創業融資に該当する制度は複数ありますが、いずれも融資限度額は1,000万円以上に設定されています。
そのため、理論上は創業融資で1,000万円の借入を受けることは可能です。
しかし実際のところ、創業時に金融機関から1,000万円を借り入れるケースは多くありません。
また、融資額は様々な要素から総合的に決定されるものであり、上限額ギリギリはもちろん、希望額の融資が通るとも限りません。
創業融資で1,000万円という高額の借入を行うためには、融資申し込みにおけるポイントや注意点を押さえることが大切です。
今回は創業融資で1,000万円の借入を目指す上で知っておくべき内容を詳しく解説します。
創業融資制度の概要については、以下の記事をご覧ください。
創業融資の追加融資については、以下の記事をご覧ください。
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CONTENTS
創業融資で1,000万円の借入は可能なのか
前提として、創業融資という名前の制度があるわけではなく、創業時に利用できる融資をまとめて創業融資と呼びます。
そして、創業融資に該当する制度は、いずれも融資限度額が1,000万円以上に設定されています。
そのため、理論上は創業融資で1,000万円の借入を受けることは可能です。
この章では、創業融資に該当する制度ごとの融資額上限や、創業融資の借入額の目安について解説します。
制度ごとの融資額上限
創業融資と呼ばれる制度の代表として、以下の3種類が挙げられます。
- ・新創業融資制度
- ・新規開業資金
- ・女性、若者/シニア起業家支援資金
それぞれの概要と、融資額の上限について解説します。
新創業融資制度
新創業融資制度は、新たに事業を始める人および事業を開始したばかりの人を対象とした融資制度です。
新たに事業を始める人、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない人が利用できます。
また、新たに事業を始める人および事業開始後税務申告を1期終えていない人の場合、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意する必要もあります。
新創業融資制度の融資限度額は3,000万円、そのうち運転資金は1,500万円です。
新規開業資金
新規開業資金は新たに事業を始める人および事業開始後おおむね7年以内の人を対象とした制度です。
融資限度額は7,200万円、うち運転資金の上限額は4,800万円に設定されています。
新創業融資制度よりも対象者の範囲が広く、上限額も高めとなっています。
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金は、以下の要件を満たす人が利用できる融資制度です。
- ・新たに事業を始める、もしくは事業開始後おおむね7年以内である
- ・女性または35歳未満か55歳以上である
融資限度額は7,200万円、うち運転資金の上限額は4,800万円です。
前項で紹介した新規開業資金よりも利率が低く設定されています。
新規開業資金に比べて対象者の範囲が狭いものの、利率面で有利な制度といえるでしょう。
創業時に1,000万円を借り入れるケースは多くない
前項で紹介したように、創業融資と呼ばれる制度の融資上限額は1,000万円を超えています。
そのため、創業融資で1000万の借入を受けることは理論上可能です。
しかし、実際のところは創業時に1,000万円を借り入れるケースは多くありません。
2022年度新規開業実態調査によると、開業時の資金調達額のうち、金融機関等からの借入平均額は882万円となっています。
借入平均額が1,000万円を下回っているため、創業融資として1,000万円を借りるケースは決して多くないことがわかります。
なお、同調査において、開業時の自己資金額は平均271万円という結果が出ています。
金融機関からの借入額は自己資金の3倍程度がひとつの目安といえるでしょう。
融資額を決める要素
前提として、融資額は様々な要素から総合的に決定されます。
そして上限ギリギリまで借り入れができるケースはほとんどなく、必ずしも希望額が通るとも限りません。
融資額を決める主な要素として、以下の4つが挙げられます。
- ・業種および事業内容
- 創業資金の額はケースによって異なりますが、業種ごとにある程度の相場があります。
- 事業内容や規模から、創業に必要な額の大まかな想定も可能です。
- 業種および事業内容は、融資額を決める上で重視される要素といえます。
- ・自己資金の額
