ふるさと納税の節税効果はどれくらい?仕組みとメリット・デメリットを徹底解説!

2023.01.25

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節税に効果的といわれる手段のなかでも、ふるさと納税は知名度が高く多くの人が実施しています。
しかし、ふるさと納税がなぜ節税になるのか仕組みを知らない、やりたいけどどうすれば良いかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回はふるさと納税について、節税面を中心に、仕組みや注意点を詳しく解説します。

 

以下の記事でも個人で実施できる節税対策の紹介をしていますので、ぜひそちらもご覧ください。

 

 

 

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CONTENTS

ふるさと納税とは​

はじめに、ふるさと納税の概要について解説します。
何故ふるさと納税が節税につながるといわれるのか、仕組みについても取り上げます。

好きな自治体に寄付できる制度

ふるさと納税とは、好きな自治体を選び寄付を行うと、その自治体からお礼として返礼品を受けられる制度です。

寄付した金額のうち自己負担額2,000円を引いた額が控除対象となり、所得税や翌年の住民税が減額されます。

なお、ふるさと納税の寄付先として自身が住んでいる自治体を選んだ場合、返礼品は受け取れません。

ふるさと納税という手段での寄付自体は可能ですが、返礼品という大きなメリットを得られないため注意しましょう。

ふるさと納税で控除される税金の種類

ふるさと納税で控除される税金は「所得税」と「住民税」の2種類です。ふるさと納税額から2,000円を差し引いた金額が、所得税では「寄附金控除」として課税所得から差し引かれ、税額が軽減されます。住民税については「税額控除」として、基本分(所得割額の10%)と特例分(残りの部分)が直接住民税から差し引かれます。

 

確定申告を行う場合は所得税と住民税の両方から控除され、ワンストップ特例制度を利用する場合は、所得税からの控除は行われず、その分も含めて住民税からのみ全額控除されます。控除上限額は年収や家族構成によって異なるため、事前の確認が大切です。

厳密には節税ではないがメリット大

ふるさと納税は節税対策として効果的というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

しかし実際のところ、ふるさと納税は厳密にいうと節税につながる手段ではありません。
支払う税額が減るわけではないのです。

 

ふるさと納税は寄付金として支払った額のうち、自己負担額である2,000円を引いた額が税金から控除される仕組みです。

そのため支払う税金を減らすというよりは、税金の前払いのイメージが近いといえます。

「節税につながる」「税金を抑えられる」などの認識は、正しいとはいえないためご注意ください。

 

ふるさと納税は直接的な節税につながるわけではありませんが、大きなメリットが2つあります。

応援したい自治体を選べる

ふるさと納税は自分で選んだ自治体に寄付を行います。
応援したい自治体に直接貢献できる手段であり、やりがいや喜びを感じられるでしょう。

2,000円の自己負担でさまざまな返礼品がもらえる

ふるさと納税は税金の前払いという性質上、厳密には節税効果はありませんが、自己負担2,000円で返礼品を受け取れる点が大きなメリットです。

 

返礼品の価値が2,000円を上回る場合、実質的にお得になります。また、地域貢献という社会的意義も持ち合わせており、好きな自治体を応援しながら特産品を楽しめる制度として多くの人に活用されています。

 

自己負担分を除いた寄附金額は控除対象となるため、単に税金を納めるだけの場合より、ふるさと納税の方が得られるものが大きくなります。

ふるさと納税のデメリットとは

ふるさと納税には大きなメリットがある一方で、デメリットの存在にも注意が必要です。

 

前述したように、厳密には節税につながる仕組みではありません。

ふるさと納税によって税額が減ったようにみえますが、実際はふるさと納税によって税金を前払いしているイメージです。

そのため、ふるさと納税が節税につながる・節税に効果的という認識は危険です。

ふるさと納税の仕組みについて正しく理解する必要があります。

 

また、ふるさと納税にはいくつかの注意点があります。

事前にふるさと納税について理解を深めなければ、誤った方法で進めてしまい、メリットを享受できない恐れがあります。

 

ふるさと納税の注意点について詳しくは次の章で解説します。

ふるさと納税の控除額計算方法

ふるさと納税でどれだけ税金が控除されるかは、所得税と住民税の計算式を正しく理解することが重要です。控除額の仕組みを把握することで、無駄なく最適な寄付金額を決定できます。

