法人税申告書とは?作成方法から提出方法まで初心者向けにわかりやすく解説!

2024.06.02

法人税申告書は、法人税の確定申告に用いる書類です。

厳密には確定申告書と明細書に分かれており、両者をまとめて法人税申告書と呼んでいます。

 

法人税申告書は個人の所得税申告書に比べて、書類の枚数や項目が多く設けられています。

申告書自体の内容が複雑なため、法人税の申告および納税を正しく行うには、法人税申告書そのものに対する十分な理解が必要です。

 

今回は法人税申告書について、作成方法から提出方法までわかりやすく解説します。

 

法人税の節税対策については以下の記事をご覧ください。

 

 

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CONTENTS

法人税申告書の概要

はじめに、法人税申告書の概要について解説します。

法人税申告書とは

法人税申告書とは、法人税の確定申告に用いる書類です。厳密には確定申告書と明細書に分かれており、まとめて法人税申告書と呼んでいます。

 

個人の所得に課される所得税の申告書と違い、以下のような特徴があります。

書類の数や項目が多い

個人の所得税申告書は2枚です。所得の種類によっては白色申告の収支内訳書2枚もしくは青色申告決算書4枚の提出も必要です。
一方、法人税申告書の様式は約100種類にのぼり、数十枚もの提出が必要なケースもあります。項目数も所得税の申告書に比べ圧倒的に多いです。

内容が複雑

書類の数や項目が多いだけでなくルールも複雑です。

そのため専門知識のない人が正確な内容を作成するのは容易ではありません。

法人税申告書の種類

法人税申告書の別表は20まで存在し、様式は約100種類にのぼります。

ただし、すべての提出が必要なわけではありません。決算内容によって提出が必要な書類が異なります。

今回は特に重要性が高く、提出が必要になる可能性が高いものを紹介します。その他の書類は国税庁公式サイトをご確認ください。

※(★)マークのついたものはすべてのケースで提出が必要です。

 

  • 別表一:各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分(★)
  • 別表二:同族会社等の判定に関する明細書(★)
  • 別表四:所得の金額の計算に関する明細書(★)
  • 別表五(一):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書(★)
  • 別表五(二):租税公課の納付状況等に関する明細書(★)
  • 別表六(一):所得税額の控除に関する明細書
  • 別表七(一):欠損金の損金算入等に関する明細書
  • 別表八(一):受取配当等の益金不算入に関する明細書
  • 別表十五:交際費等の損金算入に関する明細書
  • 別表十六(一):旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
  • 別表十六(二):旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
  • 別表十六(七):少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
  • 別表十六(八):一括償却資産の損金算入に関する明細書

法人税申告書の書き方

法人税申告書は別表20まで存在し、提出の際は順番通りに並べます。しかし、1から数字の順番通りに書くわけではありません。

この章では法人税申告書の書き方について詳しく解説します。

記帳を終わらせ財務諸表を完成させる

はじめに財務諸表を完成させる必要があります。決算整理仕訳を含むすべての記帳を終わらせましょう。

ただし税額が未定のため、未払法人税等の仕訳はできません。そのため財務諸表も確定版ではなく、税引前段階のものとなります。

別表二を作成する

別表二は「同族会社等の判定に関する明細書」です。期末時点の発行済株式の総数や株主の情報等、同族会社・特定同族会社の判定に必要な情報を記載します。

なお、別表二の情報は決算や他の別表に影響はしないため、必ずしも最初に書く必要はありません。最後に作成する選択肢もあります。

別表六以降の明細書を作成する

別表六以降は個別の項目に関する明細書です。どの別表の作成が必要かはケースによって異なります。

たとえば別表六(八)は、一括償却資産の計上があった場合のみ作成が必要です。

自社の決算内容を確認し、作成するべき書類について正しく判断しましょう。

 

後述する別表四には別表六以降の個別項目を転記する部分があるため、まずは別表六以降を作成する必要があります。

ただし例外として、別表七は別表四の後に作成する点にご注意ください。

別表六以降の内容を別表四にまとめる

別表四は所得の金額の計算に関する明細書です。前述のように、別表六以降の内容を転記します。

 

別表四で所定の項目について加算や減算を行い、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金の違いを調整します。

