日本政策金融公庫が提供する創業融資の審査では、現地調査が行われるのが一般的です。
創業融資の現地調査は、創業計画書や事業計画書に記載された内容が正しいかをチェックするために行われます。
そのため、書類に嘘や誤りを書かず開業準備を進めていけば問題ありません。
言い換えると、創業計画書や事業計画書の内容と現地調査で確認された内容に矛盾がある場合、審査で不利になる恐れがあります。
創業融資の審査に通過する可能性を少しでも上げるため、現地調査について理解を深め、注意点を押さえることが大切です。
今回は日本政策金融公庫の現地調査について、概要やポイント、よくある質問を紹介します。
創業融資の審査に通過するためのコツは以下の記事で解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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CONTENTS
創業融資における現地調査とは
創業融資における現地調査とは、融資審査の担当者が事務所や店舗に来て行う調査です。
現地調査を行う目的として、以下の要素のチェックが挙げられます。
- ・本当に事業を行うつもりがあるのか
- ・事業計画の内容を実現させるための準備が整っているか
- ・書類の内容に誤りがないか
創業融資の現地調査でチェックされる内容
創業融資の現地調査でチェックされる内容の詳細を解説します。
住所や事務所の情報が合っているか
住所や事務所の情報が合っているかは必ずチェックされる要素です。
書類に記載された住所に事務所や店舗があるか、事務所の情報が書類の内容と一致しているかが確認されます。
記載された住所の場所に事務所がなければ、ほぼ確実に融資審査に落ちてしまいます。
また、開業準備が全く進んでいない場合や、外から確認できる事務所の様子と書類の内容が違う場合も、審査で不利になる恐れが大きいです。
業種が合っているか
書類に記載された業種と、事務所や店舗の外装・内装から把握できる業種イメージが合っているかもチェックされます。
創業融資では資金の用途として、設備投資と運転資金それぞれの具体的な項目や大まかな金額の記載が必要です。
設備投資・運転資金として必要な額は業種や業態によって大きく異なるため、業種や業態は融資額を決める際にかなり重視される要素です。
もし書類に記載された業種・業態と現地調査で把握できた情報が違えば、書類と現地の情報に矛盾があると認識されてしまいます。
また、書類に嘘の情報を書いたと判断される恐れもあり、かなりのマイナス評価になる恐れがあります。
周辺環境と事業内容が合っているか
周辺環境と事業内容が合っているかのチェックもされます。
創業計画書の中で、創業予定のビジネスモデルについて「家族やグループ客をメインターゲットとする飲食店」と書いているケースを例にします。
この場合に適した立地として、駅前や繁華街のような人が集まる場所や、ファミリー層の多い住宅街が挙げられます。
一方、過疎化の進んでいる地域や、人が集まる施設がほとんどない地域への出店では、周辺環境と事業内容に矛盾があるといえるでしょう。
このように周辺環境と事業計画が合わない場合、事業計画に信ぴょう性や実現可能性がないとみなされ、審査で不利になる恐れがあります。
事業計画書の内容と矛盾がないか
これまでに挙げた内容以外にも、事業計画書の内容と矛盾がないか、様々な要素がチェックされます。
チェックされる要素の具体例は以下の通りです。
- ・商品やサービスの内容
- ・取引先や得意先
- ・ターゲットとする客層
- ・事業の特色やビジネスモデル
- ・導入予定の器具備品や什器類
- 導入スペースがない・場所の都合により導入できない等の場合、矛盾と判断される恐れがあります。
創業融資の現地調査で押さえたいポイント
創業融資の現地調査で押さえたいポイントを2つ紹介します。
創業計画書に嘘を書かない
最も大切なのが、融資申し込みで提出する創業計画書や事業計画書に嘘を書かないことです。
創業融資の現地調査は、提出された書類の内容に嘘や矛盾がないかをチェックする目的で行われます。
したがって、書類に正しい情報を記入すれば、少なくとも嘘が原因によるマイナス評価は防げます。
