プロパー融資とは、信用保証協会による保証を受けず金融機関と申込人が直接契約を交わす融資制度です。
プロパー融資と信用保証協会による保証付き融資は、保証の有無をはじめ様々な違いがあります。
たとえばプロパー融資は保証料がかからず利率も低めです。そのため保証付き融資と比べて返済総額を抑えられます。
このように大きなメリットがある一方、注意するべきデメリットも存在します。
それぞれ異なる特徴がありどちらが良いか一概にはいえないため、両者の違いを押さえた上で自身に合う融資を選ぶことが大切です。
今回はプロパー融資の特徴や、保証付き融資との違いについて詳しく解説します。
信用保証協会については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
保証人と連帯保証人の違いについては、以下の記事をご覧ください。
CONTENTS
プロパー融資とは
プロパー融資とは、信用保証協会による保証を受けない融資です。
金融機関と借入人(申込人)が直接契約を交わします。
そもそも信用保証協会による保証とは、融資を受ける人の債務保証を意味します。
保証付き融資の場合、借入人が返済できなくなった場合は信用保証協会が残債の返済を肩代わりする仕組みです。
一方でプロパー融資の場合、借入人が返済できなくなれば金融機関は残債を100%負担することになります。
このようにプロパー融資は金融機関にとって非常にリスクが高い制度です。
プロパー融資と保証付き融資の違い
プロパー融資と保証付き融資の違いを一言でいうと、保証の有無です。
そして保証の有無が、他にも様々な違いを生んでいます。両者の違いを5つ紹介します。
申し込み方法
プロパー融資は金融機関と借入人が直接契約を交わす融資と紹介しました。
したがって申し込み方法は、金融機関に直接申し込む方法のみです。
一方、保証付き融資は制度によって以下2つの選択肢があります。
- ・金融機関に直接申し込む
- ・信用保証協会を通じて申し込む
どちらの申し込み方法でも、金融機関と信用保証協会の両方で審査が行われます。
保証料の有無
融資における保証料とは、信用保証協会に支払う手数料のことです。
保証料は融資額の〇%と定められているのが一般的であり、融資額が大きくなるほど保証料も大きくなる仕組みです。
プロパー融資は保証がつかないため、当然ですが保証料の支払いも発生しません。
融資限度額
保証付き融資の限度額は、無担保の場合は8,000万円、担保有りの場合は2億8,000万円となります。
便宜上融資限度額と表現していますが、厳密には信用保証協会による保証限度額です。前述した金額を超えると保証をつけられません。
したがって、保証付きの融資は保証限度額がイコール融資限度額となります。
一方、プロパー融資には明確な融資限度額が存在しません。
企業の実績や信用次第で高額の融資を受けられる可能性があります。
ただしプロパー融資に該当する制度であっても、金融機関や制度によっては個別で融資限度額を定めているケースも多いです。
金利
プロパー融資は保証付き融資に比べて金利が低い傾向です。
大前提として、プロパー融資は万が一返済不能になった際に金融機関が100%の負担をすることになります。
そのため、金融機関は信頼できる事業者としかプロパー融資の契約を結びません。
言い換えると、プロパー融資ができると判断された場合、その時点でかなりの優良企業と言えます。
このようにプロパー融資は確かな信用のもとで成立するため、金利も低めになりやすいです。
返済期間の長さ
プロパー融資は保証付き融資よりも返済期間が短めです。
プロパー融資は返済不能になった際に金融機関が100%負担することになる制度であり、貸し倒れリスクが高いといえます。
そして返済期間が長ければ長いほど、期間中に経営状況や資金繰りが悪化する恐れが大きくなります。
したがってプロパー融資は回収可能性を高めるため、返済期間が短めに設定される傾向です。
ただし、すべてのプロパー融資で返済期間が短めとは限りません。
