個人事業主の節税対策とは?おすすめテクニック8選!

2022.12.14

個人事業主が納付する税金の額は、節税対策しているかどうかによって大きく変わります。
節税対策と聞くと、専門知識や特別なテクニックが必要とイメージするかもしれません。
しかし、節税対策テクニックはちょっとした知識や工夫だけで簡単に実施できるものがたくさんあります。

 

今回は、個人事業主の節税対策としておすすめのテクニックを8つ紹介します。

 

法人の節税テクニックについては、以下の記事をご覧ください。

 

 

会社員の節税テクニックについては、以下の記事をご覧ください。

 

CONTENTS

個人事業主の節税対策として効果的な方法を紹介

個人事業主の節税対策テクニックについて、それぞれ効果的な理由や具体的な進め方を紹介します。

青色申告にする

確定申告の方法には白色申告と青色申告の2種類がありますが、節税効果が大きいのは圧倒的に青色申告です。
青色申告のメリットを以下に紹介します。

青色申告特別控除を受けられる
青色申告では最大65万円の特別控除が受けられます。

支払った給与を経費にできる
自身の事業を家族や親族が手伝っているなどの場合、支払った給与全額の経費計上が可能です。
(白色申告は上限額が決まっています)

赤字を繰り越せる
事業で生じた赤字を最大3年間繰り越せます。
たとえば前年に50万円の赤字、当期に200万円の黒字が出ていた場合、相殺して当期の黒字を150万円として計算できます。

 

青色申告を行うためには、税務署に所得税の青色申告承認申請書の提出が必要です。
白色申告の大きな違いとして、以下の3点が挙げられます。

・複式簿記での記帳が必要
・仕訳帳、総勘定元帳などの保管が必要
・確定申告書に加え、青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)の提出が必要

白色申告よりも青色申告の方が会計処理など経理上の手間は大きくなります。
しかし、それ以上に大きな節税効果が得られるため、個人事業主が節税対策をするには青色申告が大前提といえるでしょう。

経費をもれなく計上する

経費にできる支出を漏れなく計上することも、節税対策のために注意したいポイントです。
経費の額が大きくなればそれだけ所得額が小さくなり、節税につながります。

今回は経費にできる支出のなかでも、特に見逃しやすい(=計上漏れをしやすい)例を紹介します。

旅費交通費
取引先と外で打ち合わせをするためなど、事業に関連する移動に要したバス代や電車代などは、旅費交通費として計上可能です。
ただし、プライベートの交通費は計上できません。

消耗品費
事業に使う文房具や10万円未満の什器備品も経費計上が可能です。

通信費
事業でインターネットを使う場合のネット料金、取引先や税務署などへ書類を発送した際の送料、事業に要する電話代などが計上できます。

接待交際費
取引先との飲食費や取引先への差し入れ代なども経費計上が可能です。

会議費
カフェで仕事をする際の飲み物代などを会議費として経費計上できます。
ただし一人でカフェを利用した際に計上できるのは飲み物代だけで、食事代は計上できません。

