シニア起業が増加中?メリットと成功のポイント、注意点について解説!

2024.03.21

近年、定年後のシニア世代による起業が増加傾向にあります。

シニア起業が増加している理由として、公的年金の開始年齢が引き上げられたことや、社会とのつながりを得られる等の理由が挙げられます。

 

シニア起業には様々なメリットが存在し、定年後の生活を充実させる手段の1つとしておすすめできる選択肢です。

そんなシニア起業を成功させるには、ポイントや注意点をしっかり押さえる必要があります。

 

今回はシニア起業について、メリットや成功のポイント、事前に知っておくべき注意点を紹介します。

 

会社設立の流れは以下の記事で解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

CONTENTS

シニア起業が増加している理由

2000年代あたりから、起業家のうち65歳以上の占める割合が増えています。

中小企業庁の中小企業白書(2017年版)によると、1992年から2012年まで、起業家のうち60歳以上が占める割合は以下の通りです。

  • ・1992年:7.2%
  • ・1997年:12.9%
  • ・2002年:15.1%
  • ・2007年:19.5%
  • ・2012年:20.3%

 

また、日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」では、創業融資を利用した企業の開業者の属性について公表されています。

同調査によると、2000年以前は60歳以上の占める割合が2%台でした。

しかし2000年に入ると3%を上回るようになり、2009年には6.5%、近年は7%を超える年もあります。

開業者の平均年齢も、1991年は38.9歳だったのが、2023年調査時点では43.7歳となり、開業時の年齢の上昇傾向は明らかです。

 

シニア起業が増加している理由として、以下の4つが挙げられます。

  • ・定年後の生活を充実させる選択肢の1つとなる
  • ・公的年金の開始年齢が引き上げられた
  • ・社会とのつながりを得られる
  • ・年金以外の収入源が欲しいと考える人が多い

シニア起業のメリット

この章ではシニア起業のメリットを4つ紹介します。

やりたいことを仕事にできる

シニア起業をする大きなメリットの1つが、やりたいことを仕事にできる点です。

 

会社勤めでは仕事内容や働き方など会社の方針に従う必要があり、どうしても自由度が下がってしまいます。

希望通りの仕事ができないケースも珍しくありません。

 

起業すれば、自分のやりたいことを仕事にでき、働き方もある程度自由がききます。

特にシニア世代は会社勤めの年数が長いため、好きな仕事ができる点はより魅力的に映るでしょう。

やりたい仕事をできる点は、起業ならではのメリットといえます。

時間やお金の余裕がある

シニア起業は他の年齢層の起業に比べて、時間やお金の余裕がある傾向です。

 

前提としてシニア起業の多くは定年退職後に行われるため、会社勤めによる時間的な拘束はありません。

状況によるため一概にはいえませんが、家事や育児の忙しさも一段落している人が多いです。

 

資金的な余裕がある理由としては、若いころからの貯金や退職金の存在が挙げられます。

 

このようにシニア層は、時間とお金ともに余裕を持った状態で起業できるケースが多くみられます。

これまでの経験やスキルを活かせる

これまでの経験やスキルを活かせる点は、起業家の中でも特にシニア層が得やすいメリットです。

 

会社勤めといった仕事関係に限らず、これまでの経験やスキルは様々な場面で活かせる可能性があります。

これらの財産は生きてきた時間が長いほど、自然に広く深くなります。

そのためシニア層は50代以下に比べて、活かせる経験やスキルが豊富といえるでしょう。

シニア起業は人生を通じて獲得した財産を活かせる手段とも表現できます。

定年に関係なく働ける

起業をすれば、定年に関係なく働き続けられます

 

定年は企業が任意で設定できますが、最低60歳からとなっているため、60歳を定年とする企業が多くみられます。

また2021年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」により、70歳までの就業機会確保が努力義務となりました。

多くの場合、60~70歳に定年を迎え、雇用契約に基づく就業ができなくなる可能性が高いということです。

 

