会社設立が無効になるケースとは?設立無効の訴えについて解説!

2024.06.06

一度成立した会社設立が無効になるのは、会社の設立無効の訴えが確定した場合のみです。

会社の設立無効の訴えは容易に行うことはできず、厳しいルールが設けられています。

また、会社設立の無効には遡及効がなく、既に済んでいる行為には影響を与えません。

 

設立無効の訴えは簡単に通るものではありませんが、もし確定してしまうと広範囲に多大な悪影響が発生し得ます。

万が一に備えて、設立無効の訴えについて事前に理解を深めておくのが安心です。

 

会社設立の流れについては以下の記事をご覧ください。

 

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CONTENTS

会社設立の無効・設立無効の訴えの概要

はじめに、会社設立の無効や設立無効の訴えの概要について解説します。

設立無効の訴えとは

会社の設立無効とは、会社設立が有効に成立した後、設立手続きに不備が見つかった等の理由から会社設立を無効にすることです。

そして「設立無効の訴え」とは、会社の設立無効を主張する裁判上の手続きを意味します。

 

設立無効については、会社法828条において以下のように定められています。

  • ・会社設立を含め、会社法828条に掲げる行為の無効は、各号に定める期間における訴えを以ってのみ主張できる
  • ・会社設立の無効の訴えができる期間は、会社の成立の日から2年以内
  • ・会社設立の無効の訴えができるのは、設立する株式会社の株主等(持分会社の場合は社員等)

有効に成立した会社設立を無効にするのは、契約などの法律関係を混乱させ、法的安定性を損なう行為です。

そのため設立無効の訴えを容易に行うことはできません。

会社法828条で訴えができる期間および提起できる人の条件が定められている上、会社設立が無効になるケースの例も限られています。

 

また訴えを行う株主(原告)が敗訴した場合、原告に悪意または重大な過失があれば、原告は会社に対し連帯して損害を賠償する責任を負います。

会社法846条「原告が敗訴した場合の損害賠償責任」で定められている内容です。

 

なお、設立無効の訴えが確定した場合、会社はその旨を登記し清算する必要があります。

設立無効の要件

設立無効の訴えができるのは、客観的に手続上のミスが存在している場合のみです。

例として、客観的に確認できる書類である定款や登記の不備が挙げられます。

 

単に発起人に思い違いが存在しているだけの状態では他者が認識できないため、客観的なミスがあるとはいえません。

なお客観的に認識できないミスや不備は、主観的無効原因(意思無能力、意思の不存在)と表現されます。

会社設立が無効になるケースの例

前項で「設立無効の訴えができるのは、客観的に手続上のミスが存在している場合のみ」を紹介しました。

ここでは会社設立が無効になるケースの具体例を紹介します。

 

  • 定款の絶対的記載事項が記載されていない、内容が誤っている
  • 定款の記載事項は、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3つに分けられます。
  • 絶対的記載事項は定款に必ず記載が必要であり、記載に漏れがあると定款そのものが無効になる項目です。
  • したがって絶対的記載事項が記載されていない、もしくは絶対的記載事項の内容に漏れがある場合、設立無効の訴えが確定する可能性が高いです。
  •  
  • 本来必要であるのに変態設立事項の調査がない
  • 変態設立事項は、現物出資・財産引受・発起人の報酬・設立費用の4つが該当します。
  • 発起人の利益のために会社の財産基盤を損なわせる可能性があるため、原則として検査役による調査および定款への記載が必要です。
  • 変態設立事項の調査がない場合も、会社の設立無効の訴えが確定し得ます。
  •  
  • 創立総会が適法でない(未招集・議事録の不正など)
  • 創立総会とは株式会社の募集設立において、発起人と設立時株主全員によって構成される株主総会です。募集設立の際は創立総会を行う必要があります。
  • 募集設立であるのに創立総会が未招集の場合や、議事録に不正があった場合、会社設立が無効になる可能性が高いです。
  •  
  • 公証人による定款認証が行われていない
  • 株式発行事項の決定について発起人全員の同意がない
  • いずれも会社設立に必要な作業を怠ったとして、会社の設立無効が確定する要因になり得ます。

設立無効の訴えに関するルール

会社の設立無効の訴えに関するルールを紹介します。

 

まず、設立無効の訴えができるのは株主・取締役・監査役・清算人のみです。持分会社の場合は社員または清算人のみとなります。

債権者に設立無効の訴えの権利がない点は注意するべき点といえるでしょう。

 

また、提訴期間は会社設立の成立日から2年以内です。

会社設立の成立日は登記簿謄本の「会社成立日」の欄に記載されています。

 

設立無効の訴えができる者の範囲および提訴期間は、いずれも会社法828条「会社の組織に関する行為の無効の訴え」で定められている内容です。

会社設立の無効は将来に効力を持つ

会社設立の無効は将来に効力を持ちます。

会社として締結済みの契約や取引など、既に済んでいる行為には影響を与えません

会社設立の無効は会社関係者に多大な損害を及ぼす恐れがある行為です。

 

会社そのものがなかったと扱われてしまうと、会社関係者も損失を被ることになってしまいます。

直接の取引先だけでなく、業界や社会全体に悪影響を及ぼします。

このような事態を防ぐため、会社設立の無効には遡及効がありません。

設立無効の訴えが確定した場合、会社の解散と同じような流れとなり、清算手続きの後に会社が消滅します。

設立無効と似た用語の違い

この章では、会社の設立無効と似た用語の違いを紹介します。

会社の不存在

会社の不存在とは、会社が設立手続きを行っていない状態を意味する言葉です。

会社の不存在に該当するケースとして以下の例が挙げられます。

  • ・設立登記をせずに企業として活動をしている
  • ・設立登記はしたものの、そのほかの設立手続き(税務署への届出等)を行っていない

会社の不存在には、主張できる人の範囲や期間の定めがありません。

会社の不成立

会社の不成立は、会社設立に向けて手続きが進められていたものの、設立登記に至らなかった状態を指します。

前項で紹介した会社の不存在と同様に、主張できる人の範囲や期間に定めはありません。

 

会社の不存在の主張が通った場合、設立行為に関する費用等についてはすべて発起人全員の連帯責任となります。

過失の有無に関係なく、発起人全員が出資金等の返還義務を負います。

持分会社の設立取消しの訴え

設立取消しの訴えは持分会社特有の制度です。

持分会社の設立取消しの訴えができるケースとして以下の2つが挙げられます。

  • 1.社員が民法その他の法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき
  • 2.社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したとき

(引用元|会社法第832条

1に該当する場合は当該社員が、2に該当する場合は当該債権者が訴えによる設立取消しの請求をできます。

なお、設立取消しの訴えができるのは、持分会社の成立の日から2年以内です。

まとめ

会社の設立無効とは、会社の設立手続きに不備が見つかった等の理由から会社設立を無効にすることです。

設立無効の訴えは、会社の設立無効を主張する裁判上の手続きを意味します。

 

一度有効に成立した会社設立を無効にする行為は、法的安定性を損なう恐れの大きい行為です。

そのため設立無効の訴えは簡単には実施できず、厳しいルールが定められています。

また、会社設立の無効には遡及効がなく、効力が生じるのは訴えが確定した日以降です。

 

設立無効の訴えが確定した場合、その旨を登記して会社を清算する必要があります。

会社として活動ができなくなるだけでなく、関係者へ多大な迷惑や悪影響を及ぼす恐れもあります。

 

会社設立が無効になってしまう理由について理解を深め、設立無効の訴えが起こらないよう設立手続きを適切に進めましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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