創業融資と制度融資、創業時に借りるならどっち?特徴と注意点を徹底比較!

2024.01.11

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創業時の資金調達手段には様々な選択肢がありますが、中でも人気が高い方法として創業融資と制度融資の2つが挙げられます。

どちらも創業時点で申し込める融資というのは共通ですが、異なる点も多数あります。

創業融資と制度融資それぞれの特徴を押さえた上で、どちらを選ぶか入念な検討が必要です。

 

今回は創業融資と制度融資の特徴や注意点を徹底比較し、創業時に借りるならどちらが良いかを考えます。

 

創業時に申し込める融資制度については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

銀行と信用公庫の融資については以下の記事でも解説しています。

 

 

 

CONTENTS

創業融資とは

創業融資とは、創業時に申し込める融資の総称です。

制度融資のうち、創業時から申し込めるものは広い意味ではすべて創業融資に該当します。

 

ただし、創業融資という言葉は「日本政策金融公庫」による創業者向けの融資制度の意味合いで使われるケースも多いです。

本記事でも、「創業融資」は「日本政策金融公庫による創業者向けの融資」の意味で使います。

 

この章では、日本政策金融公庫による創業者向けの融資制度である創業融資について詳しく解説します。

創業融資制度の代表例

前述のように、創業融資は創業時に利用できる融資制度の総称であり、日本政策金融公庫には創業融資に該当する制度が複数存在します。

創業融資制度の代表例を3つ紹介します。

新創業融資制度

新創業融資制度は、新たに事業を始める人および事業を開始したばかりの人を対象とした融資制度です。

以下2つの要件を満たす人が対象となります。

  • ・新たに事業を始める、もしくは事業開始後税務申告2期を終えていない者
  • ・新たに事業を始める、もしくは事業開始後税務申告1期を終えていない者の場合、創業時点における自己資金額が10分の1以上ある

融資限度額は3,000万円、うち運転資金は1,500万円です。

 

新創業融資制度は単体で利用する制度ではなく、他の融資制度と併用して使う制度となります。

返済期間は、併用して使う融資制度が定める返済期間が適用されます。

新規開業資金

新規開業資金は、新たに事業を始める人、または事業開始からおおむね7年以内の人が利用できる融資制度です。

融資限度額は7,200万円、うち運転資金は4,800万円と定められています。

返済期間は設備投資分が20年以内、運転資金分が7年以内です。いずれも2年以内の据置期間を設定できます。

女性または年齢要件を満たす人は、より低い利率の「女性、若者/シニア起業家支援資金」の対象になります。

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は、以下2つの要件を満たす人を対象とした融資制度です。

  • ・次の1から5のいずれかの融資制度の対象となる者
  •  1.新規開業資金
  •  2.新事業活動促進資金
  •  3.海外展開・事業再編資金
  •  4.事業承継・集約・活性化支援資金
  •  5.企業再建資金
  •  
  • ・以下2つの要件を満たす
  •  A.地域経済活性化にかかる事業を行う
  •  B.税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納している

融資限度額は7,200万円、返済期間は5年1ヵ月以上20年以内です。

 

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)の特徴として、融資額を金融機関の資金査定上における自己資本とみなすことができる点が挙げられます。

完済までの間、四半期ごとの経営状況の報告等を含む特約を結ぶ必要があります。

創業融資の特徴

創業融資の特徴を3つ紹介します。

 

1つ目は、申し込みから融資実行までの期間が比較的短い点です。

創業融資の申し込みから実行までにかかる期間はトータルで1ヶ月程度です。

一方、本記事で比較として紹介する制度融資は1ヶ月以上かかるケースも多くみられます。

なるべく早く資金調達したい場合、創業融資の方が適しているでしょう。

 

2つ目は、「特別利率」制度の存在です。

特別利率は一定の要件を満たすことで、より低い税率が適用される仕組みです。

前章で紹介した新規開業資金の「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、特別利率の仕組みを使った制度の代表例といえます。

 

3つ目は、担保や保証人なしでも申し込める融資が複数ある点です。

今回紹介した制度のうち、新創業融資制度と挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は担保や保証人不要と明記されています。

新規開業資金についても、担保・保証人の有無は申込人の希望を聞きながら決定すると案内されています。

創業融資の注意点

続いて、創業融資の注意点を3つ紹介します。

 

