創業融資の利率(金利)はどれくらい?代表的な3つの制度を比較!

2023.06.05

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創業融資とは、これから創業する人や創業したばかりの人でも利用できる融資制度の総称です。

創業融資という名称の制度があるわけではなく、創業時点で利用できる融資制度をまとめて創業融資と呼びます。

一口に創業融資といっても実際は複数の融資制度があり、それぞれ特徴や条件、そして適用される利率が大きく異なります。

創業融資を利用するのであれば、融資制度ごとの適用利率についても確認が必要です。

今回は創業融資と呼ばれるもののうち、代表的な3つの制度の利率について詳しく解説します。

創業融資全般については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

CONTENTS

創業融資の利率を見る前に

創業融資の利率を見る前に、まずは創業融資の概要について解説します。

創業融資とは

創業融資とは、創業前後や創業したばかりの人でも利用できる融資制度の総称です。

創業融資と呼ばれる制度が存在するわけではありません。

 

通常、融資を申し込む際は返済能力の判断材料として事業実績に関する資料が必要です。

創業期は事業実績がないため利用できない融資制度がほとんどですが、事業内容や業種によっては創業期に必要な資金をすべて自分で用意できないこともよくあります。

創業融資は中小企業・小規模事業者の創業を支援する目的で設けられた制度といえます。

 

なお、創業融資と呼ばれる制度の多くは日本政策金融公庫の融資制度です。

日本政策金融公庫は一般の金融機関が行う金融の補完を目的とした機関であり、民間の銀行では難しい創業者の支援も対象としています。

次章で紹介する創業融資の具体例も、すべて日本政策金融公庫による融資制度です。

日本政策金融公庫の利率の仕組み

日本政策金融公庫は、融資制度ごとに個別の利率を設定しているわけではありません。

原則として、日本政策金融公庫全体で共通する利率を用意しており、融資制度の特徴ごとに適用される利率が決まっているイメージです。

 

日本政策金融公庫公式サイトの利率に関するページには、「保を不要とする融資を利用される方(税務申告を2期終えている方)」「担保を提供する融資を利用される方」のように、ケース別に利率が提示されています。

個々の融資制度のページでは具体的な利率の記載はされておらず、利率について解説するページのリンクが設定されています。

 

通常、適用されるのは基準利率と呼ばれるものです。

ただし特定の要件を満たすことで、より低い利率である特別利率が適用されるケースもあります。

たとえば新規開業資金の場合、通常は基準利率が適用されますが、Uターン等により過疎地域で新たに事業を始める人は特別利率Bの対象です。

 

なお、基準利率・特別利率ともに一律で固定ではなく、基準利率2.03~3.15%のように多少の幅が設けられています。

適用される正確な利率は返済期間や担保の有無といった条件によって決まるため、申込時点では不明です。

日本政策金融公庫 創業融資の利率

ここからは日本政策金融公庫の創業融資3つについて、それぞれ利率を中心に詳しく解説します。

なお、今回紹介する内容はいずれも2023年5月1日時点での情報です。

利率が変更される可能性もあるため、必ず最新の情報をご確認ください。

新創業融資制度

新創業融資制度は、創業者や創業から間もない人を対象とした融資制度です。

以下2つの要件を満たす必要があります。

  • 対象者の要件
  •  新たに事業を始める、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない。

  • 自己資金の要件
  •  新たに事業を始める、もしくは事業開始後税務申告を1期終えていない場合、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金がある。

新創業融資制度(無担保・無保証人)の基準利率は2.27~3.30%です。

正確な利率は返済期間や使用用途などの条件に設定されますが、基本的には基準利率の範囲内となります。

 

前章で紹介したように、日本政策金融公庫には基準利率よりも低い特別利率という仕組みもあります。

新創業融資制度の特別利率は全部で8種類あり、それぞれ以下のとおりです。

  • ・特別利率A: 1.87~2.90%
  • ・特別利率B: 1.62~2.65%
  • ・特別利率C: 1.37~2.40%
  • ・特別利率D: 1.62~2.35%
  • ・特別利率E: 0.87~1.90%
  • ・特別利率J: 1.22~2.25%
  • ・特別利率P: 2.07~2.80%
  • ・特別利率Q: 1.87~2.60%

新規開業資金

新規開業資金は新たに事業を始める人および事業開始後おおむね7年以内の人を対象とした融資制度です。

前項で紹介した新創業融資制度よりも広い範囲の人が利用対象者となります。

 

新規開業資金で適用される利率は、原則として国民生活事業の基準利率です。

新規開業資金は担保や保証人の有無を相談しながら決定する制度であり、担保・保証人の有無によって利率が大きく異なります。

担保有の基準利率は1.02~2.65%、担保なしの場合は1.97~3.00%です。

 

新規開業資金の特徴として、特別利率の適用対象となる要件が明確に公表されている点が挙げられます。

具体的な例は以下の通りです。

  • ・女性および35歳未満または55歳以上の人
     特別利率A

  • ・地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付を受ける人
     特別利率B

  • ・創業塾や創業セミナーなどを受けた上で新たに事業を始める人
     特別利率A
  •  ※35歳未満の場合は特別利率D

  • ・技術・ノウハウ等に新規性がある
     特別利率A・B・C・D
  •  

ほかにも特別利率の対象となる要件が複数設定されているため、詳しくは公式サイトでご確認ください。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、以下の要件を満たす人を対象とした融資制度です。

  • ・新たに事業を始める人もしくは事業開始後おおむね7年以内の人
  • ・女性、35歳未満、55歳以上のいずれかに該当する人

1つ目の要件は、前項で紹介した新規開業資金とまったく同じ内容です。

女性、若者/シニア起業家支援資金は新規開業資金の要件に、性別・年齢の要件が加わった制度といえます。

 

女性、若者/シニア起業家支援資金で適用される利率は、原則として特別利率Aです。

ただし特定の要件を満たすことで、以下のように別の利率が適用されるケースもあります。

  • ・技術・ノウハウ等に新規性がある
     特別利率A・B・C・D

  • ・地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付を受けた上で新たに事業を始める
     特別利率B

  • ・前述の起業支援金と移住支援金の両方の交付決定を受けた上で新たに事業を始める
     特別利率C
  •  

新規開業資金よりも対象範囲が狭く、より低い利率の制度といえます。

【参考】制度融資の利率

創業融資と呼ばれるものは日本政策金融公庫の制度がほとんどであると紹介しました。

しかし例外として、制度融資の中にも創業期から利用できるものが存在します。

制度融資とは地方自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して実行する融資制度です。

融資申し込みの窓口は自治体であり、制度の種類や要件なども自治体によって大きく異なります。

制度融資の中には創業者を対象としたものも多いため、制度融資も創業融資のひとつといえます。

制度融資の詳細は自治体によって異なりますが、金融機関の融資よりも金利が低い傾向です。

たとえば東京都中小企業制度融資の創業融資は、利率が1.7~2.2%以内とされています。

創業時の資金調達手段として、制度融資もおすすめの方法です。

ぜひ事業を行う自治体ごとの案内をご確認ください。

まとめ

創業融資は創業期に利用できる融資制度の総称であり、制度によって対象者や適用される利率が大きく異なります。

自分に合った方法での資金調達を行うためには、融資制度ごとの案内をしっかり確認した上で選ぶことが大切です。

 

今回、日本政策金融公庫の創業融資制度3つと、地方自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資を紹介しました。

創業融資を選ぶ上での参考にしていただければ幸いです。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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