サラリーマンが副業で節税するために押さえるべきポイントと注意点を徹底解説!

2023.03.27

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近年、副業を行うサラリーマンが増えています。

副業をする目的として、収入を増やす・空いた時間を活用する・スキルを身に付けるなど、さまざまなものが挙げられますが、最近は節税目的で副業を行う人も増加傾向です。

 

サラリーマンが副業によって節税を行うことは不可能ではありませんが、注意点も存在します。
今回はサラリーマンが副業で節税するために押さえたいポイントを詳しく解説します。

 

以下の記事でも会社員が個人でできる節税テクニックを紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

 

CONTENTS

サラリーマンの副業で節税は可能?

副業による節税の可否を考える前に、まずは所得税の仕組みを押さえる必要があります。

 

大前提として、会社からの給料は給与所得、副業収入は事業所得または雑所得に該当します。

 

給与所得は文字通り、勤務先から受ける給料・賃金・賞与などの所得です。

額面そのままではなく、給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得となります。

 

副業収入は前述したように、事業所得または雑所得に該当します。

それぞれの大まかな特徴や違いは以下の通りです。

  • 事業所得
    農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業・その他の事業など、事業から生じる所得を指します。

  • 雑所得
    事業所得を含めたほかの所得区分に該当しない所得です。
    例として、公的年金等・印税・非営業用貸金の利子などが挙げられます。

サラリーマンが副業で節税できるのは、副業収入が事業所得に該当し、かつ赤字である場合です。

この場合は損益通算によって所得税の還付を受けられます。

 

損益通算とは、所得金額の計算上生じた損失を、別の所得金額から控除できる仕組みです。

損益通算の対象となる所得は以下の4つです。

  • ・不動産所得
  • ・事業所得
  • ・譲渡所得
  • ・山林所得

給与所得が500万円、副業による事業所得がマイナス100万円(赤字)の場合を例にします。

この場合、損益通算によって課税対象となる所得は500万円-100万円=400万円となります。

給与所得のみの場合よりも課税対象となる所得が小さくなるため、節税につながるのです。

 

なお、給与所得にかかる所得税は勤務先による年末調整で精算され、納付も完了済の状態となります。

副業による節税のためには所得税の確定申告を行い、払いすぎた分の還付を受ける必要があります。

副業で節税をするためのポイント

サラリーマンが副業で節税するためのポイントを2点紹介します。

青色申告にする

副業による節税のためには、青色申告にすることが大切です。
青色申告にすることで以下のメリットを受けられます。

  • 青色申告特別控除
    青色申告にすることで、最大65万円の所得控除が適用されます。
  •  
  • 赤字の繰り越し
    青色申告では最大3年にわたって赤字の繰り越しが可能です。
    たとえば前年に50万円の赤字が発生・その翌年に100万円の黒字となった場合、前年の赤字と相殺することで、その年の黒字を50万円にできます。
  •  
  • 家族への給与を経費計上できる
    青色申告の場合、家族に支払う給与の経費計上が可能です。
    ただし、一定の要件を満たした上で所定の手続きを行う必要があります。

以上の仕組みによって、青色申告の方が事業所得を小さくできるため、所得税を抑えることが可能となります。

 

青色申告にするためには、所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。

期日は以下のいずれかです。

  • ・1月15日までに開業の場合:青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで
  • ・1月16日以降に開業の場合:開業から2ヶ月以内

青色申告では、正規の簿記の原則に則った複式簿記による記帳が必要です。

また、確定申告書とあわせて貸借対照表および損益計算書も提出する必要があります。

基本的なルールやその他の節税対策もしっかり押さえる

サラリーマンの効果的な節税のためには、所得税に関する基本的なルールや、副業以外の節税対策もしっかり押さえることが大切です。

 

副業が節税につながるのは、副業が事業所得に該当し、かつ赤字である場合と解説しました。

節税のために事業所得をどうにか赤字にしたいと考えるかもしれません。

節税のメジャーな手法として「赤字副業」という言葉も存在します。

 

しかし、意図的に赤字にしようとすると、脱税行為とみなされる恐れがあります。

実際、赤字副業は税務署が目を光らせている行為です。本業がサラリーマンで副業が赤字の場合、悪質な脱税行為でないか非常に細かくチェックされます。

 

