起業・開業・独立など、創業時にはまとまった額のお金が必要です。
事業内容にもよりますが、設備投資のために数百万から数千万円といった資金が必要なケースもあるでしょう。
これほどの高額のお金を自己資金のみでまかなうのは困難です。
創業融資制度とは、創業に際して利用できる融資制度の総称です。
ほかの融資制度と比較して、利用しやすい・利用のハードルが低いという特徴を有します。
創業時のお金に関する課題を解決するためには、創業融資制度を上手く活用することが大切です。
今回は創業融資について、概要や制度の種類、利用する際の注意点などを解説します。
創業融資申請の必要書類については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
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CONTENTS
創業融資とは
創業融資とは、独立や起業・開業に際してお金を借りることができる制度です。
創業融資という制度があるわけではなく、創業時に申し込める制度をまとめて創業融資と呼ぶイメージです。
自己資金では足りない場合に、金融機関や自治体の創業融資制度を用いて資金調達を行ないます。
独立や開業時にはまとまった資金が必要であり、すべて自己資金でまかなうのは容易ではありません。
そのため創業融資を利用するケースは多くみられます。
創業融資の特徴
一口に創業融資といっても制度にはさまざまな種類があり、それぞれ内容が異なります。
そのため「創業融資はこのような制度」と一概に明言はできません。
しかし、一般的に創業融資と呼ばれる制度には、以下のように共通する特徴がみられます。
- ・担保や保証人不要と、ほかの融資制度よりも申請のハードルが低い
- ・申し込みから審査、融資の実行までのスピードが速い
- ※ただし、後述する「制度融資」は複数の団体によって審査が行われるため、ほかの創業融資制度よりも審査に時間がかかる傾向があります
- ・事業計画書や自己資金を中心に審査が行われるため、事業に関する実績がなくても申し込みができる
- ・一般的な融資制度よりも金利が低めに設定されている傾向にある
創業融資はそのほかの融資制度と比較すると、利用しやすい・ハードルが低いといえるでしょう。
創業融資の注意点
創業融資は利用しやすい融資制度ではありますが、3つの注意点があります。
ひとつは申し込み前の準備が非常に重要な点です。
前述したように、創業融資は事業に関する実績がなくても申し込みができます。
しかし、申し込みに際して何もチェックされないわけではありません。
事業実績の代わりに、事業計画書や面談などにおいて、返済能力のチェックが行われます。
したがって、一般的な融資制度よりも、事業計画書の作成や面接対策といった事前準備の重要性が高くなります。
申し込みは原則1回限りという点にも注意が必要です。
提出した事業計画書を修正したい・面接でミスをしてしまったなどの場合もやり直しはできません。
最後に、審査に通過して融資が決定されたとしても、希望通りの融資額になるとは限らない点も押さえておく必要があります。
融資額は事業計画や自己資金の大きさなどから返済能力を判断した上で決定されるため、希望額に満たないケースも多いです。
希望額よりも融資額が小さく、想定していた設備投資や事業展開ができないケースもあります。
創業融資は申し込みのハードルが低い融資制度とはいえ、決して簡単な制度というわけではありません。
特にこれから事業を開始する人の多くは、融資申し込みの経験がないでしょう。未経験の人が審査に向けて十分な準備をする・自分に合う融資制度を正確に選ぶのは困難です。
融資を受けられる可能性を高めるためにも、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
創業融資の種類
創業融資として今回は4つの制度を取り上げました。それぞれ詳しく解説します。
※今回紹介する内容はいずれも2023年2月時点の情報を基にしています。
新創業融資制度
新創業融資制度は、日本政策金融公庫による融資制度です。
新たに事業を始める人や、事業を開始したばかりの人を対象にしています。
新創業融資制度を利用するための要件は以下の2つです。
この両方を満たす必要があります。
- ・新たに事業を始める、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない
- ・新たに事業を始める人および事業開始後税務申告を1期終えていない場合、創業時点において創業資金総額の10分の1以上の自己資金がある(自己資金の金額や存在を確認できる)
資金用途は開業資金・設備資金・運転資金に限定されています。
融資限度額は3,000万円で、そのうち運転資金は1,500万円です。
新創業融資制度の特徴として、担保および保証人が原則不要な点が挙げられます。
ただし、法人で利用する場合は代表者が連帯保証人になることも可能です。
代表者を連帯保証人とする場合は利率が0.1%軽減されます。
新創業融資制度の利率は年2.33~3.45%です。
特定の要件を満たす場合は、基準となる利率よりも低い利率が適用されるケースもあります。
正確な利率は返済期間などの条件によって決定されるため、申し込み段階では確認できません。
新規開業資金
新規開業資金も、新創業融資制度と同様、日本政策金融公庫による融資制度です。
新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人を対象としており、新創業融資制度よりも利用できる人の範囲が広くなっています。
資金用途は新創業融資制度と同様、開業資金・設備資金・運転資金に限定されています。
融資限度額は7,200万円、うち4,800万円は運転資金です。
返済期間が定められており、設備資金は20年以内、運転資金は7年以内となっています。
いずれも2年以内の据置期間が設定されています。
利率は基本的に、日本政策金融公庫で共通する基準利率です。担保の有無によって基準利率自体が異なります。
なお女性・35歳未満または55歳以上・認定経営革新等支援機関による指導を受けているなど、要件を満たすとさらに低い利率が適用されます。
適用される利率はさまざまな要素によって決定されるため、事前に確認しましょう。
担保・保証人は必ずしも必要とは限らず、希望を伺いながら相談すると公表されています。
申込者の状況によっては、別の融資制度の併用も可能です。
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金は日本政策金融公庫による融資制度であり、国民生活事業と中小企業事業の2種類があります。
今回は国民生活事業による制度に絞って紹介します。
女性、若者/シニア起業家支援資金の対象となるのは、以下2つの要件を満たす人です。
- ・新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人
- ・女性、35歳未満、55歳以上のいずれかに該当する人
融資限度額は7,200万円、うち4,800万円は運転資金となっています。
設備資金の返済期間は20年以内、運転資金は7年以内であり、うち据置期間が2年以内です。
担保・保証人の有無については、希望を聞きながら相談に乗ってもらえます。
適用される利率はケースによって異なります。
前述した新規開業資金に似た制度であり、より利率が低く適用対象が限定された制度といえるでしょう。
制度融資
制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して実行する融資制度です。
特徴は以下の通りです。
- ・融資の申し込み先が自治体である
- ・一般的な金融機関の融資制度と比べて金利が低い傾向
- ・地方自治体・金融機関・信用保証協会によって審査が行われるため、申込から融資の実行まで時間がかかりがち
制度融資の対象者や利率は自治体によって異なります。
一口に融資制度といっても内容はさまざまであるため、ご自身が事業を行う自治体の制度について詳細をご確認ください
まとめ
創業融資は一般的な融資制度よりも利用のハードルが低めといえます。
創業時の資金調達手段として効果的・利用しやすい方法です。
ただし、創業融資は入念な事前準備が必要・申し込みは1回限りといった注意点があり、希望通りに利用できるとは限りません。
また、一口に創業融資といってもさまざまな制度があり、どの制度が適しているか正しい判断が必要です。
創業融資を上手く活用する・創業融資に関する希望を叶えるためには、専門家に相談してサポートを受けるのがおすすめです。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士