創業融資の使い道は?資金使途の基本と注意点について解説!

2023.09.27

創業融資の使い道は、設備資金と運転資金の2種類に分けられます。

設備資金は事業に必要な設備の購入に使う資金、運転資金は事業を行う上で毎月発生する支出です。

創業融資で借入をするのであれば、使い道ごとに必要額を明記する必要があります。

融資申し込み時の資金使途と違う使い方をしてしまうと、資金使途違反としてペナルティが発生する恐れがあるため注意が必要です。

 

本記事では創業融資の使い道について詳しく解説します。

 

設備資金と運転資金については、以下の記事でも詳しく解説しています。

 

 

 

 

創業融資に該当する制度には様々な種類があります。以下の記事で制度ごとの詳しい紹介をしていますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

CONTENTS

創業融資の使い道に関する基本

はじめに、創業融資の使い道に関する基本的な事項を解説します。

創業融資の申し込み時に資金用途の明確化が必要

創業計画書の申し込み時には、資金用途および必要額の明確化が必要です。

資金用途別の必要額は「必要な資金と調達方法」欄に明記します。

資金用途は大きく設備資金と運転資金の2種類です。それぞれの特徴や具体的な支出の例を紹介します。

設備資金

設備資金とは、事業に必要な設備を購入するための資金です。

設備資金に該当する支出として、以下の例が挙げられます。

設備資金に該当する支出の例を紹介します。

  • ・不動産の購入費用
  • ・賃貸物件の敷金、保証金、権利金
  • ・内装工事費用
  • ・固定電話やネット回線の設置工事
  • ・事業用機械
  • ・社用車
  • ・パソコン、複合機、OA機器
  • ・ホームページ作成費用

設備資金は高額になりやすいため、創業融資における上限額は高めに設定されています。

また、後述する運転資金よりも返済期間を長く設定できます。

設備資金の借入額が大きい場合、返済期間を長く設定して月々の返済負担を軽くするのが良いでしょう。

運転資金

運転資金は事業を行う上で毎月発生する支出です。ランニングコストとも呼ばれます。

運転資金に該当する支出の例を紹介します。

  • ・商品および材料の仕入
  • ・人件費(給与、社会保険料など)
  • ・外注費、業務委託費
  • ・広告宣伝費
  • ・消耗品費
  • ・通信費
  • ・支払手数料
  • ・地代家賃
  • ・水道光熱費
  • ・リース料
  • ・減価償却費

上記の例に挙げていない支出でも、事業のために毎月発生するものであれば運転資金に該当します。

 

創業直後も運転資金の支出が発生しますが、売上収入がありません。

そのため、収入がない間も運転資金を払えるよう、ある程度の資金を用意しておく必要があります。

創業融資における運転資金の借入額は、3ヶ月分がひとつの目安といわれています。

創業融資による借入額と自己資金をあわせて、7ヶ月程度の運転資金を確保しておくのが理想です。

融資制度ごとに資金用途が定められている

創業融資は創業直後でも利用できる融資制度の総称です。

創業融資に該当する制度は複数ありますが、いずれも資金用途や融資限度額が定められています。

創業融資の代表例と、それぞれの資金用途・融資限度額は以下の通りです。

 

  • 新創業融資制度
  • 資金用途:設備資金および運転資金
  • 融資限度額:3,000万円 うち運転資金1,500万円
  •  
  • 新規開業資金
  • 資金用途:設備資金および運転資金
  • 融資限度額:7,200万円 うち運転資金4,800万円

※創業融資の代表例として「女性、若者/シニア起業家支援資金」も挙げられますが、こちらの資金用途および融資限度額は「新規開業資金」と同じです。

 

新規開業資金は融資限度額が7,200万円、うち運転資金は4,800万円となっています。

すなわち、運転資金として融資を受けられる額は4,800万円までとなります。

融資の目的が設備資金であれば、融資限度額である7,200万円まで申し込み可能です。

 

融資による借入額を申し込んだ内容と異なる用途で使った場合、資金使途違反とみなされる恐れがあります。

資金使途違反については、次項で詳しく解説します。

資金使途違反をするとどうなる?

