医療法人化することで様々な節税メリットを受けられますが、医療法人化した後にできる節税対策もあります。
節税は単純に納税額を減らすだけでなく、事業の継続と発展のためにも有効な手段です。
そのためにも正しく賢い節税方法を学びましょう。
医療法人化のメリットとデメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。
CONTENTS
医療法人化による節税効果
医療法人化することで得られる節税効果については、下記のものがあります。
・法人税率への切替
・給与所得控除を受けられる
・所得を分散できる
・退職金を支給できる
・生命保険料を経費にできる
詳しくは「医療法人化のメリットとデメリットとは?」で解説していますので、是非ご覧ください。
ここでは簡単に内容をおさらいします。
法人税率への切替
個人経営に課せられる所得税は、所得が増えれば増える程税率が高くなる累進課税制度で、最大で55%にもなります。
しかし、医療法人に課せられる法人税は税率30%程度でほぼ一定の上、個人の所得税の最高税率より低く設定されています。
給与所得控除を受けられる
医療法人化すると、所得区分が事業所得から給与所得となり給与所得控除が適用されるため、個人の節税となります。
所得を分散できる
医療法人化すると、家族を理事長や理事などの役員に就任させて所得を分散できるため、より多くの控除を受けることができます。
退職金を支給できる
個人医院の場合、退職金を支給して経費にすることはできません。
医療法人化すると、退職金を支給し更に全額損金処理することができます。
また、退職金にかかる退職所得控除は税率的に優遇されているため、通常の役員報酬として支給するのと比べて大幅な節税となります。
生命保険料を経費にできる
個人医院の場合、支払った保険料を経費とすることはできません。
医療法人化すると、保険料の全額又は一部を経費にすることができます。
医療法人化後にできる節税対策
医療法人成り後にできる代表的な節税対策には下記のものがあります。
・出張旅費規定の活用
・事前確定届出給与の活用
・MS法人の活用
・短期前払費用の活用
・確定拠出年金と確定給付企業年金の活用
それぞれ詳しく解説します。
出張旅費規定の活用
出張旅費規定とは、院長や職員が出張する場合の出張関連の旅費について定めた規定です。
この規定に基づいて、交通費や宿泊代などの旅費、食事代などの日当が支給されます。
医療法人はこれを旅費交通費として経費計上することが可能となり、また、受取側の側も給与所得として課税されません。
法人税を発生させることなく会社から個人へ資金を動かすことができるので、研修等で出張が多い医療法人ほど大きな節税効果があります。
出張旅費規定を作成していない場合、出張日当は給与扱いとなり損金算入されない課税所得として扱われてしまうため注意が必要です。
事前確定届出給与の活用
事前確定届出給与とは、役員に対し所定の時期に所定の金額を支給することを定め、事前に税務署へ届出をした上で支払う給与のことです。
この届出を行うことによって、通常では損金計上できない役員賞与を損金参入することができます。
支給時期を期末に設定しておき、実際に大きな利益が出た場合にのみこの方法を活用するのが良いでしょう。
事前に届け出ていたが業績が悪かった場合などは、不支給でも大丈夫です。
この場合、別途の届出は不要ですが、不支給を決議した旨の議事録は作成しておきましょう。
MS法人の活用
MS法人とは、メディカル・サービス法人の略称で、医療機関から委託された医療関連業務や周辺業務を行う同族経営の営利法人を指します。
これを活用することで、医療法人とMS法人で所得の分散が可能となり、節税となります。
MS法人の詳細については、「MS法人とは?徹底解説」を参照してください。
短期前払費用の活用
家賃やリース代、保守料などを決算月にまとめて一年分支払うことで、支出時に損金に参入することができます。
これが短期前払費用です。
短期前払費用とするためには、以下の要件を満たしている必要があります。
①支払日から一年以内に提供を受ける役務にかかるものであること
②支払った金額をその事業年度の損金に継続して算入していること
この節税方法は、決算期末に月払いから年払いに契約変更した場合などに大きな効果を発揮します。
ただし、一度短期前払費用として年払いをするとそれ以降も年払いしなければなりません。
経営状況によっては資金繰りが厳しくなるケースもあるため、注意が必要です。
確定拠出年金と確定給付企業年金の活用
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が毎月掛け金を拠出(積み立て)して、従業員(加入者)自ら年金資産を運用する制度です。
掛金上限は月額55,000円です。
確定給付企業年金(DB)とは、事業主と従業員の合意の元、将来の年金給付額を設定し、必要な掛金を会社が拠出する制度です。
掛金上限は月額給与の20%(100万円まで)です。
どちらも医療法人が掛け金を拠出した場合全額損金算入できるため、節税となります。
掛け金が給与総額から差し引かれるため、個人の社会保険料の節減にもなります。
節税効果があるだけでなく、老後の資産形成ができるのは大きなメリットです。
また、採用面でも福利厚生の充実としてアピールすることで、より優秀な人材の確保に繋がります。
まとめ
医業においては、節税対策の有無によって100万円単位で納税額に差が出てしまいます。
可能な限り節税した方が良いですが、違法な節税によって法人が摘発されるケースも少なくありません。
社会的信用を失うことは、医療法人として致命的です。
専門家のアドバイスの元、きちんと法に則った安全なやり方で節税対策を行うことが大切です。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士