脱税行為とみなされてしまうと、赤字が認められず所得税が増えるだけでなく、延滞税や加算税が課せられることも有り得ます。

もちろん、真剣に取り組んだものの赤字が生まれてしまった場合に、給与所得と事業所得の損益通算をするのは問題ありません。

ただし、意図的な赤字副業は避けるべきでしょう。節税ではなく、悪意のある脱税行為になってしまいます。

 

損益通算を活用した節税対策を優先するのではなく、基本的なことが大切です。

脱税行為とみなされないために押さえるべきポイントを2つにまとめます。

  • ・簿記のルールに則った正しい記帳を行う
  • ・経費にするのは副業において必要性と関係性がある支出のみにする

また、節税のためには所得控除の活用も必須です。

適用を受けられる所得控除を最大限活用するだけでも、所得税を大きく抑えられる可能性があります。

 

節税目的でいきなり副業に手を出すのではなく、まずは簡単に実施できる他の節税対策から始めることをおすすめします。

会社員の所得控除については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

副業で節税をする際の注意点

サラリーマンが副業で節税をする際の注意点を2つ紹介します。

雑所得に該当する場合は節税につながらない

サラリーマンの副業が節税につながるのは、副業収入が事業所得に該当し、赤字である場合です。

損益通算によって所得額を小さくできるため、所得税も小さくなります。

 

しかし、はじめに解説したように、副業収入は事業所得ではなく雑所得に該当するケースもあります。

副業収入が雑所得に該当する場合、損益通算ができません。

そのため副業が赤字であっても、所得税の節税にはつながりません。

 

事業所得と雑所得に明確な判断基準はありません。

国税庁の公式サイトにおいても、雑所得の例として、副業に係る所得が挙げられています。

事業実態や取引額など、さまざまな要素から総合的な判断が行われます。

 

事業所得と雑所得を区分する基準のひとつが、事業に反復性および継続性があるか否かです。

 

売上発生が一時的である場合や事業活動が単発である場合などは、反復性および継続性がないため、雑所得とみなされるでしょう。

副業で赤字の状態が何年も続いている場合も、事業に該当しないと判断される可能性が高くなります。

 

副業収入が事業所得と認められるよう、反復性や継続性を説明できるだけの体制を整える必要があります。

 

なお、副業に関する帳簿書類の保存がない場合、原則として雑所得と扱われます。

金額に関係なく、帳簿書類の作成および保存も必要です。

本業と並行して副業を行うのは大きな負担になる可能性も

サラリーマンの場合、本業はあくまでも会社での仕事です。

空いた時間に事業とみなされるほどの副業をこなし、かつ、正しい会計処理や税務関連の作業を行うのは容易ではありません。

 

副業による節税のためには、副業収入が事業所得に該当するためのポイントを押さえる必要があります。

事業所得と雑所得の明確な区分はありませんが、事業の継続性・反復性、さらには収入の発生などがひとつの基準となります。

また、帳簿書類の作成および保存も必要不可欠です。

副業という呼び方ではありますが、実際には片手間でできるものではないといえるでしょう。

 

また、副業による節税は青色申告が前提とも紹介しました。

青色申告は簿記の知識が求められ必要な作業も多いため、それだけでも大きな負担になります。

誤った処理をしてしまうと、かえって税負担が大きくなったり追徴課税の対象になる可能性があります。

 

サラリーマンの副業は上手くいけば所得税の節税につながりますが、副業での節税は簡単ではなく、ある程度の負担がかかることを認識しておきましょう。

まとめ

サラリーマンが副業で節税を行う際には、損益通算の仕組みを活用します。

副業が事業所得に該当し赤字である場合、損益通算によって課税対象となる所得額を小さくできます。

所得額が小さくなることで所得税が抑えられるため、結果として節税につながるのです。

 

ただし、副業による節税のためには、複数のポイントや注意点を押さえる必要があります。

誤った方法で進めてしまうと、かえって税負担が大きくなる事態も起こり得ます。

 

本業と並行して副業を行うのは大きな負担にもなるため、所得税の節税を目指す場合、いきなり副業を行うのではなく、まずは他の節税テクニックの実施をおすすめします。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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