創業融資の申請にはいくつかの工程があります。
工程ごとに注意点や必要な作業があるため、入念に確認しなければ漏れが起きてしまう可能性があります。
言い換えると、申請方法や流れを事前に確認しておけば、スムーズに手続きできます。
創業前後はやることが多く忙しくなるため、創業融資の流れについては早めに確認しておくのがおすすめです。
本記事では、創業融資申請の流れや押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。
創業融資審査の必要書類については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
CONTENTS
創業融資申請 手続きの流れ
大前提として、創業融資は創業時に利用できる融資制度の総称です。
様々な融資制度がありますが、単に創業融資と呼ぶ場合、日本政策金融公庫の融資制度を指すケースが多いです。
本記事でも、日本政策金融公庫の創業融資について解説します。
創業融資の申請から実行・返済までの大まかな流れは以下の通りです。
- 1.事前予約の上で相談を行う
- 2.申し込み手続きをする
- 3.融資担当者との面談を行う
- 4.審査結果の通知・融資実行
- 5.返済を行う
工程ごとに詳しく解説します。
事前予約の上で相談を行う
創業融資はいきなり申し込みを行うのではなく、まずは相談をするのが一般的です。
相談窓口は支店とビジネスサポートプラザの2種類があります。
ビジネスサポートプラザとは、ビデオ通話を通じてオンラインで創業相談ができるサービスです。
支店とビジネスサポートプラザは、以下のように利用できる人の範囲が異なります。
- 支店
- ・借入および返済に関する相談を希望する人
- ビジネスサポートプラザ
- ・創業を検討している人
- ・日本政策金融公庫との取引が初めての人
- ・創業計画の策定や融資制度の案内について専任スタッフによる対応を希望する人
- ・平日の来店が難しい人
創業融資について具体的な相談を行う場合、基本的には支店を相談窓口として選びます。
ビジネスサポートプラザでの融資申し込みはできないためご注意ください。
相談先は設立する会社の所在地を担当する支店であり、来店相談・オンライン相談の2種類から選べます。
なお、来店・オンラインどちらの場合でも、相談を行うにあたって公式サイトでの事前予約が必要です。
予約相談の申込期限が設定されているため、早めに予約を行いましょう。
申し込み手続きをする
続いて、融資の申し込み手続きを行います。
創業融資の申し込みは基本的にインターネットを利用するよう案内されていますが、郵送での申し込みも可能です。
今回はインターネット申し込みについて解説します。
インターネット申し込みの大まかな流れは以下の通りです。
- 1.メールアドレスを登録する
- 2.登録したアドレスに届いたメールを開き、申し込みURLリンクを選択する
- 3.画面の案内に従って申し込み情報を入力する
- 4.必要書類をアップロードする
- 5.入力内容を確認し、問題がなければ申し込みを実行する
※登録したメールアドレスに受付完了メールが届きます。
創業融資の申し込みに必要な書類として、以下の例が挙げられます。
- ・創業計画書
- ・設備投資の見積書(設備資金を申し込む場合)
- ・登記簿謄本または履歴事項全部証明書(法人の場合)
- ・運転免許証またはパスポート
- ・許認可証の写し(許認可が必要な事業の場合)
郵送による申し込みの場合、借入申込書の提出も必要です。
ケースによっては他にも必要書類があるため、詳細の案内をご確認ください。
創業融資の申し込みに必要な書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
融資担当者との面談を行う
融資申し込みの受付完了後、融資担当者との面談を行います。
面談は融資審査において、書類確認と並んで重要な工程です。
創業融資を受けられるか否かやどのような条件になるかは、面談を含む審査の結果に大きく左右されます。
面談の大きな目的は、書類だけでは把握できない情報を集めることです。
そもそも融資審査は、返済能力の有無を判断するために行われます。
返済能力の有無は創業者の経歴や懸念事項の有無、事業計画など様々な角度から検討されます。
正しい判断のためには十分な情報が必要ですが、書類だけではどうしても情報が不足しがちです。
