不動産投資で日本政策金融公庫の創業融資を受けられる?注意点も解説!

2024.02.26

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日本政策金融公庫の創業融資は、事業用の資金調達に用いるのが大前提です。

個人が行う不動産投資の多くは投資目的とみなされるため、創業融資を受けられる可能性は高くありません。

 

ただし、個人の不動産投資について不動産賃貸業とみなされれば創業融資を受けられることがあります。

とはいえ不動産投資で創業融資を受けるのは難しいのは事実であるため、創業融資を受ける前に条件や注意点について十分な確認をした上で対策が必要です。

 

今回は不動産投資で創業融資を受けられる条件や、不動産投資で創業融資を利用する際の注意点を解説します。

 

個人事業主の創業融資の利用可否については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

不動産投資の節税効果については以下の記事をご覧ください。

 

 

CONTENTS

不動産投資で創業融資を受けられる?

結論として、不動産投資で創業融資を受けられる可能性があるのは不動産賃貸業を営む目的の場合のみです。

 

そもそも創業融資は、事業者向け融資のうち創業直後の時点でも利用できる制度の総称です。

つまり、創業融資は事業用の資金調達に用いるのが大前提となります。

 

個人が行う一般的な不動産投資はあくまで投資目的に該当し、事業性が高いとはみなされないケースがほとんどです。

したがって個人の不動産投資で創業融資を受けられる可能性は低いといえるでしょう。

 

ただし、個人の不動産投資が不動産賃貸業に該当すると判断され、創業融資を受けられることも有り得ます。

創業融資を受けられる可能性があるケースを紹介します。

  • ・すでに不動産賃貸業をしており、追加で賃貸用の物件を購入するために
  •  融資を受けようとするケース
  • ・すでに保有している賃貸用物件の修繕目的で融資を受けようとするケース
  • ・十分な自己資金や事業計画があり、不動産賃貸業の開業に向けた入念な準備を
  •  してきたと証明できるケース

不動産投資で創業融資を受けるために必要な条件

個人が不動産投資で創業融資を受けるために必要な条件を4つ紹介します。

 

なお、今回紹介する4つの条件を満たしても、必ずしも創業融資を受けられるとは限りません。

創業融資を受けられるか否かは様々な要素から総合的に判断されます。

今回紹介するのは、押さえれば審査に通過する条件ではなく、審査に通過するために最低限押さえるべき条件というイメージです。

賃貸業としての融資である

はじめに紹介したように、創業融資は事業用の資金調達に用いるのが大前提です。

個人の不動産投資で申し込む場合、事業性の高い賃貸業として認められる必要があります。

 

創業融資を申し込む際も、目的を「不動産賃貸業」にする必要があります。

不動産投資という言葉を使ってしまうと、審査に通過する可能性はほとんどないといえるでしょう。

 

本記事では便宜上「不動産投資」という言葉を使用しておりますが、実際に創業融資の申し込みをする際は「不動産賃貸業」と表現するようご注意ください。

担保を提供できる・取得予定の物件を担保として提供する

不動産投資で創業融資を申し込む際は、担保を提供できる、もしくは取得予定の物件を担保として提供するのが前提となります。

 

担保を提供できる場合でも、必ずしも審査に通過するわけではありません。しかし担保の存在が審査でプラスに働く可能性は高くなります。

不動産投資での創業融資はハードルが高いからこそ、担保の提供は最低条件と考えるべきでしょう。

 

不動産投資で創業融資を利用する場合、取得予定の物件を担保として提供する方法があります。

また、すでに保有している不動産を担保に設定することも可能です。

十分な自己資金がある

自己資金は創業融資で重視されるポイントの1つです。

特に不動産投資のように融資のハードルが高い場合、なるべく多くの自己資金を用意するのが理想といえます。

 

参考として、創業融資を受けた人がどれくらいの自己資金を用意していたのかを紹介します。

日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」の結果によると、開業時の資金調達額の平均は以下の通りでした。

  • ・自己資金:280万円
  • ・配偶者、親、兄弟、親戚:50万円
  • ・友人知人等:37万円
  • ・金融機関等からの借入:768万円
  • ・その他:45万円

 

自己資金の平均額は金融機関等からの借入の平均額の約36%となっています。

なお、2022年度は約30%、2021年度は35%でした。

以上の結果から、融資額の3~4割程度の自己資金を用意するのが一般的と考えられます。

税金の滞納や信用情報のキズがない

税金の滞納や信用情報のキズがあると、創業融資を受けられない可能性が非常に高いです。

 

