車の購入が節税対策になる?法人・個人事業主それぞれのケースを解説!

2023.01.18

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車の購入は、事業を営む上で大きな支出となる一方で、節税のチャンスでもあります。この記事では、個人事業主、法人、そして特定の条件下のサラリーマンが、車の購入を通じてどのように節税できるのかを徹底解説します。

 

減価償却の仕組みから購入方法の選び方、維持費の経費計上まで、具体的なシミュレーションを交えながら、あなたのビジネスに最適な節税戦略を見つけるためのガイドとなる情報を提供します。賢く車を購入して、税負担を軽減しましょう。

 

法人・個人事業主の節税テクニック全般について以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

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CONTENTS

車の購入が節税になる仕組みとは?

車の購入が節税対策として注目される理由は、その購入費用や維持費を経費として計上できるためです。事業に使用する車両の費用は、会社や個人事業主の所得から差し引くことができ、結果として納税額を減らすことができます。

特に、自動車本体の購入費は金額が大きく、減価償却費として数年に分けて経費計上できるため、高い節税効果が期待できます。

 

ただし、車を購入すれば無条件に節税になるわけではありません。節税効果を得るためには、その車が実際に事業用として使用されていることが必要です。

例えば、支店訪問や営業先への移動、商品配送などの目的で使用する場合は事業用と言えます。車による節税の基本は、事業との関連性を明確にし、適切な経理処理を行うことです。

 

また、車の購入方法や種類によっても節税効果は大きく異なります。新車と中古車では減価償却の計算方法が異なりますし、個人事業主と法人では適用される税制も違います。さらに、購入だけでなくリースという選択肢もあります。自分の事業形態や経営状況に合わせた最適な方法を選ぶことが、効果的な節税につながります

減価償却とは?税務上の考え方

減価償却とは、車や機械設備などの固定資産を購入した際、その取得費用を一度に経費計上するのではなく、法定耐用年数に応じて分割して計上する会計上の処理方法です。これは、資産が時間の経過とともに価値が減少していくという考え方に基づいています。

 

減価償却費は「みなし経費」と呼ばれる概算額の一つで、実際の支出とは異なる場合があります。例えば、500万円の車を購入しても、その年に経費として計上できるのは減価償却費の分だけです。減価償却制度により、高額な資産購入による利益の変動を平準化し、適正な課税を実現しています

 

この仕組みにより、手元の収支が黒字であっても、減価償却費を計上することで帳簿上は赤字になるということも起こりえます。これが節税効果につながる一方で、融資審査などでは実際の資金繰りと帳簿上の数字の違いに注意が必要です。

法定耐用年数と償却方法の違い

車の減価償却を計算する際に重要なのが「法定耐用年数」です。これは国税庁が資産ごとに定めた使用可能年数のことで、新車の場合、普通自動車は6年、軽自動車は4年と定められています。

中古車の場合は、初年度登録からの経過時間によって耐用年数が変わります。計算方法は「法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)」となり、例えば4年使用された普通自動車を購入した場合、「6年-4年+(4年×20%)=2.8年」となります。

この場合、1年未満は切り捨てられ、最終的な耐用年数は2年となります。また、計算結果が2年未満の場合は2年が適用されます。

 

減価償却費の計算方法には「定率法」と「定額法」の2種類があります。

 

償却方法特徴
定率法初年度の減価償却費が最も大きく、年々減少していく
定額法毎年同じ金額を計上する

 

法人は原則として定率法、個人事業主は原則として定額法を適用しますが、税務署への届出により変更することも可能です。

 

定率法の計算式は「未償却残高×償却率」、定額法の計算式は「取得価額×償却率」です。例えば、500万円の普通自動車を定率法で償却する場合、初年度は「500万円×0.333=166.5万円」が減価償却費となります。一方、定額法では「500万円×0.167=83.5万円」となり、6年間同じ金額を計上します。

