認定支援機関とは、中小企業の支援について専門知識や一定の実務経験があると国から認定を受けた機関です。
創業支援をはじめ、会社経営や事業展開に関する幅広い相談ができます。
創業融資について認定支援機関に相談することで、申し込める創業融資の種類が増えたり、融資の条件が良くなる等、さまざまなメリットを得られます。
ただし、すべての認定支援機関が創業融資に関する相談を受け付けているわけではありません。
創業支援に強みを持つ認定支援機関を選ぶことが大切です。
今回は認定支援機関の概要や融資支援の相談をするメリット、相談先の選び方について詳しく解説します。
融資支援について相談できる相手として、認定支援機関のほかに税理士が挙げられます。
創業融資を税理士に相談するメリットは以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらもご覧ください。
創業融資サポートについては、以下の記事をご覧ください。
CONTENTS
創業融資の認定支援機関 概要
はじめに、認定支援機関の概要を紹介します。
認定支援機関とは
認定支援機関とは、中小企業の支援について専門知識や一定の実務経験があると国から認定を受けた機関です。
正式名称は「認定経営革新等支援機関」です。
認定を受けている機関として、以下の例が挙げられます。
- ・税理士
- ・公認会計士
- ・金融機関
- ・商工会議所
- ・中小企業診断士
認定支援機関は各々の専門性を活かしながら、中小企業の支援を行なっています。
認定支援機関に相談できる内容
一口に中小企業の支援といっても、認定支援機関が対応できる内容は非常に幅広いです。
認定支援機関に相談できる内容の具体例を紹介します。
- 創業支援
- 「創業計画書を作る上でのアドバイスが欲しい」「どの創業融資制度が向いているか判断できない」
- 人材育成
「人材の採用・育成の効率化を実現したい」「人材の定着率を改善させたい」 - 人事・労務
- 「福利厚生を充実させたい」「労働トラブルを事前に防ぎたい」
- 販路開拓・マーケティング
- 「新たな取引先の開拓をサポートしてほしい」「マーケティング施策が上手くいかず困っている」
- 生産管理・品質管理
- 「商品の品質向上のために改善するべき課題を把握したい」「生産過程の無駄をなくしたい」
- 知財戦略
- 「知的財産関連で起こり得るトラブルの対策をしたい」「知財戦略のサポートを依頼したい」
- 事業承継・M&A
- 「事業承継に詳しい専門家のアドバイスを受けたい」「このままM&Aを進めて良いか不安」
- BCP作成支援
- 「BCP(事業継続計画)が適切な内容であるかチェックしてほしい」「緊急時用のBCP策定について相談したい」
- 海外展開
- 「海外展開に向けてやっておくべきことを知りたい」「海外取引に必要な証明書の取得をサポートしてほしい」
質問内容はあくまで一例です。より広く深い内容の相談・サポートの依頼もできます。
とはいえ、機関によって専門分野や対応範囲は異なります。
自身が相談したい内容に対応している機関を選ぶ必要があります。
創業融資について認定支援機関に相談するメリット
認定支援機関の対応分野である創業支援のうち、特に相談件数が多い・認定支援機関の力を借りるメリットが大きいのが創業融資に関する内容です。
創業融資について認定支援機関に相談するメリットを4つ紹介します。
申し込める創業融資の種類が増える
創業について認定支援機関に相談することで、申し込める創業融資の種類が増えます。
認定支援機関に相談することで利用できる融資制度の代表例が、日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金です。
中小企業経営力強化資金を利用できるのは、以下の1または2に該当する事業者に限ります。
- 1.以下のすべてを満たす者
- (1)経営革新もしくは異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等によって市場の創出・開拓を行おうとする者
- (2)事業計画書を策定し、認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている者
- 2.以下のすべてを満たす者
- (1)中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している、もしくは適用予定の者
- (2)事業計画書の策定を行う者
中小企業経営力強化資金は、一般的な創業融資制度よりも利用条件が厳しく設定されています。