まず、税金の滞納分がある場合には融資を受けられないと考えるべきでしょう。

融資の申し込みをする前に税金を完納する必要があります。

特に所得税や法人税は、税金の領収証書や納税証明書が求められる可能性が高いです。

 

信用情報のキズも審査でマイナス評価につながる要素です。信用情報にキズがつく原因の具体例を紹介します。

  • ・自己破産や個人再生などの債務整理の経験
  • ・奨学金の滞納
  • ・金融機関からの借入金の滞納
  • ・住宅ローンやカーローンなど各種ローンの滞納
  • ・携帯端末の分割払いの滞納

信用情報にキズがついた状態のことをブラックリスト入りと表現します。

そして過去に滞納があっても、その事実が永遠にブラックリストに載り続けるわけではありません。

ブラックリストから解消されるまでの期間はケースによりますが、最長5年が目安とされています。

ただし債務整理の経験は5~10年と、事故情報が消えるまでに時間がかかります。

 

ブラックリストに載ってしまっている場合、事故情報が消えるまで融資申し込みを保留するのも1つの手段です。

不動産投資で創業融資を利用する際の注意点

最後に、不動産投資で創業融資を利用する際の注意点を3つ紹介します。

説得力のある創業計画を立てる必要がある

不動産投資に限らず、創業融資の審査に通過するには説得力のある創業計画が必要不可欠です。

 

創業融資の申し込み時に提出する事業計画ですが、事業が順調に進み続ける前提の内容では審査に通過しません。

様々なリスクを想定した上でも利益が出る(返済が滞らない)ような創業計画を立てる必要があります。

 

不動産賃貸業で考えるべきリスクとして以下の例が挙げられます。

  • ・賃貸物件に空室が続き家賃収入が低い状態が長引く
  • ・入居者同士のトラブルが発生する
  • ・物件に破損が起こり高額の修繕費を支払う可能性がある
  •  

また、収益や費用など使用する数字の根拠についても明記が必要です。

楽観的な内容や根拠がなく主観が強すぎる事業計画では審査に通過できません。

 

なお、創業計画書を作る上で気を付けるべきポイントや事業で起こり得るリスクは、事業内容をはじめとした様々な要素によって異なります。

融資に申し込んだ経験のない人が高評価につながる創業計画を作るのは容易ではなく、また、自分だけで創業計画を作ろうとするとどうしても主観が強くなりすぎてしまいます。

 

説得力のある創業計画を立てるためには、当事者のみですべて対応しようとせず、融資支援に強みを持つ専門家のサポートを受けるのが効果的です。

事業経験が浅いと審査のハードルが上がる

創業融資の審査は、創業予定の事業における経験の有無や程度が重視される点が特徴です。

不動産投資の場合、不動産賃貸業の経験がある方が審査で有利になります。

言い換えると、不動産賃貸業の経験が浅い、または経験がない場合、審査に通過する可能性は低くなります

 

審査通過の可能性を少しでも上げるため、融資に申し込む前に不動産賃貸業の経験を積むのが理想です。

正社員でなくアルバイトや時短勤務でも事業経験として高評価につながります。

返済期間が短めな点に注意

日本政策金融公庫の創業融資の返済期間は最長でも20年と、銀行など他の金融機関の融資に比べて返済期間が短めに設定されています。

 

たとえば創業融資の1つである新規開業資金の返済期間は、設備資金が最長20年、運転資金が最長10年です。

融資総額を短い期間で返済する必要があるため、月々の返済額が大きくなりやすいです。

 

融資に申し込む前に、短い返済期間でも利益を出せるか・返済が滞る恐れがないか、十分なシミュレーションを行いましょう。

まとめ

創業融資は事業用の資金調達に用いるのが大前提です。

個人の不動産投資で創業融資を受けるためには、不動産賃貸業を目的とする必要があります。

ただし個人の不動産投資は投資目的とみなされるケースが多く、創業融資を受けられる可能性は低いのが事実です。

個人の不動産投資で創業融資を受けるためには、不動産投資ならではの注意点をしっかり押さえる必要があります。

 

なお、創業融資の審査では様々な面から総合的な判断が行われる上、ちょっとした要素が大きなマイナスにつながる恐れもあります。

そのため創業や融資の経験がない人が万全な対策を行うのは容易ではありません。

審査に通過する可能性を最大限高めるため、融資支援に強みを持つ専門家のサポートを受けるのがおすすめです。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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