個人事業主が車で節税する方法

個人事業主にとって、車は事業拡大や顧客対応に欠かせないツールであると同時に、効果的な節税手段にもなります。個人事業主が車を購入すると、その取得費用を減価償却費として経費計上できるほか、ガソリン代や駐車場代、保険料などの維持費も経費として認められます

 

個人事業主の場合、原則として「定額法」で減価償却を行います。これは毎年同じ金額を経費として計上する方法で、例えば300万円の普通自動車を購入した場合、年間50万円(300万円×0.167)を6年間にわたって経費計上することになります。

「定率法」を選択したい場合は、確定申告期限(3月15日)までに税務署に届出を提出する必要があります。

 

青色申告を行っている個人事業主には、少額減価償却資産の特例が適用される場合があります 。個人事業主が車で効果的に節税するためには、青色申告を選択し、事業使用割合を明確にすることが重要です。

 

また、購入時期も重要で、決算月に近い時期に購入すると、その年の減価償却費は月割りとなるため、節税効果が薄れることに注意が必要です。

家事按分の考え方と計算方法

個人事業主が車を購入する場合、完全に事業だけで使用することは少なく、プライベートでも使用するケースが多いでしょう。このように事業とプライベートの両方で使用する場合、経費として計上できるのは事業で使用した分だけです。この事業使用割合を算出する作業を「家事按分」と呼びます。

 

家事按分は、走行距離や使用日数などの合理的な基準に基づいて計算します。例えば、年間走行距離10,000kmのうち事業での使用が7,000kmであれば、事業使用割合は70%となります。家事按分の割合は実態に即して適正に設定し、走行記録などの証拠を残しておくことが税務調査対策として重要です。

 

この按分割合は、車の減価償却費だけでなく、ガソリン代や駐車場代、保険料など車に関わるすべての経費に適用されます 。例えば、年間のガソリン代が24万円で事業使用割合が70%であれば、経費として計上できるのは16.8万円(24万円×70%)となります。

個人事業主におすすめの車種と購入タイミング

個人事業主が節税目的で車を購入する場合、どのような車種を選ぶべきでしょうか。節税効果だけを考えるなら、4年落ちの中古車が最もおすすめです。これは中古車の耐用年数計算方法によるもので、4年経過した普通自動車の耐用年数は2年となり、短期間で経費計上できるからです。


しかし、節税効果だけでなく、維持費や将来の売却価値も考慮する必要があります。個人事業主には、燃費が良く維持費が安い車種で、かつ価値の下落が緩やかな人気モデルを選ぶことをおすすめします。具体的には、トヨタのプリウスやアクアなどのハイブリッド車や、マツダのCX-5などの人気SUVが該当します。


購入のタイミングとしては、決算月の直後がベストです。例えば12月決算の場合、1月に購入すれば初年度から12ヶ月分の減価償却費を計上できます。

逆に決算月直前の購入は、初年度の減価償却費が少なくなるため避けた方が良いでしょう。また、年度末の3月は決算を迎える企業が多く、中古車市場も活発になるため、比較的良い条件で購入できる可能性があります。

法人が社用車で節税するポイント

法人が社用車を購入する場合、適切な方法で行えば大きな節税効果が期待できます。法人の場合、車の購入費用は減価償却費として経費計上でき、さらにガソリン代や駐車場代、保険料などの維持費も全額経費として認められます

 

法人は原則として「定率法」で減価償却を行います。これは購入初年度に多くの経費を計上できる方法で、例えば500万円の普通自動車を購入した場合、初年度は約166.5万円(500万円×0.333)を経費計上できます。その後は年々減価償却費が減少していきますが、短期的には大きな節税効果が得られます。

 

社用車の購入は、会社名義で行う必要があります。また、実際に事業のために使用していることを証明できるよう、走行記録や業務内容の記録を残しておくことが重要です。

 

法人における社用車の節税効果を最大化するには、事業実態に合った車種選びと適切な時期の購入が鍵となります。特に決算期直後の購入は、初年度から多くの減価償却費を計上できるため効果的です。

