固定資産税は土地や建物といった不動産や、償却資産に課せられる税金です。
固定資産評価額に一定の税率を乗じて金額を算出します。
固定資産税は一度にある程度大きな額を納付する必要があるため、納税が負担で税金を減らしたいとお悩みの人も多いでしょう。
固定資産税を最小限に抑えるためには、固定資産税についての正しい理解と、節税テクニックの実施が欠かせません。
本記事では、固定資産税の負担を抑えるために知っておくべきことを詳しく解説します。
その他の税金の仕組みについて解説した以下の記事もぜひご覧ください。
CONTENTS
節税について見る前に|固定資産税の概要
はじめに、固定資産税の概要について解説します。
固定資産税とは
固定資産税とは、土地や建物といった不動産や、償却資産に課せられる地方税です。
毎年1月1日時点で保有している固定資産を基に金額が決定されます。
納付先は市町村(東京23区の場合は東京都)であり、自治体から届く納付書を使って支払います。
固定資産税の対象となる資産
固定資産税の対象となる資産は、大きく土地・建物(税法上は「家屋」と呼ばれますが、今回はわかりやすさを重視して「建物」と表現します)・償却資産の3種類に分けられます。
このうち、個人や家庭に関係する資産は土地と建物の2種類です。
償却資産は、事業の用に供する固定資産を意味します。
たとえ高価な家具や機械でも、事業目的でなければ固定資産税の対象になりません。
そのため、事業者以外が払う固定資産税は、土地または家屋に課せられる分のみとなります。
固定資産税の対象となる資産として、具体的な例を紹介します。
- 土地
- ・宅地
- ・田畑
- ・山林
- ・原野
- ・池沼
- 建物
- ・住家(戸建て・集合住宅問わず)
- ・店舗
- ・倉庫
- ・工場
以下3つの条件を満たす建物は、固定資産税の対象となります。
- ・土地に定着して建てられている
- ・独立して風雨をしのぐことが可能である
- ・用途性があり、目的に応じて利用できる状態である
たとえば屋根のみ・四方に壁がないカーポートやコンクリートブロックの上に乗せるタイプの倉庫などは、条件を満たさないため固定資産税の対象外です。
なお、建物が固定資産税の対象であるか否かについて、登記の有無は関係ありません。
仮に不動産登記をしていない場合でも、前述した条件を満たしていれば固定資産税が課せられます。
固定資産税の計算方法
固定資産税の額は以下の計算式で求めます。
固定資産税課税標準額×税率
税率は原則1.4%ですが、異なる税率を設けている自治体も存在します。
固定資産税課税標準額は、固定資産評価額を基に軽減措置などを考慮した上で決定される金額です。
固定資産評価額の詳しい計算方法は割愛しますが、一般的に時価の70%程度となります。
特例や軽減措置の適用がない場合、固定資産評価額がそのまま固定資産税課税標準額として用いられます。
固定資産税の納付について
前述したように、固定資産税の納付先は市町村(東京23区の場合は東京都)です。
自治体から税額が記載された納税通知書と納付書が届くため、税額や納期限などを確認した上で納付します。
納付書の到着から納付期限までの大まかなスケジュールは以下の通りです。
- ・4~6月:納税通知書・納付書が郵送で届く
- ・4~6月:第1期分納付期限
- ・7~9月:第2期分納付期限
- ・11~12月:第3期分納付期限
- ・翌年1~2月:第4期分納付期限
納付期限は自治体によって大きく異なるため、必ず納付書に記載された日付をご確認ください。
第1期分の納期限に1年分まとめて払うことも可能です。
納付方法として以下の6つが挙げられます。
- ・現金納付
- その場で領収証書の受け取りが可能です。手数料は発生しません。
- ・電子マネー
- 現金と同じく、その場で領収証書の受け取りが可能・手数料0円です。
- ・口座振替
- 事前に手続きを行う必要があります。手数料無料です。
- ・ペイジー
- 納付書にペイジーマークがある場合に実施できる方法です。
- こちらも手数料はかかりません。
- ・スマホ決済アプリ
- 手数料0円・領収証書なしと、ペイジーに近い仕組みです。
- ・クレジットカード
- クレジットカードのポイントがたまりますが、手数料がかかる点に注意が必要です。
自治体によって選択できる方法が異なるため、必ず確認しましょう。
固定資産税の節税対策とは
