自己資金があっても創業融資は受けた方がいい?借入するべき理由4つを解説!

2024.04.02

「自己資金が十分なら創業融資を受ける必要はない」「融資を受けないに越したことはない」

このように考える人も多いかもしれません。

 

しかし、自己資金がある場合でも創業融資を利用するのがおすすめです。

理由として、創業融資は他の融資に比べて利用しやすい、創業期は想定よりも支出が増えやすい等が挙げられます。

とはいえ高額の融資を受ければ良いわけでもなく、適切な金額で申し込むことが大切です。

 

今回は自己資金があっても創業融資を利用するべき理由や、創業融資を利用する際のポイントを紹介します。

 

なお、自己資金の額は創業融資の審査でチェックされる要素の1つです。

自己資金については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

CONTENTS

自己資金があっても創業融資を利用するべき理由

最初に紹介したように、自己資金がある場合でも創業融資を利用するのがおすすめです。

自己資金があっても創業融資を利用するべき理由を4つ紹介します。

創業融資は融資の中でも比較的利用しやすい

創業融資は様々な融資の中でも比較的利用しやすい制度です。

後に難易度の高い別の融資を申し込むよりも、まずは利用しやすい創業融資を選ぶのがおすすめといえます。

 

通常の融資は、審査の際に事業実績の確認が行われます。

しかし創業直後は事業実績がありません。そのため創業融資の審査では、事業実績の代わりに創業計画や申込者の現況を使います。

つまりこれまでの実績ではなく、申込者の情報や今後の見通しで審査をしてもらえるのです。

 

また、創業融資の多くは、創業からの期間以外に特別な条件を必要としていません。

満たすべき条件が少ない点も、創業融資を利用しやすい理由として挙げられます。

実際に融資が必要になってからの申し込みでは遅い場合がある

自己資金だけで創業費や開業費をまかなえるため、創業時点での融資は必要ないと考えるケースも多いかもしれません。

しかし、実際に融資が必要になってからの申し込みでは遅い場合があります。

 

一般的に、融資の申し込みから融資実行までに1~2ヶ月程度かかります。

そのため、資金が必要になってから融資に申し込んでも間に合わない可能性が高いです。

特に初回の融資申し込みは審査に時間がかかりやすく、入金される頃にはすでに手遅れのケースも珍しくありません。

 

創業直後のうちに利用しやすい創業融資を申し込んでおき、資金に余裕を持たせるのが安心です。

想定よりも支出が増えるケースが多い

事業において必要となる資金は、最初の想定よりも大きくなるケースが多いです。

特に創業直後は支出が増えやすいうえ、売上収入が発生するまでに時間がかかる可能性もあります。

そのため、必要な資金を自己資金および売上収入のみでまかなう前提では、近い将来に資金繰りが苦しくなるリスクがあります

創業直後は資金に余裕がある状態に見えていても、数ヶ月経った後には資金不足に陥っているケースも珍しくありません。

 

支出の大きさや入金のタイミングを読むのは非常に難しいため、想定よりも状況が悪くなってしまうケースは多くみられます。

想定以上の支出が発生しても資金の余裕を保てるよう、創業資金を受けておくのがおすすめです。

融資の実績があると次の融資を受けやすくなる

一般的に、融資の実績があると次の融資を受けやすくなります

 

融資を受けた実績があると次の融資を受けやすくなる理由は、主に以下の3つです。

  • ・すでに融資を利用した金融機関の場合、金融機関側が申込者の概要や事業内容を理解した状態のため、審査にかかる時間が短縮されやすい
  •  
  • ・すでに融資を利用した金融機関であれば、信頼関係が構築された状態で新たな融資の申し込みができる
  •  
  • ・別の金融機関に対しても、融資を問題なく返済した実績や、事業が上手くいっている旨のアピールができる

新規事業への参入や事業拡大など、多額の資金が必要になる場面は多く存在します。

そのような場面でスムーズな資金調達ができれば、その後の事業活動に大きなプラスとなるでしょう。

融資の実績を作るという意味でも、創業融資を利用しておくのがおすすめです。

創業融資を利用する際のポイント

創業融資を利用する際のポイントを3つ紹介します。

適切な金額を申し込む

創業融資を利用する際は、適切な金額を申し込みましょう。

 

