

紙の委任状と印鑑証明書を公証役場に郵送で提出します。

同一情報の提供の書面や申告受理及び認証証明書等の郵送を希望する場合、返信用のレターパックを同封する必要があります。

会社設立後の各種手続き

会社設立後に必要な届出は、基本的に郵送での提出が可能です。

会社設立後の手続きと必要な届出の種類について、提出先ごとに詳しく解説します。

税務署への届出

会社設立後に税務署へ行う届出のうち、すべての会社で必要なものとして以下の2つが挙げられます。

  • ・法人設立届出書
  • ・給与支払事務所等の開設届出書
  • ※従業員を雇っておらず社長1人の会社でも、役員報酬の支払いが発生する場合は提出が必要です。

 

また、提出が必須ではないものの、会社設立時にあわせて提出するのがおすすめの書類として以下の2つが挙げられます。

  • ・青色申告の承認申請書
  • ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

 

いずれの書類も、会社所在地を管轄する税務署へ提出しましょう。

自治体への届出

前述した税務署への届出は、法人税や源泉税のように国税に関する書類です。

国税に関する届出と同じように、自治体へ地方税に関する届出を行う必要があります。

 

自治体へ提出が必要な書類は「法人設立届出書」で、自治体ごとに定められたフォーマットを使います。

都道府県税事務所と市町村役場それぞれへの提出が必要です。

ただし、東京23区で設立する場合は都税事務所への届出のみであり、区役所への書類提出は不要となります。

年金事務所への届出

健康保険・厚生年金保険の加入手続きとして、年金事務所への届出も必要です。

すべての会社には健康保険・厚生年金保険への加入が定められており、社長1人の会社であっても届出をする必要があります。

年金事務所に提出する書類は以下の3つです。

  • ・健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • ・健康保険被扶養者(異動)届

それぞれ添付書類も用意する必要があり書類の数が多くなるため、不備や漏れがないか入念な確認が必要です。

会社設立の必要書類を郵送する際の注意点

会社設立の必要書類を郵送する際の注意点を3つ紹介します。

提出先を必ず確認する

会社設立の必要書類を郵送で提出する前に、正しい提出先を必ず確認しましょう。

提出先の誤りは手続きに時間がかかってしまう原因となります。

 

一口に会社設立の必要書類といっても種類が多く、届出によって宛先が全く異なるため注意が必要です。

前章で紹介した「郵送で提出できる書類」の提出先をあらためてまとめます。

・登記申請書類

本店所在地を管轄する法務局

・電子定款の認証に必要な書類

嘱託・請求先の公証役場

・税務署への届出

本店所在地を管轄する税務署

・自治体への届出

都道府県税事務所および市町村役場

・年金事務所への届出

事務センターまたは管轄の年金事務所

書類の不備や漏れがないか入念なチェックが必須

必要書類を郵送する前に、書類に不備や漏れがないか入念にチェックしましょう。

 

郵送で必要書類を送る場合、提出してから相手先が確認するまでにタイムラグが発生します。

そのため、不備や漏れの連絡にどうしても時間がかかってしまいます。

仮に必要書類のミスがあった場合、それが発覚するのは提出から時間が経ってからになってしまい、結果として希望していた時期までに会社設立ができないという事態が起こり得ます。

 

書類のチェックが重要なのは窓口で提出する場合も同様ではあるものの、郵送の場合はより一層注意が必要です。

到着が確認できる方法で送る

会社設立に関する書類を郵送で送る場合は、到着が確認できる方法で送りましょう

会社設立関連の書類は重要書類のため、配送事故のリスクを最小限に抑えられる方法を選ぶことが大切です。

書留での郵送やレターパックの購入は郵便局でできます。

 

なお、電子定款の認証に必要な書類の郵送方法は原則としてレターパックと指定されています。

赤・青の指定については特に明記されていませんが、念のため提出先に確認するのが良いでしょう。

法務局への登記申請書類は普通郵便での郵送も差し支えないものの、できる限り書留等で送付するよう明記されています。

税務署や年金事務所への送付方法については特に指示がありませんが、同じく書留等で送るのが安心です。

まとめ

会社設立の必要書類のうち、登記申請書類と電子定款の認証に関する書類は郵送での提出が可能です。

また、会社設立後に必要な各種届出も郵送で行えます。

必要書類を郵送で送る際は配送事故のリスクを抑えるため、郵便局で書留の依頼をする、もしくはレターパックで送りましょう。

 

書類を郵送する場合、送り先および不備や漏れがないかの確認が必須です。

郵送は提出から相手先が確認するまでにタイムラグがあるため、修正が必要な場合はかなりの時間がかかってしまう恐れがあります。

会社設立にかかる時間や手間を最小限にできるよう、提出前のチェックを入念に行いましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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