「赤字決算の場合は融資を受けられないと聞いた」
「赤字の場合でもできる資金調達方法はある?」
このような疑問や不安をお持ちの人も多いでしょう。
結論として、赤字決算でも融資を受けられるケースはあります。
融資を受けられるか否かは利益の有無よりも、それ以外の要素で決まる部分が大きいためです。
ただし黒字の場合に比べると資金調達のハードルが高いのは事実であり、注意点を押さえる必要があります。
今回は赤字決算で資金調達をする上で押さえたいコツや注意点について詳しく解説します。
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CONTENTS
赤字決算でも融資を受けられるケースはある
結論として、赤字決算でも融資を受けられるケースは存在します。
そもそも、利益の有無で融資の可否が決まるわけではありません。
融資を受けられるか否かは、利益の有無よりそれ以外の要素で決まる部分が大きいです。
とはいえ、赤字決算の理由によっては融資を受けるのが難しいケースもあります。
この章では赤字決算で融資を受けられるケースと、融資を受けられる可能性が低いケースの例を紹介します。
赤字決算で融資を受けられるケースの例
赤字決算で融資を受けられるのは、赤字が一時的な場合です。
赤字が一時的であり、赤字決算でも融資を受けられる可能性が高いケースの主な具体例は以下の3つです。
創業赤字
創業直後は初期費用がかさみ、かつ安定した売上収入の確保が難しいためどうしても赤字になりやすい傾向です。
金融機関側もこの事情を把握しているため、創業直後は赤字でも融資を受けられるケースが多くみられます。
ただし、創業直後とはいえ損失が極端に大きい場合や、赤字解消の見込がない場合は融資が難しくなります。
理由が明確な一過性の赤字
赤字の理由が明確であり、かつ一過性の赤字と認められる場合は融資を受けられる可能性が高いです。
理由が明確な一過性の赤字として以下の具体例が挙げられます。
- ・多額の設備投資をした
- ・不動産等の売却により特別損失が出た
- ・災害により大きな被害を受けた
- ・役員慰労金の支払いが発生した
「本業以外の理由による赤字」「経常利益は黒字だが特別損失の発生により当期利益が赤字になっている」等が該当します。
上記のような理由による赤字は通常通りの事業活動をすれば解消される見込みのため、問題視されず融資を受けられる可能性が高いです。
赤字の改善策がある
本業が赤字でも、赤字の改善策が存在する場合は融資を受けられる可能性があります。
該当する例は以下の通りです。
- ・新規事業や事業拡大により支出が増えているが、近いうちに黒字になると考えられる
- ・経費削減や売り上げ単価アップなど、利益向上につながる具体的な施策がある
赤字の改善策が楽観的なものではなく具体的な内容であれば、現時点では赤字でも融資を受けられる可能性が高いでしょう。
融資を受けられる可能性が低いケースの例
融資を受けられる可能性が低いのは、改善の見込がないと判断される場合です。
該当するケースの具体例を3つ紹介します。
赤字決算が何期も続いている
いわゆる恒常的・慢性的な赤字です。
赤字決算が何期も続いている企業の場合、金融機関は融資が焦げ付く、つまり回収不能になる恐れが大きいと判断します。
赤字決算が連続している企業が融資を受けるのは非常に難しいといえるでしょう。
返済原資がない
返済原資は単純な現預金残高ではなく、一般的には「当期純利益+減価償却費」で算出します。
返済原資がない場合も融資が焦げ付くリスクが高いとみなされ、融資を受けるのが難しくなります。
なお赤字決算の場合に限らず、たとえ財務諸表上は黒字でも返済原資がない場合は、融資を断られる恐れが大きいです。
債務超過の状態である
債務超過とは、企業が保有する資産よりも負債の方が多いことを指します。企業の全資産を返済に充てても債務が残る状態といえます。
利益の有無に関係なく、債務超過の企業に対して融資が行われる可能性は非常に低いです。
赤字決算 資金調達のコツ
赤字決算の企業が資金調達をするために押さえるべきコツを3つ紹介します。
赤字の改善策や今後の計画表を具体的に立てる
まずは赤字の改善策や今後の計画表を具体的に立てましょう。