提出書類に記載された内容の掘り下げや確認など、書類だけでは足りない情報を得るために面談が行われます。
面談の主な質問内容として、以下の例が挙げられます。
- ・創業の動機
- ・創業者の経歴
- ・自己資金を用意した方法
- ・現在の借り入れ状況
- ・商品やサービスの内容
- ・売上や経費の額など事業の見通し
- ・取引先に関する内容
- ・従業員に関する内容
面談の所要時間は30~40分程度です。
創業融資の面談については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
審査結果の通知・融資実行
面談から審査結果の通知まで1~2週間程度かかります。
融資が決まると借用証書をはじめとした契約に必要な書類が送られてくるため、必要な手続きを行いましょう。
契約手続きの詳細は申し込んだ融資制度や状況によって異なるため、公庫からの案内をご確認ください。
契約手続きが完了後、融資が実行されます。
返済を行う
創業融資の契約が締結されると、融資明細および支払額明細が届きます。
毎月の返済は支払額明細に記載された返済額や支払日の通りに行われます。
返済方法は基本的に月賦払いで、口座振替が一般的です。
創業融資手続きの流れで押さえたいポイント
続いて、創業融資手続きの流れで押さえたいポイントを3つ紹介します。
客観的な根拠に基づく創業計画書を作成する
創業計画書は、創業融資の申し込みに必要な書類であり審査で特に重視される要素のひとつです。
創業前や創業直後のように事業実績が存在しない場合、返済能力を測る手段として、事業に対するビジョンや将来性などのチェックが行われます。
商業計画書には、創業者の経歴・創業予定の事業に関する情報・事業の見通しなど、事業に関する詳細な情報が記載されています。
そのため、創業融資の審査において創業計画書の内容は重点的にチェックされます。
創業計画書に記載する情報のうち、必要な資金や月の売上・経費の見通しなどは、想定に基づいて記載します。
想定が必要な部分について、根拠がない・主観が強い内容が記載されている場合、ビジョンが不明瞭と判断される恐れがあります。
また、事業に関する知識や準備が不十分という印象を与えてしまうこともあります。
このようにマイナスのイメージを持たれてしまうと、審査で良い結果は期待できません。
創業計画書を作成する際は、客観的な根拠に基づいた妥当性のある内容を書くことを意識しましょう。
面接対策をしっかり行う
面談の流れやよくある質問、重視されるポイントなどは、ある程度のパターンが決まっています。
つまり、創業融資の面談に関する情報は豊富で、対策するべきポイントも明確ということです。
面談は重要性が高いため、それらを活用して事前の対策をしっかり行いましょう。
なるべく多くの自己資金を用意する
創業融資の審査に通過する・より良い条件で融資を受けるためには、なるべく多くの自己資金を用意するのが理想です。
自己資金を多く用意するべき理由として、以下の3点が挙げられます。
- ・事業に向けて資金を用意してきた姿勢をアピールでき、事業に対する熱意や計画性の証明につながる
- ・自己資金が少ないと創業直後に資金ショートを起こす恐れが大きく、懸念事項があると捉えられる
- ・融資額は「自己資金の○倍」のように、自己資金の額を基準に決定されるケースが多い
自己資金がなくても申し込める融資制度もありますが、自己資金が大きいほど審査に通りやすいのは事実です。
創業直前や直後にいきなり多額の自己資金を用意することはできません。
創業を検討している人は、早い段階から自己資金の確保を始めましょう。
まとめ
創業融資の申請から返済までの流れにおいて、申込者がやるべき作業や手続きは多数あります。
用意する書類の種類や記入が必要な事項の数が多く、申し込み手続きをするだけでも時間がかかります。
また、面談に向けた情報収集や対策も必要不可欠です。
必要な手続きをすべてこなしても、審査に通過する・希望通りの融資を受けられるとは限りません。
創業および融資申し込みの経験を持たない人が、一人で完璧な融資申し込み・対策を行うのは難しいでしょう。
審査の通過率を高めるため、融資支援に強みを持つ専門家のサポートを受けるのが確実です。
創業融資の利用を検討している・創業融資について疑問や不安がある人は、ぜひお気軽にご相談ください。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士