創業融資は、創業前後の事業実績がない人でも申し込める融資制度の総称です。
開業資金をすべて自分でまかなうのは容易ではないため、創業融資は創業期の資金調達手段として多く用いられています。
しかし、創業融資に限らず、融資は申し込んでから実行されるまでに時間がかかります。
そのため、必要なタイミングまでに資金調達を終えるためには早めの準備や申し込みが必要です。
今回は創業融資の申し込みについて、いつまでに行うべきか、最適なタイミングはいつかという点を中心に解説します。
創業融資の申し込み準備に関して解説した記事もありますので、ぜひこちらもご覧ください。
CONTENTS
創業融資を申し込めるのはいつまで?
まずは制度のルールとして、創業融資を申し込めるのがいつまでかを紹介します。
そもそも創業融資とは
創業融資とは、これから事業を始める人(創業する人)でも利用できる融資制度を意味する言葉です。
創業融資という名前の制度があるわけではなく、創業期に利用できる融資制度であれば創業融資に該当します。
融資では申込者の返済能力をチェックし、融資を実行するか、融資額をいくらにするかなどを判断します。
そのため、返済能力の基準になる材料が必要です。
一般的には、過去数年分の決算申告書や現時点の財務諸表など、事業実績がわかる資料を利用します。
創業前後や創業したばかりの頃は、事業実績に関する資料がありません。
そのため、多くの場合融資制度は利用できないことになってしまいます。
しかし、創業融資に該当する融資制度は、創業計画・事業計画・事業者の状況などをもとに返済能力の判断をします。
そのため、創業融資は創業期で事業実績がない人でも利用可能です。
主な創業融資の種類と申し込み期限
創業融資に該当するものの多くは、日本政策金融公庫による融資制度です。
民間の銀行など、一般的な金融機関では創業期に利用できる融資制度を実施していないケースがほとんどです。
ただし例外として、金融機関・地方自治体・信用保証協会の3者が連携して実施する制度融資の中には、創業者でも利用できるものが多くあります。
日本政策金融公庫以外の融資を利用したい・なるべく選択肢を増やしたいと考える人は、制度融資を検討するのも良いでしょう。
まずは日本政策金融公庫の創業融資3つについて、それぞれ申込期限を紹介します。
- 新創業融資制度
- 対象者は、新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を2期終えていない人です。
- すなわち事業開始後、税務申告2期を終えるまでが申込期限となります。
- 新規開業資金
- 新たに事業を開始する人および事業開始からおおむね7年以内の人を対象とした制度です。
- したがって申込期限は、事業開始から7年程度といえます。
- 「おおむね」という表現の通り、細かな部分は融通が利く可能性があるため相談するのが確実でしょう。
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 前述した新規開業資金と同様に、新たに事業を開始する人および事業開始からおおむね7年以内の人が対象です。
- 申込期限も同じく事業開始から7年程度となります。
もっとも期限が短いのは新創業融資制度です。
税務申告2期を終えるまでが期限であるため、まさに創業期の人に絞った融資制度といえるでしょう。
先ほど少し触れた制度融資ですが、制度融資の種類・内容・各種要件は自治体によって異なります。
そのため申込期限について一概にはいえませんが、創業から3年以上経過していても申し込めるケースがあります。
日本政策金融公庫の創業融資の申し込み期限に間に合わない場合、制度融資を検討するのもひとつの手段です。
創業融資はいつまでに申し込むのが良い?
創業融資の申込期限は、申し込みができる最後のタイミングです。
創業融資の申し込みに最適なタイミングとは異なります。
この章では、創業融資の申し込みはいつまでに行うべきかを解説します。
創業の2〜3ヶ月前
創業融資の申込にもっともおすすめできるタイミングは、創業の2〜3ヶ月前です。
創業してから(会社設立登記をしてから)融資申し込みの準備を行うのではなく、会社設立に向けた準備の一環として創業融資の申込準備を進めていきます。
会社設立後は各種手続きや事業の本格的な開始などにより、融資申し込みの準備に割ける時間が少なくなります。
創業融資の申込には各種書類の用意や面接対策などが必要であり、時間的な余裕がない中で行うのは困難です。
創業準備で忙しいとはいえ、創業直前も会社設立後よりは時間がとりやすいといえます。
創業の2〜3ヶ月前は時間的な余裕があり、かつ、創業に向けた準備やビジョンが明確化しているおすすめのタイミングです。
また、創業時の資金繰りをスムーズにするためには、早めに融資を受けるのが理想です。
創業後に融資を申し込む場合、しばらくは資金が不足している状態となってしまいます。
せっかく開業しても資金がなければ事業展開ができず、時間や労力を無駄にしてしまう恐れがあります。
スムーズな事業展開を行うためにも、創業前の段階で融資関連が完了している状態が望ましいでしょう。
創業後の申し込みで注意したいポイント
創業融資の申し込みは、創業の2~3ヶ月前までに行うのが理想と紹介しました。
あくまで理想のタイミングであり、創業の2~3ヶ月前までに必ず申し込みしなければならないということではありません。
前章で紹介したように、創業融資と呼ばれる制度の多くは創業後も申し込みが可能です。
創業後に申し込む場合、「いつまで」を考えず、なるべく早めに手続きを行う必要があります。
早めの手続きが必要となる理由のひとつが、創業から一定期間経過後の申し込みでは、必要な書類が変わるためです。
税務申告1期を終えたあとは決算書の提出が必要となります。
創業直後は事業が安定しておらず、売上や利益が少ないケースが多いでしょう。
結果として、返済能力に懸念があると判断されやすくなってしまいます。
また、途中で資金が足りなくなったという理由で申し込むと、事業が低調という悪印象につながる恐れもあります。
創業直後で不安定な時期とはいえ、事業実績が存在する以上は判断材料として利用されます。
創業融資は、事業実績が不要なタイミングまでに申し込むのがおすすめです。
創業融資の審査に通過するためのポイント
創業融資は申し込めば必ず受けられるわけではなく、審査に通過する必要があります。
審査に通過するために押さえたいポイントとして、以下の5点が挙げられます。
- ・入念な準備を行う
- 資料の用意や面接対策など、できる限りの準備を行うことが大切です。
- ・書類の不備や漏れを起こさない
- 書類の不備や漏れは公庫側から見ると懸念点となり得る要素です。
- マイナス要素を最小限に抑えるため、書類の完璧な用意は必須といえます。
- ・客観性や根拠のある創業計画を作成する
- 創業融資の申し込みに際して必要となる創業計画書には、月の想定売上や経費といった事業の見通しを記載します。
- 主観が強すぎる内容は避け、根拠に基づいた客観的かつ現実的な内容の記載が必要です。
- ・なるべく多くの自己資金を用意する
- 自己資金が多いほど審査で有利になるのは事実です。
- 開業資金として、なるべく多くの自己資金を用意しましょう。
- ・面接時の姿勢や態度にも注意する
- 服装・丁寧な言葉遣い・冷静な態度など、一般的な面接マナー全般を守ることも大切です。
まとめ
創業融資の申し込みは、創業から年数が経過してからでも可能です。
申込期限がもっとも早い新創業融資制度であっても、税務申告2期を終えるまでの人を対象にしています。
「いつまで申し込めるか」という点では、それなりに余裕があるといえるでしょう。
ただし、創業融資の申し込みは創業前に行うのが理想です。
最適なタイミングとしては、創業の2~3ヶ月前がひとつの目安となります。
もし創業後に創業融資の申し込みを行うのであれば、なるべく早めに準備を行いましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士