「自己資金100万円で創業融資を受けられる?」「目標額の融資を受けるには自己資金をどれくらい用意するべき?」
このような疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
自己資金は創業融資の審査で重視される要素の1つであり、自己資金の額によって融資額が変わる可能性もあります。
そして、自己資金が多いほど有利になるのは事実です。
しかし自己資金100万円でも創業融資を受けられる可能性は十分にあります。自己資金以外にも、融資の審査で好印象につなげられる要素は存在します。
目標融資額を獲得するためには、自己資金を多く用意するだけでなく、そのほかのポイントを押さえることも大切です。
今回は創業融資について、自己資金100万円で受けられる借入額の目安や、融資を申し込む際のポイント等を紹介します。
創業融資を受ける上で必要となる自己資金の割合については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
CONTENTS
創業資金 自己資金100万円で受けられる借入額とは
はじめに、自己資金100万円で受けられる創業融資の借入額の最高額や目安を紹介します。
最高で1,000万円
自己資金100万円で受けられる借入額の最高額は理論上1,000万円です。
最高1,000万円の根拠として、新創業融資制度の要件が挙げられます。
新創業融資制度の要件は以下の通りです。
- 1.新たに事業を開始する、もしくは事業開始後税務申告2期を迎えていない
- 2.新たに事業を開始する、もしくは事業開始後税務申告1期を終えていない場合、創業時点において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる
2の要件から逆算し、自己資金100万円の場合、借入額の上限は1,000万円と考えられます。
借入額の目安は自己資金の2~3倍程度
創業融資による借入額は、自己資金の2~3倍前後がひとつの目安です。
根拠として、日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」の結果を紹介します。
- 同調査によると、創業時の資金調達額の平均は以下の通りです。
- ・自己資金:280万円
- ・配偶者等親族からの借入:50万円
- ・友人知人等からの借入:37万円
- ・金融機関等からの借入:768万円
- ・その他:45万円
金融機関等からの借入額は、自己資金の約2.74倍となっています。
上記は調査年度2023年の結果です。調査年度によって結果に多少の変動はありますが、おおむね2~3倍程度となっています。
以上の結果から、借入額の目安は自己資金の2~3倍程度といえるでしょう。
また、結果を逆算することで、目標融資額獲得のためには目標額の3割程度は自己資金を用意するべきと考えられます。
自己資金がなくても創業融資を受けられるケースはある
新創業融資制度は自己資金要件が明確に定められている制度です。
新創業融資制度を利用する場合、原則として要件を満たす自己資金が必要となります。
一方、自己資金要件がない制度であれば、自己資金がなくても創業融資を受けられる可能性があります。
用意するべき自己資金の割合も、あくまで調査結果から計算した大まかな目安に過ぎません。
前項では「目標額の3割程度は自己資金を用意するべき」と案内しましたが、自己資金を大きく上回る融資を受けられるケースも有り得ます。
創業融資 目標融資額獲得のためのポイント
この章では創業融資で目標融資額を獲得するための押さえるべきポイントについて、自己資金以外の要素を4つ紹介します。
妥当性のある創業計画を立てる
創業計画は創業融資の審査で特に重要な情報です。
創業融資の審査に通過し有利な条件で融資を受けるには、創業計画について高い評価を得ることが必須といえます。
なお、売り上げや利益が好調に出続ける前提の創業計画でも、内容が楽観的・非現実的では評価につながりません。
創業融資の審査で提出する創業計画は妥当性が非常に重要です。
創業計画を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- ・客観的で根拠のある情報を用いる
- ・希望的観測を盛り込まない
- ・季節性や創業するエリアの性質など、個々の要素も考慮した上で計画を立てる
創業予定の事業について経験を積む
創業予定の事業に関する経験の有無および程度は、創業融資の審査でチェックされる要素の1つです。
一般的に、創業融資の事業についての経験が豊富なほど審査で有利になります。
言い換えると、創業者に経験がまったくない状態とは、金融機関側にとっての懸念事項となり得ます。
事業に関する経験は正社員や経営陣としての経験に限らず、パート・アルバイトのような短時間の労働も含めることができます。
創業融資に申し込むのであれば、バイトでも良いので少しでも多くの経験を積んでおくのが理想です。
懸念事項がない状態で申し込む
申込者に懸念事項があると、審査通過の難易度が上がったり融資条件が不利になる等の恐れがあります。
たとえ融資を受けられるとしても、目標融資額の獲得は難しいといえるでしょう。
創業融資を好条件で受けるためには、懸念事項がない状態で申し込む必要があります。
創業融資の審査で悪影響となる懸念事項として以下の例が挙げられます。
- ・税金や国民健康保険料の滞納歴
- ・信用情報のキズ
- ・他社からの借入額が多い
専門家のサポートを受ける
融資制度の申し込みでは様々な作業が必要であり、融資申し込みや事業の経験がない人がすべて対応するのは容易ではありません。
融資に強みを持つ専門家に依頼すると、好条件で融資を獲得するための強力なサポートを受けられるため、専門家に依頼することをおすすめします。
創業融資 自己資金に関する注意点
最後に、創業融資の審査でチェックされる自己資金に関する注意点を2つ紹介します。
自己資金が多い方が有利なのは事実
自己資金は審査でチェックされる要素の1つに過ぎません。自己資金以外にも様々な要素を考慮した上で、融資の可否や条件が決定されます。
自己資金がなくても創業融資を受けられるケースは存在します。
自己資金100万円でも、他の要素でアピールできれば高額の融資を受けられる可能性もあるでしょう。
ただし実際のところ、自己資金が大きいほど審査で有利なのは事実です。
自己資金が少ない状態で高額の融資を獲得するには他の要素で返済能力を示す必要がありますが、決して容易ではありません。
自己資金がない、または少ない場合、創業準備が足りていないと判断される恐れもあります。
創業融資に申し込む際は、なるべく多額の自己資金を用意するのが理想です。
「資本金=自己資金」ではない
会社設立時に払い込む資本金と、創業融資の審査でチェックされる自己資金は異なる概念です。資本金と自己資金はイコールではありません。
融資審査でチェックされるのは資本金ではなく自己資金の方です。
自己資金と認められるのは、出所が明確で借入金ではないと証明されたお金のみです。
資本金には自分で用意したお金だけでなく、親戚や友人等からの借入が含まれている可能性があります。
資本金となったお金の出所は財務諸表の情報だけでは判断できません。
そのため創業融資の審査では資本金の情報をそのまま使うことはせず、お金の出所をしっかり確認します。
そして、借入金ではないことが明確なお金のみが自己資金として扱われるのです。
仮に資本金すべてが自分で用意したお金でも、出所を明確に示せなければ自己資金として認められません。
創業融資の申し込み時には、自己資金の出所を証明する書類が必要となります。
まとめ
自己資金が100万円の場合、創業融資で受けられる借入額の最高は理論上1,000万円です。
ただし実際のところ、創業融資の借入額は自己資金の2~3倍程度が目安となります。
自己資金以外にも様々なポイントを押さえることで、より目標融資額を獲得できる可能性があります。
とはいえ自己資金が多いほど審査で有利なのは事実です。
また、創業融資の審査でチェックされるのはあくまで自己資金であり、資本金ではない点にも注意する必要があります。
十分な自己資金を用意し、創業融資のポイントや注意点を押さえた上で創業融資に申し込みましょう。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士