預金通帳は創業融資の申込時に必要な書類の1つです。
創業融資の審査でチェックされる要素の中に、自己資金の金額や申込者の他者借入の状況があります。
これらの情報の事実確認を行うため、申込者の預金通帳が必要です。
創業融資の審査では、単に通帳をそのまま出せば良いわけではありません。
通帳の準備を始めるタイミングや高評価につながる預金の種類、絶対にやってはいけない行為などを押さえる必要があります。
創業融資の審査では、通帳を含めすべての必要書類が審査の結果を左右する原因になり得るのです。
今回は創業融資の審査における、通帳について知っておきたい事項を紹介します。
融資に通る通帳の作り方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
自己資金については、以下の記事をご覧ください。
CONTENTS
創業融資の審査では通帳の確認が必須!
最初に紹介したように、創業融資の審査では通帳の確認が必須です。
通帳の確認が行われる理由やチェックされる箇所について解説します。
通帳をチェックされる理由
創業融資の審査で通帳のチェックが行われる理由は、自己資金と借入状況に関する事実確認をするためです。
創業融資の申込で提出する創業計画書には、自己資金と借入状況を記載する必要があります。
どちらも創業融資の審査の際に重視される要素であり、正確性が求められます。
しかし、申込者が記入する創業計画書だけでは記載された内容が正確なものであるか判断できません。
そのため、記載された内容の裏付けとして通帳のチェックが必須となります。
なお、通帳に限らず、創業融資で必要な書類の些細なポイントが公庫担当者に与える印象を大きく左右するケースは多いです。
そのため、通帳1つに関しても準備の際にはポイントや注意点をしっかり押さえる必要があります。
通帳でチェックされる箇所
創業融資の審査の際、通帳でチェックされる箇所として大きく3つが挙げられます。
※前提として、創業融資の審査で必要になるのは代表者本人の個人用通帳です。
ただし、後述のように家族名義の通帳が必要になるケースもあるため、必要書類について事前に十分な確認を行う必要があります。
自己資金の準備状況
自己資金の有無と用意した方法は創業融資の審査で特に重視されるポイントです。
自己資金の準備状況として、具体的には主に以下の3点がチェックされます。
- 自己資金をどのように用意したか
- 送金元の名前や摘要欄から「給与」「副業による売上」「資産の売却」などを判断します。
- 自己資金の出所が不明ではないか
- 送金元や摘要欄が不明、もしくは内容が判断できない場合、詳しい説明が求められます。
- 自己資金の用意をいつから始めているか
- 支出額・貯蓄額・残高の増え方等から、創業に向けた自己資金の貯金を始めた時期もチェックされます。
過去の支払い状況
申込者の過去の支払いに不備や懸念がないかチェックする作業です。
創業の3~6ヶ月程度前までさかのぼり、公共料金や家賃等の定期的な支払いがしっかり行われているかを確認します。
支払い遅延があったり、支払い時期や金額のばらつきが大きい場合は注意が必要です。
借入状況
ローンやキャッシングの有無も創業融資の審査で必ず確認されます。
他者借入がある場合は創業融資が加わることで返済負担が重くなり、返済能力の懸念が大きくなる恐れがあるためです。
借入がある場合は返済状況(月々の返済額や遅延・延滞の有無)もチェックされます。
創業融資の審査で通帳を出す際のポイント・注意点
創業融資の審査で通帳を提出する際のポイントと注意点を5つ紹介します。
必ず通帳原本を用意する
通帳は創業融資の審査において原本が必要な資料の1つです。
コピーでは認められないため、必ず通帳原本を用意しましょう。
普段通帳を使う習慣がないと「どこにあるか思い出せない」といった事態が起こりやすいため注意が必要です。
ただし、ネットバンクやWeb通帳を利用している等の理由で紙の通帳が存在しない場合は、ネットバンクの明細を印刷した資料でも認められます。