固定資産税の節税効果が期待できる方法を3つ紹介します。
土地の分筆を行う
土地の分筆とは、土地を分割して登記することです。
筆とは土地の単位として登記上で用いる表現であり、1枚の登記簿に記載されている1つの土地を一筆と表します。
土地の分筆をすることで、それまで一筆であった土地が分割され、別々に登記される状態になるのです。
土地の固定資産税評価額は、土地の面積や利便性などのさまざまな要素を使って総合的に判断されます。
たとえば大きな通りに面した広い土地であれば、面積の大きさと利便性の高さから、固定資産税評価額が高額になりやすいです。
一方、この土地を通りに面した土地とそうでない土地に分筆すれば、通りに面していない土地の方は利便性が低い土地と判断されます。
もともとは利便性が高い1つの土地だったのが、利便性が高い土地と利便性が低い土地の2つに分かれるのです。
後者の土地は固定資産税評価額が小さくなるため、固定資産税のトータルは小さくなるでしょう。
このように、土地の面積や利便性によっては、分筆を行うことで高い節税効果が期待できます。
ただし、分筆のためには測量や登記のし直しが必要であり、その分費用もかかります。
節税効果よりも費用が大きくなる恐れもあるため、事前に十分な検討が必要です。
非課税となる固定資産を漏れなく申告する
固定資産税の額を最小限に抑えるためには、所有する固定資産が非課税になる工夫をする・非課税となる固定資産を漏れなく申告することも大切です。
土地や不動産の中には、固定資産税の対象外となる資産が存在します。
例えば私有地であっても、公園や私道といった公益性の高い土地は固定資産税がかかりません。
マンションを建てて敷地の一部を公園にする・ほかの公道に通じる私道を作るなどの方法をとることで、該当の土地を固定資産税の対象外にできます。
このように、ただ土地を保有するのではなく土地を上手く活用することで、固定資産税の負担を抑えられるでしょう。
ただし、非課税適用を受けるためには自治体への申告が必要です。
事前に申告をしなければ非課税にならず、必要以上の固定資産税を課せられてしまいます。
非課税適用となる条件をしっかり押さえた上で、必ず期日までに自治体への申告を行いましょう。
特例の適用対象となる条件を満たす
固定資産税課税標準額は、固定資産税評価額を基に特例や軽減措置を考慮した上で決定されると解説しました。
すなわち、特例の適用対象となる条件を満たせば課税標準額が下がり、その結果税額も抑えられます。
固定資産税の特例・軽減措置を3つ紹介します。
住宅用地の特例、小規模住宅用地の特例
住宅用地とは人が住むための土地を意味する言葉です。
住宅用地に該当する土地は、固定資産税課税標準額の減額対象となります。
住宅用地の課税標準額計算式は以下の通りです。
- 200㎡までの部分(小規模住宅用地):固定資産税評価額×6分の1
- 200㎡を超える部分(一般住宅用地):固定資産税評価額×3分の1
新築住宅の特例
新築住宅を取得した場合、一定期間にわたって固定資産税の減額を受けられます。
減額される期間は建物の種類によって以下のように異なります。
- ・一戸建て:3年間
- ・マンション:5年間
- ・認定長期優良住宅:5年または7年
なお、いずれの住宅も床面積条件として50㎡~280㎡と定められています。
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置
一定の要件を満たす耐震改修やエネ改修工事などを行うことで適用される措置です。
減額割合や期間は工事の内容によって異なるため、リフォーム実施前の確認をおすすめします。
まとめ
固定資産税は様々な種類の土地・建物に課せられます。
保有している固定資産の内容によっては税額が大きくなり、負担になってしまうでしょう。
固定資産税の金額を最小限に抑えるためには、節税対策が欠かせません。
今回、固定資産税の節税効果が期待できる方法を3つ紹介しました。
どれほどの節税効果を得られるか、どの方法が適しているかは、ケースによって異なります。
固定資産税の効果的な節税のためには、専門家である税理士のサポートを受けるのがおすすめです。
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記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士