実際のところ、融資申し込み時の嘘や矛盾は、審査の過程でいずれバレるのがほとんどです。
現地調査をする前、すなわち書類の内容を精査する段階で嘘がバレるケースも珍しくありません。
融資申し込みにおける嘘がプラスに働く可能性は限りなく低く、むしろ不利になる恐れが非常に大きいです。
たとえ懸念事項や不安要素があったとしても、嘘は絶対に避け、正確な内容を書きましょう。
開業に向けた準備をしっかり進める
開業に向けた準備をしっかり進めることも大切です。
現地調査に来たものの開業準備がほとんど進んでいなかった場合、「事業を行うつもりがない」と判断されてしまう恐れがあります。
創業融資は創業する人の支援を目的とした制度のため、事業活動をする姿勢がみられない場合は融資を受けられません。
開業準備が進んでいない・創業計画の内容と比較して準備が足りないといった場合も審査で不利になります。
ただし、現地調査までに開業準備を完了させる必要はありません。
あくまでも開業準備を進めており、事業を行う姿勢があると見せることが大切です。
開業に向けて着実に準備が進んでいる様子を示せれば良いでしょう。
もし開業準備の進みが遅く不安な場合、事前に審査の担当者へ事情を説明するのも1つの手段です。
現地調査の日程の変更や、準備が遅れている旨を考慮した上での調査を受けられる可能性があります。
創業融資の現地調査についてよくある質問
最後に、創業融資の現地調査についてよくある質問を4つ紹介します。
現地調査はすべての会社に行われますか?
現地調査は創業融資に申し込んだ場合に必ず行われるとは限りませんが、基本的には実施されると考えた方が良いでしょう。
なお、自宅兼事務所の場合にも現地調査は行われます。
現地調査は事業を行う準備が進んでいるか、書類の内容と矛盾がないかを確認するのが目的であり、自宅兼事務所でも関係なく行われます。
調査に向けて必要な準備はありますか?
現地調査に向けた特別な準備は必要ありません。
これまでに紹介したように、現地調査では「事業計画の内容を実現させるための準備が整っているか」のチェックも行われます。
したがって、開業準備がイコール現地調査の対策といえます。
賃貸借契約を結ぶ前でも現地調査は行われますか?
賃貸借契約を結ぶ前で事務所や店舗に入れなくても、現地調査そのものは行われるのが一般的です。
事務所や店舗内に入れない場合でも、現地調査で以下のポイントがチェックされます。
- ・書類に書かれた住所や事務所が合っているか
- たとえば記載された住所に別の事務所や店舗があった場合、書類と現地状況が矛盾しているといえます。
- ・事業計画の内容と建物の外装に矛盾がないか
- ・周辺環境と事業内容が合っているか
- 前述した「周辺環境と事業内容が合っているか」のチェックです。
なお、賃貸借契約を結んでおり建物内に入れる場合でも、現地調査で中に入らず外から眺めるのみのケースもあります。
融資実行後や追加融資の申し込み時にも現地調査は行われますか?
融資実行後や追加融資の申し込み時には現地調査は行われません。
現地調査があるのは、初回の融資申し込み時のみです。
なお、融資実行後に現地調査が行われることもありません。
仮に創業計画書の内容と実際の売り上げや客数に相違があっても、それが理由で融資取消となる恐れはないためご安心ください。
創業計画書の内容と実際の事業状況にズレがあっても、返済に滞りがなければ問題ないという判断です。
まとめ
創業融資に申し込むと、審査の一環として現地調査が行われるのが一般的です。
現地調査は書類の内容に嘘や矛盾がないかの確認や、事業計画の内容を実現させるための準備が進んでいるかをチェックするために行われます。
現地調査でマイナス評価を受けるのを避けるため、創業計画書に嘘を書くのは絶対に避けましょう。
また、開業に向けた準備をしっかり進める必要もあります。
現地調査でチェックされる要素やよくある質問について事前に確認し、現地調査について理解を深めることも大切です。
今回紹介した内容を押さえ、創業融資の現地調査に向けた対策を進めましょう。
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BIZARQ合同会社代表公認会計士