預金口座が複数ある場合は、すべての通帳原本を用意しましょう。
たとえば給与(自己資金の出所)振り込み用の口座と自己資金を貯める用に使っている口座が別の場合、両方の通帳を用意する必要があります。
早めに記帳を済ませておく
記帳がされていない通帳では、前章で紹介した「通帳でチェックされる箇所」の確認ができないため、審査に用いる資料として不十分です。
そのため、早めに通帳の記帳を行う必要があります。
少なくとも直近3ヶ月分以上の明細が必要といわれていますが、実際には半年ほどの取引までさかのぼるケースがほとんどです。
なお、記帳していない取引が多いと合計記帳の表示がされてしまい、複数の取引がまとめて記帳されてしまいます。
合計記帳となってしまった場合、その分の明細を別途発行する必要があります。合計記帳分の明細も創業融資の申込時に必要です。
明細は基本的に無料で発行できますが、申し込みから発行までに1週間~数週間かかります。
創業融資の申込後に合計記帳分の明細を発行するのでは時間がかかりすぎるため、創業融資を申し込む前に記帳をし、合計記帳があったら早めに明細の発行を依頼するのが安心です。
積立型の預金は評価につながりやすい
積立預金は早いうちから計画的に資金の用意をしてきたことを示す効果があります。
創業を検討しているのであれば、なるべく早いうちに積立預金をはじめるのが理想です。
創業融資の審査で有利になる可能性が高いだけでなく、自己資金を用意する方法としても効率的といえるでしょう。
家族名義の通帳が必要なケースもある
最初に、創業融資の審査で必要になるのは基本的に創業者の個人通帳と紹介しました。
創業者本人の自己資金や、創業者本人の借入状況をチェックする裏付け資料として通帳を使うためです。
しかし、以下のようなケースに該当する場合は家族名義の通帳原本も用意する必要があります。
- ・自己資金を貯めるのに使っている口座が夫婦共同で配偶者名義の場合
- ・子供名義の預金口座でお金を貯めている場合
つまり、自己資金を貯めるのに家族名義の口座を使っている場合に、該当する家族名義の通帳が必要というです。
自己資金を証明できる資料が増えるため、これらの理由に該当する場合は家族名義の通帳も用意しましょう。
ただし、本人以外の名義の通帳を提出する場合は、家族名義の通帳で自己資金を貯めていた理由等を詳しく説明する必要があります。
見せ金は絶対にしない
見せ金とは文字通り、お金があるように見せるためだけのお金です。
主な例として、カードローン会社や家族・友人・知人等からの借入を自己資金と偽る行為が挙げられます。
当然ですが、見せ金は自己資金にはなりません。その上、基本的にバレる可能性が高いと考えるべきです。
「通帳の情報だけでは見せ金かどうか判断できない」と考えるかもしれません。
しかし、いきなり高額の入金がされていたり、入金元がわからない等の取引は、まず見せ金と疑われると考えて良いでしょう。
見せ金ではなく完全に自己資金であると主張する場合、その主張を裏付ける書類が求められます。
見せ金がバレるとかなりのマイナス評価になり、融資を受けられない恐れが非常に大きくなります。
見せ金を直接禁止する法律や規定はないものの、非常に悪質な行為であり、絶対にしてはいけません。
見せ金については以下の記事で詳しく解説しています。是非こちらもご覧ください。
まとめ
創業融資の審査では、自己資金や借入状況を確認するために通帳を使います。
通帳は原則として紙の通帳原本が必要なため、早めに通帳の準備をしておきましょう。
合計記帳の箇所は別途明細を発行しなければならず、申し込みから発行までに時間がかかるため注意が必要です。
通帳は特に自身で記入する書類と違い用意が簡単だからこそ、あまりポイントを意識せずそのまま提出してしまうケースが多いでしょう。
融資審査を少しでも有利にするため、通帳のポイントや注意点もしっかり理解することが大切です。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士