高級車を社用車にする際の注意点

「高級車を社用車として購入すれば節税になる」と聞いたことがある方も多いでしょう。確かに高額な車ほど減価償却費も大きくなるため、表面上は節税効果が高いように見えます。しかし、高級車を社用車として購入する際には、いくつかの重要な注意点があります。

 

まず、事業規模や業種に見合った車種であるかどうかが問われます。例えば、小規模な会社が1,000万円を超えるような高級車を購入した場合、税務調査の対象となりやすくなります。高級車を社用車にする場合は、その車が事業上必要であることの合理的な説明ができることが重要です。

 

また、役員や従業員が私的に使用する場合は、給与課税の対象となる可能性があります。特に役員が専ら使用する高級車の場合、その使用による経済的利益は役員賞与として課税される可能性があるため、適切な処理が必要です。

法人におすすめの購入方法(一括 vs ローン)

法人が社用車を購入する際、一括払いとローン払いのどちらが有利かは、会社の資金状況や税務戦略によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、最適な方法を選択することが重要です。

購入方法

メリット

デメリット

一括払い

ローン金利がかからない、手続きが簡単

多額の資金が一度に必要、資金繰りに影響の可能性

ローン払い

初期費用を抑えられる、ローン金利も経費として計上できる

トータルコストが一括払いより高い、ローン審査が必要

ローン払いは資金繰りを考慮した長期的な節税計画に適しており、特に成長段階の企業におすすめです 。

実務上は、頭金を支払ってローンを組むという中間的な方法も選択肢となります。例えば、車両価格の3割程度を頭金として支払い、残りをローンにすることで、初期負担を抑えつつ月々の返済額も適正に保つことができます 。いずれの方法を選ぶにしても、会社の財務状況と将来の資金計画を考慮した上で判断することが大切です。

サラリーマンが車で節税できる可能性

サラリーマンにとって、車の購入が節税につながるケースは限定的です。一般的に給与所得者は、会社から支給される給与から源泉徴収という形で税金が天引きされるため、事業主のように経費を計上して所得を減らす仕組みがありません。

 

しかし、特定の条件下ではサラリーマンでも車関連の支出を税金面で有利に扱える可能性があります。例えば、確定申告が必要なケース(副業がある、医療費控除を受ける等)では、一部の車両費用を経費として計上できる場合があります。また、「給与所得者の特定支出控除」という制度を利用できるケースもあります。

 

ただし、純粋な節税目的だけで車を購入することは、サラリーマンにはおすすめできません。サラリーマンが車関連の支出で税負担を軽減するには、実際の業務使用実態があり、会社の規定や税法上の要件を満たすことが前提条件となります。車の購入を検討する際は、税金面だけでなく、総合的なコストパフォーマンスを考慮することが重要です。

給与所得者の特定支出控除制度

給与所得者の特定支出控除制度とは、仕事に関連して支出した特定の費用が一定額を超える場合に、確定申告を通じて控除を受けられる制度です。2012年の税制改正で拡充され、適用範囲が広がりました。

この制度を利用するためには、特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える必要があります。例えば、給与収入が700万円の場合、給与所得控除額は約195万円となり、特定支出が約98万円を超えないと適用できません。特定支出控除を受けるには、領収書などの証明書類を5年間保存する必要があります。

車関連では「通勤費」が特定支出に含まれます。具体的には、マイカー通勤における駐車場代やガソリン代などが対象となりますが、会社から支給される通勤手当を超える部分に限られます。また、車両本体の購入費用は原則として対象外ですが、専ら業務に使用する場合に限り「図書費・衣服費・交際費等」として一部認められる可能性があります。

マイカー通勤と交通費の関係

多くの会社員はマイカー通勤をしており、会社から通勤手当を受け取っています。この通勤手当は、一定の非課税限度額内であれば所得税がかかりません。2023年現在、マイカー通勤の非課税限度額は距離に応じて月額4,200円から31,600円となっています。

