創業融資は創業前と創業後、どちらに申し込むべき?注意点を解説!

2024.01.12

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創業融資は、創業前後でも申し込める融資制度の総称です。

創業前や創業直後のように事業実績のない時期は創業計画書や経営者の経歴、創業から一定期間が経過していれば事業実績を用いて審査をします。

つまり、創業融資は創業前と創業後で、審査でチェックされる要素が大きく異なります。

そのため「創業融資は創業前と創業後のどちらに申し込むのが有利?」「創業融資はいつ利用するべき?」とお悩みの人も多いでしょう。

 

今回は創業融資を申し込む時期について、考え方や注意点を解説します。

 

創業融資申し込みのタイミングについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

 

 

創業融資の審査についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

CONTENTS

【前提】創業融資を申し込める時期とは

創業融資とは、創業前後で事業実績のない段階でも申し込める融資制度の総称です。

創業融資に該当する制度の多くは創業前の段階でも申し込みができ、創業後いつまで申し込めるかは制度によって異なります。

例として、新創業融資制度・新規開業資金・新宿区の制度融資の3つについて、融資を申し込める時期を紹介します。

 

まずは新創業融資制度です。

新創業融資制度の対象者の要件は以下のように定められています。

  • ・新たに事業を始める者もしくは事業開始後税務申告2期を終えていない者
  • ・新たに事業を始める者および事業開始後税務申告1期を終えていない者の場合、創業時点において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を有していることを確認できる

すなわち、創業後は税務申告2期を終えるまでが申し込める時期となります。

 

続いては、新規開業資金です。

新規開業資金の対象者は、新たに事業を始める者または事業開始後おおむね7年以内の者と定められています。

おおむねという表現の通り厳密な決まりではありませんが、創業前~事業開始後7年が申し込める期間といえるでしょう。

 

最後に、新宿区の創業者向け制度融資です。

対象者は以下のように定められています。

  • ・法人または個人で創業しようとする者
  • ・分社化しようとする者
  • ・法人または個人で創業してから5年未満の者
  • ・分社化により創業してから5年未満の者

すなわち、創業前~創業後5年が申し込める期間となります。

 

なお、創業前のいつから申し込めるかは特に明記されていません。

創業融資を創業前に申し込む場合

前提として、創業融資を創業前に申し込む場合、申し込み時期として創業2~3ヶ月前が最適です。

この章では創業融資を創業前に申し込むメリット・デメリットと注意点を紹介します。

創業融資を創業前に申し込むメリット

創業融資を創業前に申し込むメリットとして、大きく3つ挙げられます。

 

1つ目は、創業の時点では融資が完了しているため資金が十分な状態で事業を進められる点です。

創業直後から大きなお金を動かせるのはもちろん、資金面での不安がない点もメリットといえるでしょう。

 

2つ目は、創業後の忙しい時期に融資手続きの負担が発生しない点です。

創業後は各種届出や事業を軌道に乗せるための活動等、やるべきことが多く存在します。

このような忙しい時期に創業融資に関する作業が必要ないため、負担をある程度抑えられます。

 

3つ目は、創業計画書実現の見込みで評価してもらえる点です。

創業前の段階では当然ですが事業実績がないため、事業実績を用いた審査ができません。

代わりに創業計画書を用いて審査が行われます。

創業計画書実現の見込みで評価してもらえるのは、創業前に融資を申し込む場合のみ享受できるメリットです。

創業融資を創業前に申し込むデメリット

続いて、創業融資を創業前に申し込むデメリットを3つ紹介します。

 

1つ目は、法人の場合は会社設立前の申し込みができない点です。

会社設立後でなければ申し込みができないため、会社設立後~創業前の限られた期間で手続きを行わなければなりません。

 

2つ目は、創業計画書の十分な作り込みが必要な点です。

創業前に申し込むメリットとして「創業計画書実現の見込みで評価してもらえる」を挙げましたが、実現可能性の低い内容や希望的観測では審査に通過しません。

創業計画書は客観的な根拠に基づいた実現可能性のある内容にする必要があります。

 