金融機関に対して赤字の理由や今後の改善見込みを伝える際に説得力のある説明をするために必要です。
明確にするべき事項として以下の例が挙げられます。
- ・赤字決算である理由
- ・現時点の課題
- ・赤字決算を解消する方法
- ・近いうちに赤字決算が解消される見込みの場合はその理由
- ・売上や利益をあげるための具体的な方法
- ・融資を必要とする理由や資金使途
資金繰り表を作成する
赤字状態の企業で融資を受けられる可能性を上げるには、資金繰り表の作成が必須といえます。
資金繰り表を作成するべきといえる理由は以下の通りです。
- ・お金の流れが可視化されるため説明の説得力が増す
- ・金融機関は書類文化が根強いため、口頭での説明のみでは効果が薄いと考えられる
- ・資金繰り表を作る過程で資金の流れを整理でき、整合性がとれた資金計画や返済計画を立てられる
なお融資以外の資金調達手段を検討する場合も、資金繰り表を作成するのがおすすめです。
資金の流れを可視化することで、自社に適した資金調達手段や必要な額、資金繰りに関する課題等を明確にできます。
融資以外の方法を検討する
融資を受けるのが難しいと考えられる場合、融資以外の資金調達手段を検討するのが良いでしょう。
資金調達手段の例を紹介します。
補助金や助成金等の給付制度
返済不要の資金を受給できます。制度によって目的や要件が異なるため、自社に合った制度を選びましょう。
なお申し込みから支給までに時間がかかりやすいため、すぐに資金が必要な場合にはおすすめできません。
出資を受ける
現時点の株主から追加で出資を受ける方法のほか、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資を募る方法もあります。
エンジェル投資家・ベンチャーキャピタルについては以下の記事をご覧ください。
クラウドファンディングを実施する
インターネットを通じて不特定多数から支援を募る方法です。
上手くいけば高額の資金調達ができる可能性がある一方、資金調達が成功するとは限らないという注意点もあります。
クラウドファンディングについては以下の記事をご覧ください。
赤字決算で融資を申し込む際の注意点
最後に、赤字決算で融資を申し込む際の注意点を3つ紹介します。
事前に十分な準備が必要
赤字決算の企業が融資に申し込む場合、事前に十分な準備が必要です。
融資申し込みの際に準備が必要なのは黒字の企業も同様ですが、赤字決算の企業はより入念な対策が必要といえるでしょう。
融資申し込みに向けてやるべき準備として以下の3つが挙げられます。
- ・資金繰り表や経営改善計画書など書類の作成
- ・面接で聞かれる質問の予想および回答の準備
- ・資金使途の明確化
支払いの滞納があると審査に通過しにくい
赤字決算の企業に限らず、支払いの滞納がある企業は融資審査に通過しにくいです。
税金や社会保険料等の滞納がある場合は融資申し込みの前に解消させましょう。
また既存の借入金の返済遅延や滞納がある場合も、新たな融資は難しくなります。
自転車操業にならないよう資金使途に注意する
融資によって調達した資金を赤字の補てんに使うのは避けましょう。
調達した資金を赤字補てんに使う方法をとってしまうと、やがて自転車操業になり結局何も改善されないという事態に陥ってしまいます。
融資による借入額は赤字の補てんではなく、赤字の抜本的な改善につながるような使い方をする必要があります。
まとめ
赤字決算だからといって融資が受けられないとは限りません。
赤字が一過性の場合や、理由が明確かつ改善の見込がある場合、その旨を適切に説明すれば融資を受けられる可能性が高くなります。
反対に恒常的赤字の企業や、赤字かつ返済原資がない・債務超過である等の場合は、新たな融資を受けるのが難しいでしょう。
融資に申し込む前に、自社の赤字がどのような状態のものが正確に把握する必要があります。
融資を受けるのが難しそうな場合、補助金・助成金や出資を受ける等、別の資金調達手段をとるのがおすすめです。
自社に適した資金調達手段を判断できない場合や、資金調達について疑問や不安がある場合、資金調達支援に強みを持つ専門家へご相談ください。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士