 

会社によっては実費精算方式を採用しているケースもあります。この場合、ガソリン代や駐車場代などの実費を会社に申請し、精算してもらうことになります。マイカー通勤における税務上のメリットを最大化するには、会社の通勤手当制度を正確に理解し、適切に申請することが重要です。

 

なお、通勤手当が非課税限度額を超える場合、超過分には所得税がかかります。また、会社の規定で通勤手当が実際の費用より少ない場合、その差額を特定支出控除の対象とできる可能性があります。ただし、前述のように給与所得控除額の2分の1を超える必要があるため、実際に適用できるケースは限られています。

 

マイカー通勤に関する税制は複雑なため、不明点がある場合は税理士や会社の経理担当者に相談することをおすすめします。また、通勤距離や方法が変わった場合は、速やかに会社に届け出ることも重要です。

中古車購入による効果的な節税戦略

中古車購入は、新車に比べて大きな節税効果が期待できる方法として注目されています。特に事業用として車を購入する場合、中古車を選ぶことで減価償却費を効率的に計上でき、短期間で経費化することが可能です。

 

中古車が節税に有利な理由は、耐用年数の計算方法にあります。新車の普通自動車の法定耐用年数は6年ですが、中古車の場合は「法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)」という計算式で算出されます 。例えば、4年使用された中古車を購入した場合、「6年-4年+(4年×20%)=2.8年」となり、1年未満は切り捨てられるため、耐用年数は2年となります。

 

中古車購入による節税効果を最大化するには、車種選びも重要です 。価格が安定している人気モデルや、維持費の安い車種を選ぶことで、総合的なコストパフォーマンスを高めることができます。中古車による節税戦略の成功には、耐用年数と価格のバランスを考慮した車選びが不可欠です。また、購入後の修理費用が新車価格の50%を超えると耐用年数が新車と同じになってしまうため、状態の良い車を選ぶことも重要です。

なぜ4年落ちの中古車が節税に最適なのか

4年落ちの中古車が節税に最適と言われる理由は、耐用年数と償却率の関係にあります。普通自動車の場合、4年経過した中古車の耐用年数は計算上2年となります。この2年という耐用年数が節税効果を最大化する鍵となるのです。

 

耐用年数が2年になると、定率法を適用した場合の償却率は100%となります。つまり、理論上は購入した年にその車の取得価額の全額を経費計上できることになります。4年落ち中古車の最大の魅力は、購入初年度に取得価額の全額を経費計上できる可能性があることです。これにより、短期間で大きな節税効果を得ることができます。

 

例えば、200万円の4年落ち中古車を購入した場合、定率法を適用すれば初年度に200万円全額を減価償却費として計上できる可能性があります。ただし、年度の途中で購入した場合は月割り計算となるため、例えば10月に購入した場合は6ヶ月分(10月~3月)のみが初年度の減価償却費となります。そのため、決算期直後の購入が最も効果的です。

中古車購入時の注意点とチェックポイント

中古車を購入して節税効果を得るためには、いくつかの重要な注意点があります。まず、車の状態をしっかりと確認することが大切です。外観や内装の状態、走行距離、整備記録などをチェックし、購入後に高額な修理費用がかからないようにしましょう。

 

特に注意すべきは、購入後の修理費用が新車価格の50%を超えると、耐用年数が新車と同じになってしまうことです。中古車購入時は、修理歴や今後必要となる修理・メンテナンス費用も考慮した総合的な判断が必要です。例えば、安価な中古車を購入しても、その後の修理費用が高額になれば、節税効果が薄れるだけでなく、総コストが増加してしまいます。

 

また、中古車の価値は年式や走行距離だけでなく、人気や需要によっても大きく変わります。将来売却する可能性も考慮し、価値の下落が緩やかな車種を選ぶことも重要です。トヨタのプリウスやレクサスなど、人気が高く価値が保たれやすい車種は、節税効果だけでなく資産価値の面でも有利です。