所得税からの控除計算

所得税からの控除額は、「(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×所得税率」で算出されます。所得税率は課税所得によって5%から45%まで7段階に分かれており、収入が多いほど税率も高くなります。

 

例えば、課税所得が330万円超~695万円以下の場合は20%が適用されます。控除対象となる寄付金額は総所得金額の40%が上限です。確定申告を行うことで、計算式に基づいた還付金が振り込まれます。なお、ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税分は住民税から控除されるため、計算方法が異なります。

住民税からの控除計算

住民税の控除は「基本分」と「特例分」の2つで構成されます。

 

基本分は「(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×10%」で計算され、すべての寄付者に適用されます。

 

特例分は「(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×(90%-所得税率)」で算出され、所得税率が高いほど特例分は小さくなります。ただし、特例分の控除額は住民税所得割額の20%が上限となっており、これを超えると控除されません。医療費控除や住宅ローン控除を利用している場合、住民税の控除上限が下がることもあるため、注意が必要です。

ふるさと納税の注意点​

ふるさと納税には、大きな注意点が3つあります。それぞれ詳しく解説します。

控除を受けられる上限額が決まっている

ふるさと納税は好きなだけ実施できるわけではありません。ふるさと納税によって控除できる上限額が存在します。

上限額を超えた部分は自己負担となり、控除対象になりません。

 

ふるさと納税の控除額は、所得金額によって決定されます。

年の途中では、その年の所得がどれほどになるか、大体のイメージでしかわかりません。

そのため年の途中はふるさと納税を控えめに、年末が近づき正確な所得額がほぼ把握できる状態になってから上限額いっぱいまで行うケースが多いです。

上限額はWeb上のシミュレーションサービスなどで算出できます。

 

なお、ふるさと納税による控除額の計算方法は以下のとおりです。

一見単純ではありますが、ふるさと納税以外に適用される控除も考慮する必要があるため、実際にはかなり複雑な計算が必要となります。

所得税からの控除額

(ふるさと納税で寄付した金額-自己負担分2,000円)×所得税率

総所得金額等の40%が上限です。

住民税からの控除額

住民税からの控除は、基本分と特例分の2つが存在します。

 

基本分

(ふるさと納税で寄付した金額-自己負担分2,000円)×10%

総所得金額等の30%が上限です。

 

特例分

(ふるさと納税で寄付した金額-自己負担分2,000円)×(100%-10%-所得税率)

なお上記の式で計算した結果、特例分が住民税所得割額の2割を超えた場合、特例分の計算で以下の式が採用されます。

(住民税所得割額)×20%

特例分の上限額は、住民税所得割額の20%といえます。

控除上限額の目安表と計算方法

控除上限額は年収と家族構成によって決まります。

 

例えば、年収500万円の独身者の場合、控除上限額の目安は約61,000円となります。正確な上限額を知るためには、各ふるさと納税サイトが提供するシミュレーションツールを活用することが重要です。

 

上限を超えた寄付は自己負担となるため、事前の計算が節約効果を最大化する鍵となります。

控除を受けるためには手続きが必要

ふるさと納税は支払って自動で控除が適用されるわけではなく、納税者本人による手続きが必要です。

 

手続きの方法には、確定申告・ワンストップ特例制度の2種類があります。

なお、ワンストップ特例制度の申請をしたあとに確定申告をしてしまうと、ワンストップ特例制度の申請が無効になってしまいます。

ワンストップ特例制度の申請後に確定申告の必要性に気がついた場合、確定申告で寄付金控除の制度が必要です。

 

確定申告とワンストップ特例制度、それぞれの流れや期限などを紹介します。

確定申告

毎年1月1日から12月31日までに生じた所得について、翌年の2月16日から3月15日(土日祝にかぶる場合は翌平日)までに確定申告を行います。

確定申告書の提出方法は以下の4種類です。

・確定申告書を税務署の窓口に持参する
・確定申告書を税務署の時間外収集箱に投函する
・確定申告書を税務署に郵送で提出する
・e-Tax(Web上で実施できる国税電子申告および納税システム)を使う