しかし、融資限度額は7億2千万円・担保設定の有無は相談可能と、好条件で高額の融資を受けられる可能性があります。
利用できる融資制度の種類が増える、つまり資金調達方法の選択肢が増えるのは、認定支援機関に相談する大きなメリットといえるでしょう。
融資の条件が良くなる
認定支援機関を経由して融資申し込みをすると、融資の条件が良くなるケースもあります。
創業融資は事業実績のない創業者でも利用できるよう、事業計画書や事業者の現況といった情報から返済能力を判断します。
しかし、専門知識のない人が作成した事業計画書には粗が多かったり信頼性が低いことが多く、融資を受けられる場合でも希望額には満たないケースが珍しくありません。
一方、認定支援機関を経由して申し込む場合、専門家に作成をサポートしてもらえます。
質の良い事業計画書を策定できるのはもちろん、専門家チェック済みとして公庫からの信頼を得やすくなります。
結果として、自分1人で申し込む場合よりも高額の融資を受けられる可能性が高くなります。
融資申し込みのサポートを受けられる
認定支援機関には、創業融資に関する相談や質問だけでなく融資申し込みに関する具体的なサポートも依頼できます。
創業融資の申し込みに必要な書類である事業計画書等の作成サポートも可能です。
専門家の力を借りることで書類作成の手間を最小限に抑え、スムーズに申し込みできます。
信頼性が高まる
認定支援機関に相談した上で創業融資の申し込みをすると、より信頼性が高まることが期待できます。
創業直後に紹介なしでいきなり創業融資に申し込む、いわゆる「一見さん」は、公庫との信頼関係が全く築かれていない状態です。
無条件で断られたり必ずしも条件が悪くなるわけではないものの、審査はどうしても厳しくなります。
一方、認定支援機関等からの紹介を受けて融資に申し込む場合、前述した一見さんとは窓口が異なります。
中小企業の支援について知識や経験がある専門家からの紹介ということで、最初からある程度の信頼関係が築かれた状態となります。
専門家フィルターによって最初からある程度の信頼を得られるため、審査がスムーズに進みやすくなります。
創業融資認定支援機関の選び方
一口に認定支援機関といっても非常に多くの選択肢があります。
この章では、創業融資について相談する認定支援機関の選び方について押さえたいポイントを3つ紹介します。
創業支援に強みを持つ機関を選ぶ
まず、自分が相談したい分野に強みを持つ機関に相談するのが大前提です。
創業融資に関する相談をするのであれば、創業支援に強みを持つ機関を選びましょう。
大切なのは、「創業支援も対象とする機関」ではなく「創業支援に強みを持つ機関」を選ぶことです。
単に創業支援を相談対象に含めているだけの場合、創業支援に十分な力を入れているとは限りません。
支援実績や利用者の評判等を確認し、創業支援の分野において確かな実績を持つ機関を選びましょう。
支援範囲を確認する
支援対象とする分野だけでなく、支援範囲の確認も大切です。
たとえば創業支援の場合、創業融資の申し込みや書類作成までサポートする機関もあれば、あくまで相談やアドバイスのみを対象とする機関もあります。
支援範囲をチェックせずに相談を申し込んでしまうと、想定よりも得られるサポートが少なくなってしまう可能性があります。
創業支援においてどこまでをサポート範囲としているか、公式サイトや事前の問い合わせで確認しましょう。
担当者の人柄・相性をチェックする
創業融資へ申し込むために認定支援機関へ相談する際は、担当者の人柄・相性のチェックも重要です。
認定支援機関を経由して創業融資を受けた場合、認定支援機関は融資を受けた人の事業について公庫に2年間報告を行う義務を負います。
そのため、融資を受けた後も認定支援機関との定期的な連絡が必要になります。
継続的な付き合いになるため、やり取りがストレスにならない相手を選べるのが理想です。
まとめ
創業融資の申し込みに際して、認定支援機関への相談は必須ではありません。
しかし、認定支援機関を経由して創業融資に申し込むことで、上述のようにさまざまなメリットを得られます。
創業融資をスムーズかつ好条件で受けるためには、認定支援機関に相談するのがおすすめです。
一口に認定支援機関といっても選択肢は非常に多く、どこに相談するべきか悩んでしまうかもしれません。
認定支援機関を選ぶ際は、今回紹介した内容を参考にしていただければ幸いです。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士