 

購入時には、必ず専門家による車両検査を受けることをおすすめします。また、正規ディーラーや信頼できる中古車販売店から購入することで、アフターサービスや保証の面でも安心です。節税効果を追求するあまり、車の品質や安全性を犠牲にしないよう注意しましょう。

リースを活用した節税方法

車を活用した節税方法として、購入だけでなくリースという選択肢もあります。リースとは、リース会社が車を購入し、それを契約期間中借りる形態です。リース料は全額が経費として計上できるため、効果的な節税手段となります。

 

リースの場合、車の所有権はリース会社にあるため、減価償却の計算は不要です。毎月支払うリース料をそのまま経費として計上できるため、経理処理が簡単になるというメリットもあります。また、初期費用が抑えられるため、資金繰りの面でも有利です。

 

リース契約には、一般的に3年から5年の期間が設定されており、契約終了時には返却、買取、再リースなどの選択肢があります。リースによる節税を検討する際は、総支払額と購入した場合のコストを比較し、事業の成長段階や資金計画に合わせた判断が重要です。特に創業間もない企業や、設備投資に多額の資金を必要とする企業にとって、リースは魅力的な選択肢となります。

リースのメリットとデメリット

リースを活用した節税には、いくつかの明確なメリットがあります。まず、初期費用が少なくて済むため、資金繰りへの負担が軽減されます。頭金や諸費用が不要または少額で済むケースが多く、特に創業間もない企業や資金に制約のある企業にとって大きなメリットです。

次に、リース料は全額が経費として計上できるため、安定した節税効果が期待できます。購入の場合は減価償却費として経費計上するため年々減少していきますが、リースの場合は契約期間中、毎月同じ金額を経費計上できます。リースの最大のメリットは、初期投資を抑えながら安定した経費計上ができることです。

また、車両の管理や手続きの手間が省けるというメリットもあります。車検や税金の支払い、保険の更新などをリース会社が代行してくれるケースが多く、事務負担の軽減につながります。

一方、デメリットとしては、トータルコストが購入より高くなる可能性があることが挙げられます。リース料には金利や手数料が含まれるため、長期的に見ると購入より総支払額が多くなることがあります。

また、契約期間中の解約には高額な違約金が発生するケースが多く、柔軟性に欠ける面があります。さらに、所有権がないため、車両の改造や使用方法に制限がある場合もあります。

リース契約時の注意点

リース契約を検討する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。まず、契約内容をしっかりと確認することが大切です。特に月々のリース料に何が含まれているのか(税金、保険、メンテナンス費用など)を明確にしておきましょう。

 

また、契約期間と走行距離制限についても確認が必要です。多くのリース契約では、年間の走行距離に上限が設けられており、それを超えると追加料金が発生します。リース契約時は、実際の使用状況に合った走行距離制限を選択することが重要です。事業拡大に伴い走行距離が増える可能性がある場合は、余裕を持った設定にしておくと安心です。

 

契約終了時のオプションについても事前に確認しておきましょう。一般的には、「返却」「買取」「再リース」などの選択肢がありますが、それぞれの条件や費用を把握しておくことが重要です。特に買取オプションを検討している場合は、残価(買取価格)がどのように設定されているかを確認しておくべきです。

 

中途解約のペナルティについても理解しておく必要があります。事業計画の変更や業績悪化などにより、契約期間満了前に解約する可能性もゼロではありません。その場合にどのような違約金が発生するのか、契約前に確認しておくことをおすすめします。

車関連で経費計上できる項目一覧

車を事業で使用する場合、購入費用だけでなく様々な維持費も経費として計上することができます。これらの費用を適切に経費計上することで、節税効果をさらに高めることが可能です。