内容に誤りがあると所得金額および税額がズレてしまうため、転記の際は注意が必要です。

 

なお前期からの繰越欠損金を損金算入する場合、この段階では別表四のすべてを埋めることはできません。

空欄については別表七の作成後に埋めていきます。

別表七を作成する

別表七は繰越欠損金を利益と相殺する場合に作成する必要があります。

 

「1.控除前所得金額」に記載するのは、別表四の「43.差引計」の額です。

その後は他の項目も埋めていき、記載した内容をもとに当期控除額や翌期繰越額等を計算します。

 

別表七(一)が完成したら、「当期控除額」の計に記載した金額を、別表四の「44.欠損金等の当期控除額」に転記しましょう。

この作業により、「52.所得金額又は欠損金額」を埋めるのに必要な情報が揃います。

別表五を作成する

別表五(一)は「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」、別表五(二)は「租税公課の納付状況等に関する明細書」です。

この段階では一部の項目は埋められませんが、金額が確定している部分は埋めていくのが効率的です。

 

まずは(二)の方から埋めていきましょう。

期首の金額を入れる部分には前期の申告書の内容を転記します。

続いて期中の納付税額を該当箇所に入れましょう。その後、期末税額を計算して該当の項目を埋めます。

ただし、この段階では「法人税及び地方法人税」「道府県民税」「市町村民税」の当期発生税額は記載できません。これらは別表一の作成後、最後に埋めます。

 

続いて(一)を埋めていきましょう。

前期の申告書や当期の財務諸表を確認しながら金額を転記し、最後に翌期首の金額(=当期末の金額)を計算して記入します。

別表一を作成し法人税を確定させる

別表一は法人税の確定申告書に該当します。法人の基本事項やそれぞれの明細書で算出した合計額等を、所定の箇所に入れていきます。

 

各項目の転記が完了したら、別表一の次葉(税額を計算するための書類)の作成に移ります。

各項目に計算の方法が書かれているため、指示に従いながら計算しましょう。

最後に、計算した税額を別表一の該当箇所に転記すれば別表一の完成です。

別表五の空欄箇所を埋める

税額が確定したことで、別表五の空欄箇所を埋められるようになります。

当期の税額等を転記した後、期末の未納税額等を計算して埋めることで、別表五も完成です。

 

また、この段階で未払法人税等に関する仕訳も入力しましょう。法人税等の仕訳を行うことで必要な仕訳がすべて完了し、当期純利益が確定します。

別表四を修正、空欄箇所を埋める

未払法人税等の金額が確定したことで、別表四の「当期利益又は当期欠損の額」が変わります。そのため以下の作業が必要です。

  • 1.「当期利益又は当期欠損の額」を、法人税等の仕訳を反映させた後のものに修正する
  • ※損益計算書の税引後当期純利益と一致します
  • 2.別表四「2.損金経理をした納税充当金」に未払法人税等の額を入れる

 

法人税等を反映させることで当期利益が当初よりも小さくなりますが、その後加算項目として税額を入れるため、結果として他の項目に影響はありません

小計・仮計・総計等は最初に記載した額と同じになります。

法人税申告書の提出方法

法人税申告書の提出方法は以下の4つです。

  • ・管轄の税務署へ直接持参する
  • ・税務署の時間外収受箱に投函する
  • ・郵送で提出する
  • ・e-Taxで提出する

 

申告書の提出および納付期間は、決算日(事業年度終了日)の翌日から2ヶ月以内です。

ただし株主総会の開催を事業年度の終了から3ヶ月以内と定めている場合、事前に所定の手続きを行うことで申告期限を1ヶ月延長できます。

ただし納付期限は延長できません。そのため申告期限を延長する場合、期日までに概算の税額を見込納付し、申告の際に改めて精算する必要があります。

まとめ

法人税申告書は、作成する書類や記載項目が多く、個々の明細書から別の別表へ転記する項目や計算が必要な部分もあります。

少しでも記載内容や計算にミスがあると税額がズレてしまい、税務調査で指摘を受けてしまう恐れがあります。

 

実際のところ、専門知識のない人が作成するのは負担が重く、どうしてもミスや漏れの恐れが大きくなります。

少しでも不安や疑問があれば、自社ですべての対応をしようとせず、専門家である税理士へご相談ください。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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