金融機関との信頼関係を構築できており、リスクが低いと判断されれば、返済期間を長く設定できるケースもあります。
プロパー融資のメリット
この章ではプロパー融資のメリットを3つ紹介します。
支払い総額を抑えられる
プロパー融資の大きなメリットの1つが、支払総額を抑えられる点です。
前章で紹介したように、プロパー融資は金利が低めに設定されています。
また、信用保証協会への保証料の支払いも必要ありません。
金利が低く保証料も発生しないため、融資額が同じであればプロパー融資の方が支払い総額を抑えられるのです。
信用力の向上につながる
プロパー融資を受けられたという事実は信用力の向上につながる要素です。
プロパー融資は金融機関にとってリスクが高い仕組みであるため、企業の信用度や返済可能性をかなり厳しくチェックします。
そのため審査のハードルが非常に高く、プロパー融資を受けるのは容易ではありません。
その分、審査に通過しプロパー融資を受けられることが決定した企業は、金融機関から高く評価された企業と言えます。
プロパー融資を受けた事実があれば、外部からの信用を獲得しやすくなるでしょう。
大きな取引をしやすくなる、別の金融機関からの融資を受けやすくなる等、様々な効果が期待できます。
審査期間が短め
プロパー融資は保証付き融資に比べて審査機関が短めです。
あくまで1つの目安ですが、無担保の場合は2~3週間程度、担保有りで長い場合でも1ヶ月程度で審査結果が通知されます。
一方、保証付き融資の審査機関は短くても1ヶ月程度、長いと1ヶ月半程度とかなり長めです。
金融機関だけでなく信用保証協会でも審査が行われるため、トータルの審査期間が長くなってしまいます。
申し込みの内容や書類不備の有無によっては、より長い期間を要する可能性もあります。
急ぎで資金調達が必要な事業者にとって、審査期間が短く済むのは強い魅力といえるでしょう。
プロパー融資のデメリット
続いて、プロパー融資のデメリットを紹介します。
審査が厳しい
プロパー融資の最も大きなデメリットは審査が厳しい点です。
プロパー融資は金融機関にとって非常にリスクが高い仕組みのため、保証付き融資と比較してどうしても審査が厳しくなります。
以下のように複数の面において高いハードルをクリアしなければなりません。
- ・返済計画の妥当性
- ・企業の財務状態
- ・過去の事業実績や経営成績
- ・今後の事業計画
- ・各種懸念要素の有無
保証付き融資は多少の懸念要素や評価が低い点があっても、ほかで補えれば審査に通過するケースも多いです。
しかしプロパー融資はすべての基準が高水準でなければ審査に通過できないと考えるべきでしょう。
毎月の返済額が大きくなりやすい
プロパー融資は毎月の返済額が大きくなりやすいです。
保証付き融資との違いの1つとして紹介したように、プロパー融資は返済期間が短めの傾向です。
融資額を短い期間で完済する必要があるため、一度に支払う額が高額になってしまうのです。
保証付き融資に比べて金利が低く保証料の支払いも発生しない分、返済総額は抑えられます。
ただし毎月の返済負担は大きいため、資金繰り悪化の恐れが大きい点には注意が必要です。
まとめ
プロパー融資は信用保証協会による保証がなく、金融機関と借入人が直接契約をする融資です。
保証付き融資を比較すると、保証の有無による様々な違いがみられます。
たとえばプロパー融資は金利が低めで保証料の支払いが不要な分、融資額が同じであれば返済総額は少なくなります。
審査期間が短めな点も大きなメリットといえるでしょう。
一方、審査が厳しく融資を受けるのが容易ではない点や、毎月の返済負担は重くなりがちな点がデメリットとして挙げられます。
プロパー融資と保証付き融資はどちらも異なる特徴がある上、融資の受けやすさに大きな違いがあります。
それぞれの違いを押さえた上で、自社に合う融資制度を選びましょう。
経営判断を迅速にサポート
創業融資・補助金申請はBIZARQにお任せください。
全国オンライン対応・ご相談は無料です。
記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士