自分で起業すれば定年という概念がないため、年齢に関係なく働けます。

シニア起業を成功させるためのポイント

シニア起業には様々なメリットがありますが、起業しても必ずしも上手くいくとは限りません。

この章では、シニア起業を成功させるために押さえたいポイントを3つ紹介します。

事業計画をしっかり立てる

シニア起業に限らず、起業を成功させるためには事業計画をしっかり立てましょう

事業計画が不十分では事業活動の指針が定まらず、事業が上手く進まなくなる恐れがあります。

 

事業計画を立てる上で最低限考えるべき要素として、以下の例が挙げられます。

  • ・事業の目的
  • ・事業内容
  • ・提供する商品やサービスの内容、強み
  • ・売上、経費、利益の見込み
  • ・資金調達の方法
  • ・ターゲット層
  • ・事業活動のために必要な器具備品や材料

起業時にお金をかけすぎない

起業の成功には十分な資金を用意することも大切ですが、同時に起業時にお金をかけすぎないよう注意も必要です。

 

起業時にお金をかけすぎてしまうと、万が一事業が上手くいかなった時に対処に使えるお金が少なくなってしまいます。

資金が少ない状態では心の余裕が持てず、焦りが原因で思わぬミスをしてしまう恐れも大きいです。

起業時はなるべくお金をかけずスモールスタートとし、軌道に乗り始めてから投入額を増やすのが良いでしょう。

 

なお、シニア起業は生活資金を確保した上での余剰資金で行うのが前提です。

老後資金を計算してしっかり確保し、事業資金とは明確に区別しましょう。

補助金・助成金や融資制度を活用する

補助金や助成金、融資制度を活用するのもおすすめです。

近年はシニア層を対象とした制度が多く存在します。各種制度を活用すれば、より効率的かつ余裕を持った資金調達ができるでしょう。

資金に余裕があれば事業活動の幅が広がり、成功の可能性もアップします。

 

シニア起業で活用できる制度の具体例を2つ紹介します。

新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

日本政策金融公庫による融資制度です。名前の通り、女性・若者・シニアを対象としています。

制度の概要を紹介します。

  • 対象者:以下2つの要件を満たす
  • ・新たに事業を始める者もしくは事業開始後おおむね7年以内の者
  • ・女性または35歳未満か55歳以上
  •  
  • 融資限度額
  • 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
  •  
  • 返済期間
  • 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
  • 運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)

自治体の創業支援制度

多くの自治体では創業者やシニア層を対象とした制度を運営しています。

創業者全般を対象とする制度もあれば、特定の事業に特化した制度も存在します。

創業予定の自治体に創業者やシニア向けの制度がないかチェックするのがおすすめです。

シニア起業の注意点

最後に、シニア起業の注意点を2つ紹介します。

詐欺や勧誘に注意する

起業に関するトラブルを避けるため、詐欺や勧誘に注意しましょう。

シニア層に限らず、起業を考えている人や創業直後の人を狙った詐欺や怪しげなセミナー等は多く存在します。

情報収集や相談は信頼できるところで行うことが大切です。

 

おすすめの相談先として以下の例が挙げられます。

  • ・商工会議所
  • ・自治体の創業支援施設
  • ・税理士
  •  ※創業支援の経験が豊富な税理士に相談するのが理想です。

事前に周囲の人へ相談する

自身の判断のみでシニア起業をするのではなく、事前に周囲の人へ相談しましょう。

シニアに限らず起業にはリスクがあり、失敗した時は家族にも影響が及ぶ恐れがあります。勝手な起業は家族の反感を買う原因にもなり得ます。

特にシニア層は年齢的に就職が難しいというハードルがあるため、起業のように高額の支出を伴う行為は家族の合意が大前提となります。

自分の意思だけでいきなり起業するのではなく、必ず周囲の人に相談しましょう。

まとめ

シニア起業は、老後の生活を充実させたい・公的年金の開始年齢が引き上げられた等の様々な理由から人気を集めています。

定年を気にする必要がない等、起業ならではのメリットも多数存在します。

資金や時間に余裕がある点もシニアならではのメリットです。

 

しかしシニア層に限らず、起業が必ずしも上手くいくとは限りません。

成功させるためには、いくつかのポイントや注意点を意識する必要があります。

今回紹介した内容を押さえ、シニア起業を成功させるために十分な準備をしましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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