資金使途違反とは、融資の申し込み時に提示した資金使途と違う使い方をすることです。

例として、設備資金として借り入れた分を運転資金に利用する・運転資金分の借入額を使って備品を買うなどの行為が挙げられます。

 

資金使途違反を起こすと、残高の一部または一括返済を求められる・将来的に融資を受けられなくなるといったペナルティを課せられる恐れがあります。

融資による借入金を別の用途に使いたい場合、無断で資金用途を変えるのではなく、まずは公庫の担当者に相談しましょう。

創業融資の使い道を決める際のポイント

創業融資を申し込む際に、使い道ごとの必要額を明確に記載する必要があります。

使い道を決める際のポイントを3つ紹介します。

金額をなるべく明確に決める

創業融資の申し込み額は、使い道ごとになるべく明確に決めましょう

 

創業融資は、使い道ごとの必要な金額が明確でなければ審査に通りにくい傾向にあります。

金額の決め方が曖昧では、決定した融資額と実際に必要となる金額に差が出てしまいます。

また、前章で紹介したように融資の申し込み時に提示した資金使途と違う使い方をしてしまうと、資金使途違反に該当してペナルティを課せられる恐れもあります。

融資審査に通過しやすくするため、そして融資額と実際の必要額の差をなるべくなくすため、必要額を使い道ごとに明確にしましょう。

 

必要額を決める流れの一例を紹介します。

  • 1.必要になりそうな支出を一通り挙げて箇条書きにする
  • 2.項目ごとに金額を計算する
  •   設備資金であれば事前に見積もりを取りましょう。
  •   見積もりが難しいものは相場を参考にするのがおすすめです。
  • 3.自己資金でまかないきれない部分を融資の申し込み額とする

しっかり説明できるよう準備する

資金の使い道ごとの必要額について、その金額を設定した理由をしっかり説明できるよう準備する必要があります。

 

創業資金の必要額や使い道等、創業計画書の記載項目は推測に基づいて書く部分が多数あります。

とはいえ、曖昧な考えや根拠のない判断で好きな金額を書いて良いわけではありません。

むしろ推測に基づく部分が多いからこそ、「なぜこの金額が必要なのか」「計算根拠は何か」と、根拠や妥当性が重視されます。

金額の大小や項目の重要性に関係なく、必要な資金として記載するものは全て客観的な根拠を用意する必要があります。

 

金額の計算根拠について書類に詳しく書くのはもちろん、面接時にしっかり説明することも大切です。

創業融資の審査は、書類だけでなく面接の内容も重視されます。

面接は書類に書かれた内容の確認や深掘りが主な目的のため、書類よりも詳しい情報の説明が求められる可能性が高いです。

計算根拠に関する質問に答えられない・書類の内容と面接の受け答えに相違があるといった場合、審査に悪影響を及ぼしてしまいます。

 

面接で自信を持って受け答えができるよう、事前の準備は必ず行いましょう。

運転資金は3ヶ月分が目安

創業融資の使い道は設備資金と運転資金の2つに分けられると紹介しました。

運転資金は月によって多少の変動がありますが、創業計画書には平均額を記載します。

そして、創業融資で申し込める運転資金は3ヶ月分が目安とされています。

 

そもそも創業融資で運転資金分を借りる理由は、創業直後は売り上げがなく、収入を運転資金に充てることができないためです。

創業時に用意したい運転資金の目安は6ヶ月分といわれていますが、そのうち3ヶ月分を融資によって調達するイメージとなります。

 

運転資金3ヶ月分は、会社に何かあっても耐えうる資金の目安です。

3ヶ月を超える運転資金の融資が必要な場合、採算性が低いとみなされる恐れがあります。

運転資金も客観的な根拠に基づいて計算することが大前提です。

その上で、運転資金の融資を申し込む際は最大3ヶ月分を目安としましょう。

まとめ

創業融資は使い道ごとに必要額を計算した上で申し込む必要があります。

曖昧な決め方や客観的な根拠のない金額では、融資の審査に通過しない恐れがあります。

書類を詳しく丁寧に書くのはもちろん、面接で適切な受け答えができるよう準備をしておく必要もあります。

 

創業融資の使い道を考えることは非常に大切ですが、融資の経験や知識のない人が適切に行うのは非常に困難です。

融資の申し込みが初めての人や計算に自信がない人は、融資支援に強みを持つ専門家にサポートを依頼するのが良いでしょう。

融資支援に関する豊富な実績とノウハウを活かしたアドバイス・サポートを受けられます。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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