経費計上できる主な項目は以下の通りです。

  • ・自動車保険料
  • ・ガソリン代
  • ・駐車場代
  • ・車検費用
  • ・修理費
  • ・自動車税
  • ・自動車重量税

これらの費用は、個人事業主の場合は事業で使用する割合に応じて家事按分を行い、法人の場合は事業用であれば全額を経費として計上できます。

 

経費計上時の注意点として、領収書や請求書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。税務調査の際に、これらの書類の提示を求められることがあります。

 

車関連費用の経費計上で最も重要なのは、事業使用の実態があることと、適切な証拠書類を保管していることです。特に個人事業主は、プライベートでの使用と事業での使用を明確に区別できるよう、走行記録などを付けておくことをおすすめします。

維持費・燃料費・保険料

車の維持に関わる費用は、事業で使用する限り経費として計上できます。特にガソリン代や駐車場代、保険料などは毎月発生する費用であり、適切に経費計上することで継続的な節税効果が期待できます。

 

ガソリン代は、事業で使用した分を経費として計上できます。個人事業主の場合は、走行距離や使用日数などに基づいて事業使用割合を算出し、その割合に応じて経費計上します。

 

ガソリン代の経費計上には、給油時の領収書を保管するだけでなく、走行記録をつけることで事業使用の証明が容易になります。法人の場合は、社用車であれば基本的に全額を経費計上できますが、役員や従業員の私的使用がある場合は按分が必要です。

 

駐車場代も重要な経費項目です。事業所や取引先訪問時の駐車場代はもちろん、自宅や事業所の月極駐車場代も事業使用割合に応じて経費計上できます。特に事業専用の駐車場であれば、全額を経費として計上することが可能です。

 

自動車保険料も経費計上できる項目です。任意保険と自賠責保険の両方が対象となります。個人事業主の場合は事業使用割合に応じて経費計上し、法人の場合は社用車の保険料であれば全額を経費として計上できます。

 

保険の種類や補償内容によって保険料は大きく変わるため、必要な補償を確保しつつコストを抑える工夫も重要です。

維持費・燃料費・保険料

車の修理費や車検費用、各種税金も経費として計上できる重要な項目です。これらの費用は定期的に発生するものであり、計画的な資金準備と適切な経費計上が必要です。

 

修理費は、事業で使用する車両の機能を維持するための費用として経費計上できます。ただし、単なる修理ではなく、グレードアップや改造にあたる場合は、資本的支出として減価償却の対象となることがあります。修理費を経費計上する際は、修理の内容が維持・修繕にあたるものか、資産価値を高める改良にあたるものかを区別することが重要です。一般的に、元の機能を回復させる修理は経費、性能を向上させる改良は資本的支出と判断されます。

 

車検費用も経費として計上できます。法定点検費用、部品交換費用、検査手数料などが含まれます。車検は2年に一度(新車は3年後に初回車検)発生する大きな出費ですが、事業使用割合に応じて経費計上することで税負担を軽減できます。

 

自動車税や自動車重量税などの税金も経費計上の対象です。自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課税される都道府県税で、自動車重量税は車検時に納付する国税です。これらの税金は、事業使用割合に応じて経費計上できます。法人の場合は社用車であれば全額を経費として計上できますが、個人事業主の場合は家事按分が必要です。

 

これらの費用を適切に経費計上することで、車の維持費負担を軽減しつつ、節税効果を高めることができます。ただし、経費計上の際には、事業との関連性を明確にし、適切な証拠書類を保管しておくことが重要です。

車を活用した節税の具体的シミュレーション

車を活用した節税効果を具体的に理解するために、シミュレーションを通して検証してみましょう。実際の数字で見ることで、どの方法がどれくらいの節税効果をもたらすのかが明確になります。

 

以下のシミュレーションでは、個人事業主、法人、そしてリースを利用した場合の3つのケースについて、節税効果を比較します。それぞれの前提条件を同じにすることで、公平な比較ができるようにしています。なお、税率や控除額は2023年度の制度に基づいています。

 