3つ目は、自己資金の大きさや申込者の経歴、現況も重視される点です。

事業に関する計画以外の面で懸念要素があると、審査で不利になってしまう恐れがあります。

創業融資を創業前に申し込む際の注意点

創業融資を創業前に申し込む場合、審査において創業計画書の内容が非常に重視されます。

将来のことはわからないとはいえ、好きに書いて良いわけではありません。客観的な根拠に基づいた説得力のある創業計画書を作る必要があります。

 

十分な自己資金を用意しておくことも大切です。

自己資金が少ない場合、創業融資で不利になる恐れがあります。創業を検討し始めた段階から自己資金の用意を始めるのが理想です。

 

審査で不利になる懸念事項がある場合は、創業融資の申し込みをいったん見送るのも1つの手段です。前章で紹介したように、創業後にも創業融資の申し込みはできます。

もしくは創業そのものを見送り、懸念事項を解消してから創業と融資申し込みの準備を始めても良いでしょう。

創業融資を創業後に申し込む場合

続いて、創業融資を創業後に申し込む場合のメリット・デメリットと注意点を紹介します。

創業融資を創業後に申し込むメリット

創業融資を創業後に申し込むメリットを3つ紹介します。

 

1つ目は、実績をアピールポイントにできる点です。

金融機関は申込者に返済能力があるかをチェックします。

すでに実績があれば売上や利益を生み出せる、すなわち返済に充てるための資金を用意する能力があると証明できるでしょう。

 

2つ目は、事業に関する課題や必要な資金額が明確になった状態で申し込める点です。

創業前に申し込む場合に比べると不確定要素が少なくて済みます。

 

3つ目は、売上や経費について、より正確な情報を使える点です。

創業前に作成する創業計画書に記載する売上や経費は、あくまでも予想に基づく内容です。

創業後ですでに売上や経費が発生していれば、予想ではなく正確な情報を用いて融資の申し込みができます。

創業融資を創業後に申し込むデメリット

続いて、創業融資を創業後に申し込むデメリットを3つ紹介します。

 

1つ目は、本業と並行しながら融資の申し込みを進めるため負担が大きい点です。

融資の申し込みは必要書類が多い上に面接対策も行うのが理想のため、必然的にやるべきことが多くなります。

本業の活動をしながら融資関連の作業を行うのは、申込者にとって大きな負担になる恐れがあります。

 

2つ目は、実績が乏しいと審査で不利になる恐れが大きい点です。

メリットとして「実績をアピールポイントにできる」を挙げましたが、こちらは「実績がなければアピールができない」とも表現できるでしょう。

 

3つ目は、創業直後の資金が少ない状態になる点です。

創業時点で多額の資金を確保したいと考える人には、創業後に創業融資を申し込む方法は不適切といえます。

創業融資を創業後に申し込む際の注意点

創業融資を創業後に申し込むのであれば、アピールポイントとなる事業実績を多く作りましょう。

創業後に申し込む場合、どれだけ事業実績があるかによって評価が大きく変わります。

 

将来性があることをアピールできるよう準備することも大切です。

今後の売り上げの伸びや事業の安定性などを説明し、十分な返済能力を有していると認められる必要があります。

 

また、創業時点では融資を受けないという前提のため、自己資金をしっかり用意しておく必要もあります。

資金不足で十分な事業活動ができないのでは本末転倒です。創業融資の審査でアピールするための事業実績を作ることもできません。

創業後の申し込みであれば自己資金は審査のチェック項目にはなりにくいですが、事業活動のためには十分な自己資金の用意が求められます。

まとめ

創業融資を申し込むタイミングは、創業前と創業後の2つに大別できます。

創業前に申し込む場合、余裕を持って審査申し込みの準備ができる、創業計画書実現の見込みで審査してもらえる等のメリットがあります。

創業後の申し込みでは、事業実績をアピールできる。不確定要素が少なくて済む等が大きなメリットです。

 

創業前の申し込みと創業後の申し込みには、それぞれ異なるメリット・デメリットが存在します。

それぞれの違いや注意点を押さえた上で、創業融資をいつ申し込むか判断する必要があります。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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