
創業融資とは、創業時点でも利用できる事業者向け融資制度の総称です。
創業融資の申し込み条件に「事業が本業であるか否か」の定めはありません。
つまり、サラリーマンの副業目的でも創業融資を受けられるケースがあります。
審査で重視されるポイントも、基本的には本業で創業融資を申し込む場合と同じです。
ただし副業ならではの注意点も存在するため、創業融資の申し込みをする前に確認しておくと良いでしょう。
今回は副業目的で創業融資を受ける際のポイントの紹介や、副業目的の創業融資に関するよくある質問への回答をします。
※本記事では特別な説明がない限り、日本政策金融公庫の創業融資を前提としています。
以下の記事ではサラリーマンの副業での会社設立について解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
会社にバレない副業方法については、以下の記事をご覧ください。
オンライン無料相談 受付中
CONTENTS
副業でも創業融資を受けられるケースはある

結論として、サラリーマンの副業目的でも創業融資を受けられるケースは存在します。
そもそも創業融資とは、創業時点でも利用できる事業者向け融資制度の総称です。
他の事業者向け融資と違い、事業実績や財務諸表ではなく、創業計画や創業者の経歴・現況を審査の材料とします。
すでに事業実績がある場合には、一般的な融資制度と同じように審査で事業実績が用いられます。
融資を受ける条件は制度によって細かな違いがありますが、事業が本業であるか否かの定めは特にありません。
すなわちサラリーマンの副業目的でも、融資を受ける条件さえ満たしていれば申し込み自体は可能です。
副業のために創業融資を受ける際のポイント

副業のために創業融資を受ける際のポイントを5つ紹介します。
本業の勤め先が副業を認めていることが大前提
サラリーマンの副業目的で創業融資を利用する場合、本業の勤め先が副業を認めていることが大前提です。
日本政策金融公庫をはじめとした金融機関はコンプライアンスを重視します。
そのため、申込者がルールを守っているか、ルールを守って行動できるかを審査で入念にチェックする傾向があります。
また、勤め先に副業がバレると副業を継続できなくなる恐れが大きいです。
副業を継続できず収益が発生しない状態が発生すれば、返済にも支障をきたします。
以上の理由から、本業の勤め先が副業を認めていない場合や副業を認めていることが確実ではない場合、融資はほぼ不可能です。
客観的かつ妥当性のある創業計画を立てる
創業融資を受けるためには、客観的かつ妥当性のある創業計画を立てる必要があります。
創業計画とは創業予定のビジネスに関する計画です。創業計画をまとめた資料を創業計画書といいます。
創業計画書の内容は、以下のように融資を判断する上で欠かせない様々な要素の把握につながります。
- ・事業に成功可能性があるか
- ・創業に向けて十分な準備をしているか
- ・創業予定の事業について十分な知識および理解があるか
特に重要なのが内容の根拠と妥当性です。
一見すると大きな利益や順調な返済が期待できる内容であっても、実現可能性が低ければ良い評価は得られません。
それどころか、事業に対する見通しの甘さや知識・準備不足がマイナス評価につながる恐れがあります。
創業計画書の内容はあくまで計画であるため、記入した通りに事業が進む可能性は低いでしょう。
融資の決定後に創業計画書の内容通りに事業が進んでいるかはチェックされませんが、創業融資を申し込む段階では信ぴょう性の高い情報やデータを使い、客観的な根拠に基づいた創業計画を立てる必要があります。
なるべく多くの自己資金を用意する
副業目的か否かに関係なく、創業融資を申し込む際にはなるべく多くの自己資金を用意するのが理想です。
前提として、自己資金がなくても他の要素で返済能力の高さをアピールできれば融資を受けられる可能性があります。
しかし、自己資金がない、または少ない場合、創業に向けた準備が不十分であると判断されてしまう可能性が高いです。
仮に融資を受けられるとしても、希望よりも融資額が少なかったり金利が高かったりと、条件が悪くなることが考えられます。
審査に通過する可能性を上げるため、また融資を好条件で受けるためにも、なるべく多くの自己資金を用意しましょう。
なお、自己資金は融資額の3割程度といわれています。
自己資金の目安については後述の「副業目的で利用できる融資額の目安は?」でも解説しております。
副業事業について経験が豊富な方が有利
創業融資の審査では申込者の事業経験も重視されます。
そして、副業で営む事業について経験があった方が有利になる傾向です。
創業予定の事業の経験がないと、事業に対する知識や理解が不十分と判断されてしまう恐れが大きくなります。
実務面でのノウハウがないため、計画通りに進まないリスクが高いと見なされるのです。
審査に通過する可能性を高めるためには、副業事業について少しでも多くの経験を積むのが理想です。
正社員としての勤務に限らず、アルバイトのような働き方でも経験とみなされます。
支払いの滞納や信用情報のキズがあると審査に通過しない恐れが大きい
副業目的に限らず、支払いの滞納や信用情報のキズ(ブラックリスト入り)があると融資審査に通過しない恐れが大きいです。
支払いの滞納や信用情報のキズは、過去に予定通りの支払いができなかったということです。
金融機関は申込者の返済能力を重視するため、支払いができなかったという事実はかなりのマイナスポイントになってしまうのです。
審査に影響を及ぼす要素として、以下の例が挙げられます。
- ・税金の未払い
- ・債務整理の経験
- ・住宅ローンや自動車ローン等、各種ローンの滞納
- ・携帯電話端末の分割払いの滞納
- ・金融機関からの借入金の滞納
税金の未払いがある場合、未払い分を納付し納税証明書を提示すれば審査に悪影響を及ぼさない可能性があります。
債務整理の経験や各種滞納は、信用情報に記録が残っているうちは融資を受けられる可能性は非常に低いといえます。
信用情報の記録は永久に残るわけではなく5~10年程度で消えるため、審査に影響しないぐらいまでの期間をあけてから申し込むのも1つの選択肢です。
副業目的の創業融資 よくある質問