- 自己資金がない・少ない場合、返済能力に懸念があると判断される恐れがあります。
- 自己資金の要件がない場合でも、自己資金が多い方が有利なのは事実です。
- ・他社からの借り入れ状況
- 他社から既に借り入れがある場合、創業融資が加われば返済負担が大きくなります。
- 返済負担が大きくなれば、将来的に返済が滞るリスクも高くなるでしょう。
- 借り入れ状況によっては、創業融資の借入額が少なくなる恐れがあります。
- ・事業計画の内容
- 創業融資の審査では返済能力を判断する材料として、事業計画の内容が重視されます。
- 計画が十分に練られているか・妥当な内容で実現可能性があるか等がポイントです。
創業時点では過去の事業実績がないため、それ以外の要素で返済能力を判断する必要があります。
試算や予測に基づく判断が必要であり、融資審査は自然とシビアになる傾向です。
少しでも不備や懸念事項があれば審査に通過しない、もしくは希望よりも少ない借入額になってしまいます。
創業融資で1,000万借り入れるためのポイントと注意点
創業融資で1,000万円の借入を受けるのは容易ではありません。
しかし、理論上は1,000万円の借入が可能です。適切な対策を行えば、1,000万円の借入を受けられる可能性が高くなるでしょう。
この章では、創業融資で1,000万円の借入を受けるために押さえたいポイントと注意点を紹介します。
必要な資金額の理由・根拠を明確にする
最も重要なのが、必要な資金額の理由・根拠を明確にすることです。
創業融資の審査では、事業計画の内容が重視されます。
将来的な返済能力を判断する材料として、毎月の売上や経費はもちろん重要です。
しかし、事業の見通しに関する項目だけでなく、創業時に必要な資金や使用用途も重視されるポイントといえます。
創業時に必要な資金は、事業に対する計画をしっかり立てているか・妥当な内容であるかをチェックする上で欠かせない要素です。
必要な資金額の内容が不明瞭、もしくは根拠がなく主観が強すぎる場合、計画が不十分と判断されてしまう恐れがあります。
審査に悪影響を与えてしまい、希望額の融資を受けられない結果になってしまうでしょう。
希望額の融資を実現させるため、必要な資金額の理由や根拠を明確にし、妥当な内容の事業計画を立てる必要があります。
自己資金を多く用意する
創業融資の審査を有利にする手段として、自己資金を多く用意する方法も効果的です。
実際のところ、自己資金がなくても創業融資を受けられるケースは存在します。
自己資金要件が定められている新創業融資制度についても、必要な自己資金は創業資金の10分の1以上です。
自己資金がない・少ないからといって、創業資金が受けられないとは限りません。
しかし、現実として自己資金が多い方が審査で有利なのは事実です。
また、「創業時に1,000万円を借り入れるケースは多くない」で紹介したように、金融機関からの借入額は自己資金の3倍程度がひとつの目安となります。
融資額をなるべく多く得るためには、自己資金を多く用意するのが理想です。
面接のコツを押さえる
創業融資を受けられるか・有利な条件となるか否かは、審査の前に行われる面接の結果に大きく影響を受けます。
1,000万円という高額の融資を実現させるためには、面接で良い結果を出す必要があるでしょう。
創業融資の面接は、実施される理由やよくある質問がわかりやすいため、対策しやすいです。
コツを押さえて事前にしっかり対策をすれば、面接が上手くいく可能性が高くなります。
創業融資の面接対策については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらをご覧ください。
まとめ
創業融資に該当する制度はいずれも融資限度額が1,000万円以上に設定されているため、理論上は1,000万円の借入が可能です。
しかし、実際のところは金融機関等からの借入平均額は900万円弱と公表されています。
1,000万円という高額の借入を受けられるケースはそれほど多くないといえるでしょう。
創業融資で1,000万円の借入を実現させるためには、融資の申し込みや面接におけるポイントを押さえることが大切です。
とはいえ、当事者のみで適切な融資対策を行うのは容易ではありません。
高額融資の実現可能性を高めるには、融資支援に強みを持つ専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
弊社BIZARQでは創業融資を含む資金調達業務も行っており、融資支援における確かな強みと実績を有します。
創業融資を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士