※e-Taxの実施には、e-Taxに必要な番号やマイナンバーカードの取得といった事前準備が必要です

ワンストップ特例制度

1年間の所得が勤務先1ヶ所から受け取る給与所得の場合のみであれば、確定申告の必要がありません。

このように、確定申告の必要がない人がふるさと納税による控除を受ける場合は、ワンストップ特例制度の活用が便利です。

ふるさと納税をした自治体に必要書類を送付するだけで、ふるさと納税による控除が適用されます。


ワンストップ特例制度の流れは以下のとおりです。


1.「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を用意する
※ふるさと納税実施の際に発行を申し込む、または寄付先の自治体に連絡して発行してもらうことが可能です。ふるさと納税ポータルサイトなどから実施した場合、利用したサイトでダウンロードできるケースもあります


2.「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入する


3.マイナンバーカードなど、必要書類を用意する


4.必要書類を自治体に送付する 


なお、ワンストップ特例制度には寄付した年の翌年1月10日必着です。
また1年間に寄付した自治体が5ヶ所以内の場合しか利用できません。

控除・還付までには時間がかかる

ふるさと納税による税金面での効果を実感できるまでには時間がかかります。

ふるさと納税によって所得税が減っても、所得税の確定申告を行うまで、数値面での効果を実感できません。

所得税の還付が発生する場合、確定申告の実施から所得税の還付まで1ヶ月前後かかります。

また、ふるさと納税による控除が反映される住民税は、寄付した翌年の6月から翌々年の5月までに払う分です。

このように、税金面での効果を実感できるのは寄付した翌年であるという点に注意する必要があります。

ワンストップ特例制度と確定申告の選び方

控除を受ける手続きには「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2つの方法があります。

 

ワンストップ特例制度は、年間の寄付先が5自治体以内で確定申告不要な方が利用でき、住民税からの全額控除となります。一方、確定申告は寄付先の制限がなく、所得税の還付と住民税の控除を受けられます。どちらを選ぶかは個人の状況に応じて決定することが大切です。

ふるさと納税と節税対策についてよくある質問

ふるさと納税に関する疑問や誤解を解消するため、よくある質問をまとめました。正しい理解で効果的に活用しましょう。

ふるさと納税は節税になるのですか?

ふるさと納税は厳密には節税ではありません。納める税金の総額は変わらず、本来住んでいる自治体に納めるはずの税金を、自分が選んだ自治体に寄付という形で前払いする制度です。

 

ただし、自己負担2,000円で返礼品を受け取れるため、実質的にお得感を得られる仕組みとなっています。税金の減額ではなく、税金の振り分けと考えるのが正確です。

控除上限額を超えるとどうなりますか?

控除上限額を超えた寄付金額は、自己負担となってしまいます。

例えば、上限額が5万円の人が7万円寄付した場合、2万円は控除されず実費となります。年収や家族構成によって上限額は異なるため、事前にシミュレーションツールで確認することが重要です。

無駄な出費を避けるためにも、必ず上限額内での寄付を心がけましょう。

ワンストップ特例制度と確定申告はどちらが良いですか?

ワンストップ特例制度は、年間の寄付先が5自治体以内で確定申告不要な給与所得者が利用できる簡便な制度です。この場合、全額が住民税から控除されます。

一方、確定申告では寄付先の制限がなく、所得税の還付と住民税の控除を受けられます。自営業者や複数の収入源がある方は確定申告が必要となります。

いつまでに寄付すれば今年の控除を受けられますか?

その年の控除を受けるためには、12月31日までに寄付の決済が完了している必要があります。年末近くになると申し込みが集中し、決済が年を越してしまう可能性があるため、余裕を持って手続きを行うことが大切です。

 

また、ワンストップ特例制度を利用する場合は、翌年1月10日までに申請書を提出する必要があります。

医療費控除や住宅ローン控除との併用は可能ですか?

ふるさと納税は他の控除制度と併用可能ですが、控除上限額に影響する場合があります。住宅ローン控除や医療費控除を受けている場合、ふるさと納税の控除上限額が下がる可能性があるため、正確な上限額を事前に確認することが重要です。

 

初回の住宅ローン控除を受ける年は確定申告が必要となり、ワンストップ特例制度は利用できません。

まとめ​

ふるさと納税は節税対策のイメージが強いですが、支払う税金そのものが減るわけではなく、税金の前払いに近い仕組みです。

しかし、寄付する自治体を選べる・返礼品をもらえるなど、大きなメリットも存在します。

ふるさと納税の仕組みや注意点をしっかり押さえたうえで、制度をお得に活用しましょう。

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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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