最後に、副業目的の創業融資についてよくある質問4つにお答えします。
副業目的ならではの注意点はある?
副業目的で創業融資を受ける場合、本業の勤め先が副業を認めている旨の説明がほぼ確実に必要です。
場合によっては副業が認められていることを証明できる書類の提出が求められます。
また、本業との兼ね合いを考慮した現実的な事業計画を作る必要もあります。
たとえば平日に本業の会社で勤務する人が、平日に売り上げが出る想定の事業計画を作ってしまうと、実現可能性がないと判断されてしまうでしょう。
融資を受けるために本業をやめる・抑える必要はある?
基本的に、融資を受けるために本業をやめたり抑えたりする必要はありません。
ただし、本業の業務量や業務時間が原因で副業を進められないと考えられる場合、本業を抑えるといった対策が必要な可能性はあります。
本業と副業を上手く両立し、副業でも利益が出せる想定だと証明することが大切です。
融資を受けられない業種はある?
副業の内容が投資の場合は融資を受けられません。
投資目的の場合、日本政策金融公庫の創業融資に限らず、金融機関からの借入は原則として不可となります。
投資は見通しが難しく不安定であり、回収可能性が低いと判断されるためです。
なお、副業の内容が不動産投資であり、単なる投資目的ではなく不動産賃貸業とみなされた場合は融資を受けられる可能性があります。
詳細は下記の記事をご覧ください。
副業目的で利用できる融資額の目安は?
前提として、融資を受けられる額に本業・副業の区別はありません。
また、融資額はケースによって異なるため、融資額の目安について一概にはいえません。
1つの基準として、自己資金の3倍程度が融資額の目安と考えられます。
日本政策金融公庫の公式サイトで確認できる「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額の平均は以下の通りです。
- ・自己資金:280万円
- ・配偶者、親、兄弟、親戚:50万円
- ・友人知人等:37万円
- ・金融機関等からの借入:768万円
- ・その他:45万円
金融機関等からの借入額は、自己資金の3倍程度となっています。
まとめ
サラリーマンの副業目的でも創業融資を受けられる可能性は十分に考えられます。
副業目的ならではの注意点として、本業の勤め先が副業を認めている旨を証明する必要性が挙げられます。
場合によっては、副業が問題ない旨を証明する書類の提出が必要です。
審査でチェックされる基本的な要素について、本業・副業で特に大きな違いはありません。
妥当性のある創業計画や十分な自己資金、豊富な事業経験などが審査での高評価につながります。
今回紹介した内容を押さえ、創業融資の審査に向けた対策をしましょう。
資金調達に強い税理士によるオンライン無料相談受付中
創業融資・資金調達・補助金申請はサポート実績豊富なBIZARQ会計事務所にお任せください。
現在30分から1時間程度のオンライン無料相談を実施中です。

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士