創業融資は利用しやすいとはいえ、高額を申し込めば良いわけではありません。

必要以上に高額の融資では返済負担が大きくなる上、そもそも審査に通過しない恐れが大きくなってしまいます。

 

適切な融資額は業種や事業内容など様々な要素によって異なるため一概にはいえません。

ただし、創業融資による借入額は自己資金の3倍前後がひとつの目安です。

根拠資料として、日本政策金融公庫による「2023年度新規開業実態調査」の結果を紹介します。

同調査によると、創業時の資金調達額の平均は以下の通りです。

  • ・自己資金:280万円
  • ・配偶者等親族からの借入:50万円
  • ・友人知人等からの借入:37万円
  • ・金融機関等からの借入:768万円
  • ・その他:45万円

※調査年度:2023年度

 

また、融資額の決め方として以下の計算式も挙げられます。

  • (設備資金+運転資金3ヶ月分)-自己資金=融資額

やみくもに高額を申し込むのではなく、自社に適した融資額を計算しましょう。

創業計画書を丁寧に作る

創業融資の審査に通過するためには、創業計画書を丁寧に作る必要があります。

 

創業計画書とは申込者の現況や創業予定のビジネスに関する計画をまとめた資料です。

創業融資の審査において重視される資料のため、審査で高評価につながるような内容に仕上げる必要があります。

 

創業計画書を作る上で押さえたいポイントとして、以下の5点が挙げられます。

嘘や誇張表現をしない

審査で有利にするためとはいえ、嘘や誇張表現は厳禁です。かえってマイナス評価になり、審査に落ちる恐れが大きくなります。

根拠や妥当性のある内容を記載する

根拠がない・主観が強すぎる内容では、事業に対する知識や準備が不足していると捉えられてしまう恐れがあります。

なるべく具体的な内容を書く

具体的でわかりやすい内容であれば、担当者が情報を把握しやすく、審査がスムーズに進む可能性が期待できます。

熱意や真剣さをアピールする

事業に対する気持ちのアピールも、創業融資の審査では非常に大切な要素です。

矛盾や漏れを起こさない

異なる項目同士に整合性がないと、計画の曖昧さや準備不足等の悪印象を与えてしまう恐れがあります。

面接のコツを押さえる

創業融資の審査に通過する可能性を上げるため、事前に面接のコツを押さえておきましょう。

創業融資の面談でチェックされるポイントはある程度明確なため、事前の対策がしやすいです。

 

面談に向けて最低限押さえるべきコツとして、以下の3つが挙げられます。

相手に不快感を与えないよう注意する

言葉遣いや面談にふさわしい服装にする等、相手に不快感を与えないための基本的なマナーをしっかり押さえましょう。

質問に対して的確に答える

曖昧な答え方や話の脱線は審査に悪影響を及ぼす恐れがあります。

曖昧な答え方や話の脱線は審査に悪影響を及ぼす恐れが大きいです。

感情的な受け答えは審査に悪影響の恐れが大きいため、冷静に落ち着いた受け答えをしましょう。

まとめ

創業時点で十分な自己資金があっても、創業融資は利用するのがおすすめです。

創業融資は比較的利用しやすい制度であり、融資実績を作るという意味でも役立ちます。

また、創業融資を利用すれば資金に余裕が生まれ、将来資金不足に陥るリスクを抑えられます。

 

ただし、創業融資で多額の借入をすれば良いわけではありません。

融資額が大きすぎると返済負担が重くなり、かえって資金繰りが苦しくなってしまう恐れがあります。

自己資金の3倍程度を目安に、自社に適した融資額を申し込みましょう。

審査に通過するために、創業計画書を丁寧に作り込む・面接のコツを押さえることも大切です。

 

創業融資を利用できるのは創業後の限られた期間のみです。

自己資金に余裕がある場合でも、創業融資を利用してメリットを享受するのが良いでしょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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