1つ目は、後述する制度融資よりも利率が高めな点です。

創業融資と制度融資で借入額が同じでも、利率の違いにより返済総額は創業融資の方が大きくなりやすいといえます。

 

2つ目は、審査のハードルです。

創業融資は審査に向けて入念な準備が必要であり、創業や融資経験のない人が成功させるのは容易ではありません。

とはいえハードルの高さは制度融資と比較した場合であり、銀行融資に比べると利用しやすい制度ではあります。

 

3つ目は、必要書類が多い点です。

融資申し込みに際して必要な書類が多いため、かなりの時間や労力を要します。

制度融資とは

続いて、制度融資について詳しく解説します。

制度融資の概要

制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して実行する融資制度です。

制度融資の窓口は自治体であり、制度の内容にも自治体によって大きな差があります。

 

制度融資には様々な種類が存在し、対象者も制度により異なります。

多くの自治体では創業者向けの制度融資も設けていますが、創業者向けの制度融資の内容も自治体によって異なるため、詳細は自治体の案内をご確認ください。

 

今回は一例として、新宿区の創業資金融資制度の内容を紹介します。

対象となるのは以下いずれかの要件を満たし、かつ、住民税・事業税を滞納していない者です。

  • 1.法人または個人で創業しようとする者
  • 2.分社化しようとする者
  • 3.法人または個人で創業してから5年未満の者
  • 4.分社化により創業してから5年未満の者

融資限度額は1が1,000万円、2が1,500万円、3と4は2,000万円です。貸付期間は7年以内に設定されています。

金利は1.8%以下ですが、うち本人負担は0.2%未満で残りは区負担となるため、金利の負担は非常に小さいです。

制度融資の特徴

制度融資の特徴を3つ紹介します。

 

1つ目は、金利が低めな点です。

前章では新宿区の創業者向け制度融資のみ紹介していますが、他の自治体における創業者向け制度融資も金利が低めに設定されています。

創業者向けのものに限らず、制度融資は金利が低めの傾向です。

 

2つ目は、融資制度の種類が多く、資金使途別に多数設けられている点です。

例えば新宿区には、10を超える制度融資が存在します。

 

3つ目は、申し込みに必要な書類が比較的少ない点です。

融資の申し込みや審査対策に要する手間は、前章で紹介した創業融資よりも軽めといえます。

制度融資の注意点

続いて、制度融資の注意点を3つ紹介します。

 

1つ目は、創業融資に比べて審査に時間がかかる点です。

自治体・金融機関・信用保証協会のそれぞれで審査が行われるため、トータルの時間がどうしても長くなります。

 

2つ目は、自治体による違いが大きい点です。

制度融資の特徴を紹介しましたが、自治体によって異なる可能性があり、結局のところ自治体ごとの案内を確認する必要があります。

 

3つ目は、要件が厳しいケースが多い点です。

創業融資とは別の面で申し込みのハードルが高いといえるでしょう。

創業融資と制度融資のどちらを選ぶべき?

創業融資と制度融資はそれぞれ異なる特徴があり、どちらが良いか一概にはいえません。

自身の状況や希望条件を考慮し、適した方を選ぶ必要があります。

創業融資をおすすめできる人の例

以下のいずれかに該当する人には創業融資をおすすめできます。

  • ・なるべく早く融資を受けたい
  • ・担保や保証人の用意ができない
  • ・創業する自治体の制度融資の内容が希望に合わない

制度融資をおすすめできる人の例

以下のいずれかに該当する人は、制度融資がおすすめです。

  • ・融資実行までの時間にそれほどこだわりがない
  • ・創業予定地の自治体に魅力的な制度融資が存在する
  • ・なるべく低金利で融資を受けたい

まとめ

創業融資と制度融資は、全く異なる特徴を持つ制度です。

それぞれ異なるメリット・デメリットを有しており、どちらを選ぶべきか一概にはいえません。

創業融資と制度融資それぞれについて理解を深め、自身が融資に求める希望条件を明確にした上で、どちらが良いか判断する必要があります。

 

今回、創業融資と制度融資の特徴や注意点、どちらを選ぶべきかの判断基準の例を紹介しました。

どの融資制度を選ぶか悩んでいる人の参考になれば幸いです。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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