シミュレーションの前提として、年間所得700万円(法人の場合は課税所得)、購入する車は300万円の中古車(4年落ち)、事業使用割合は80%(個人事業主の場合)とします。また、年間の維持費(ガソリン代、保険料、駐車場代など)は60万円と仮定します。

 

節税効果を正確に把握するには、購入費だけでなく維持費も含めた総合的なシミュレーションが重要です。実際の節税計画を立てる際は、自身の事業状況に合わせた詳細な計算を行うことをおすすめします。

個人事業主の場合

個人事業主が300万円の4年落ち中古車を購入した場合のシミュレーションを見てみましょう。個人事業主は原則として定額法で減価償却を行いますが、届出により定率法を選択することも可能です。

定額法の場合、4年落ち中古車の耐用年数は2年となり、償却率は0.5です。事業使用割合80%を考慮すると、初年度の減価償却費は「300万円×0.5×80%=120万円」となります。年間の維持費60万円についても事業使用割合を適用すると「60万円×80%=48万円」が経費となります。

したがって、初年度に計上できる経費は合計168万円(減価償却費120万円+維持費48万円)です。所得税率を仮に23%(所得700万円の場合)とすると、節税効果は「168万円×23%=38.64万円」となります。個人事業主の場合、青色申告を選択し、可能であれば定率法を適用することで、初年度の節税効果をさらに高めることができます

2年目も同様に計算すると、減価償却費120万円と維持費48万円の合計168万円が経費となり、同じ節税効果が得られます。2年間の合計では、約77.28万円の節税効果となります。

法人の場合

法人が同じ300万円の4年落ち中古車を購入した場合、原則として定率法で減価償却を行います。4年落ち中古車の耐用年数は2年で、定率法の償却率は1.0(100%)となります。

 

初年度の減価償却費は「300万円×1.0=300万円」となり、車両の取得価額全額を経費計上できます。ただし、年度の途中で購入した場合は月割り計算となるため、例えば10月購入の場合は6ヶ月分(10月~3月)のみが初年度の減価償却費となります。

 

年間の維持費60万円も全額経費計上できるため、初年度の経費は最大で360万円(減価償却費300万円+維持費60万円)となります。法人税率を23.2%(中小企業の軽減税率)とすると、節税効果は「360万円×23.2%=83.52万円」となります。法人の場合、定率法の適用と決算期直後の購入タイミングにより、初年度から大きな節税効果を得ることができます

 

2年目以降は減価償却費がなくなり、維持費60万円のみが経費となるため、節税効果は「60万円×23.2%=13.92万円」となります。2年間の合計では、約97.44万円の節税効果となります。

シミュレーション

項目

個人事業主

法人

車両価格

300万円

300万円

中古車(4年落ち)

事業使用割合

80%

100%

減価償却方法

定額法(届出により定率法も可能)

定率法

初年度減価償却費

120万円

300万円

年間維持費

60万円

60万円

初年度経費

168万円

360万円

所得税率(例)

23%

23.2%

初年度節税効果

38.64万円

83.52万円

2年目以降の節税効果

2年間の合計約77.28万円

2年間の合計約97.44万円

まとめ:車購入による節税戦略を賢く活用しよう

車の購入は節税に繋がる可能性がありますが、事業での利用が基本です。個人事業主は家事按分、法人は社用車として適切に管理しましょう。 減価償却の仕組みを理解し、事業形態に合った方法を選ぶことが重要です。

 

4年落ち中古車は、短期間での経費計上が可能なため節税効果が期待できます。車の状態や将来の費用も考慮して判断しましょう。購入だけでなく、リースも選択肢となります。初期費用を抑えたい場合や資金繰りを重視する場合に有効です。

 

サラリーマンは、特定支出控除制度などを理解することで、一部メリットがあるかもしれません。  

 

節税だけでなく、事業における車の必要性やコストパフォーマンスも考慮し、最適な購入方法や活用法を検討しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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