また自宅で仕事をしている場合、水道光熱費や家賃の一部も経費計上が可能です。
仕事で利用しているスペースの面積や時間などで按分します。

たとえば60㎡の自宅のうち15㎡の一室を仕事部屋として使っているのであれば、家賃の25%(15÷60)を経費にできます。

控除をもれなく計上する

所得控除は、収入から経費を差し引いた所得から差し引きます。
経費同様、もれなく計上するようにしましょう。

所得控除には、以下のようなものが挙げられます。

基礎控除
すべての納税者に適用される控除で、控除額は38万円です。

配偶者控除
配偶者の所得が48万円以下の場合に適用される控除です。


配偶者特別控除
納税者の所得が1,000万円以下且つ、配偶者の所得が48万円以上133万円以下の場合に適用される控除です。

扶養控除
同一生計の扶養親族に適用される控除です。被扶養者の年齢によって控除額は異なります。

勤労学生控除
通学しながら働いている学生に適用される控除です。

障害者控除
納税者本人、同一生計の配偶者・親族が障害者である場合に一定額が控除されます。

寡婦・寡夫控除
納税者本人が寡婦・寡夫の場合に適用される控除です。

ひとり親控除
納税者本人がひとり親の場合に適用される控除です。

医療費控除
納税者本人と同一生計の配偶者・親族の医療費の一定額が控除されます。

社会保険料控除
納税者本人と同一生計の配偶者・親族の社会保険料が控除されます。

小規模企業共済掛金控除
小規模企業共済や確定拠出年金などの掛金全額が控除されます。


生命保険料控除
生命保険、介護保険、個人年金保険の掛金が一定金額控除されます。

地震保険料控除
地震保険の掛金が一定額控除されます。

雑損控除
災害や盗難などによって損害を受けた時に一定額が控除されます。

寄附金控除
ふるさと納税などの特定寄付金がある場合に控除されます。

生命保険や個人年金に加入する

生命保険や個人年金への加入も節税に効果的です。
生命保険料や個人年金保険料の支出があれば、生命保険料控除の活用ができます。

なお、生命保険料控除は確定申告書で申告しない限り適用されません。
保険料の支出をしているとはいえ、自動的に税額が調整されるわけではないのです。

すでに生命保険や個人年金に加入済みで保険料を支払っている人は、計上できる保険を漏れなく申告しているか確認しましょう。

共済に加入する

個人事業主向けの共済に加入するのも、節税対策として効果的なテクニックです。
単純に掛金を所得控除にできるだけでなく、将来への備えという意味でも大きなメリットがあります。

個人事業主におすすめの共済制度を2つ紹介します。

小規模企業共済
個人事業主の退職金のような制度です。
掛金は月々1,000円から70,000円までの範囲で自由に設定でき、支出した掛金が所得から控除されます。


経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
取引先事業者が倒産した際の経営難に備える制度です。
取引先事業者が倒産した際、無担保・保証人なしで借入を利用できます。
掛金は月々5,000円から20万円の範囲で設定します。

iDeCoやNISAを活用する

iDeCoやNISAの活用も、節税対策として効果的な方法です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)
個人で積み上げる年金という性質を持ち、掛金全額の所得控除が受けられます。
掛金は預金や投資信託として運用され、発生した運用益は非課税となります。
自身の負担を最小限にしながら運用ができるうえ、支出した掛金は所得控除が受けられるという、個人事業主の節税に適した制度です。

NISA
掛金の所得控除が受けられるわけではないため、iDeCoほどの節税効果はありません。
しかし、NISAによって発生した運用益は非課税となるため、事業と合わせて投資信託をしたいと考えるのであれば、ぜひ利用したい制度です。

ふるさと納税を行う

ふるさと納税は、好きな自治体を選んで寄付を行い、その自治体からお礼として返礼品を受けられる制度です。
寄付した金額のうち自己負担額2,000円を引いた額が寄附金控除の対象となり、所得控除および住民税の控除を受けられます。

ふるさと納税は支払った金額から自己負担額を引いた分が控除される、いわば税金の先払いに近い制度ですが、返礼品がもらえる・応援したい自治体を選べるなど、さまざまなメリットがあります。

ただし、支払った額から自己負担額2,000円を引いた全額が控除対象になるとは限りません。
控除を受けられる金額の上限は、総所得金額等の40%です。
節税効果をしっかり得るため、自身の上限がいくらであるかを考えたうえでふるさと納税を行いましょう。

個人事業主が利用できる特例制度を活用する

個人事業主が利用できる特例制度のなかには、節税につながる方法が存在します。
節税効果のある特例制度について紹介します。

少額減価償却資産の特例

30万円未満の固定資産を購入した年に一括で経費計上できる制度です。

通常10万円以上30万円未満の固定資産は耐用年数に応じて減価償却が必要ですが、一括で費用計上をすることで経費を大きく・所得を小さくできるため、節税につながります。
青色申告が条件であり、年度内の合計額が300万円未満という上限もあります。

短期前払い費用の特例

家賃や生命保険料など、半年や1年といった一定期間の料金を前払いするサービスについて、一定の要件を満たした場合、翌年度のサービス利用に関する費用も当期の経費として計上できる制度です。

経費計上できる金額が大きくなるため所得を抑えられ、節税につながります。

法人化も個人事業主が利用できる節税手段のひとつ

個人事業主として事業を続けるのではなく法人化するのも、大きな節税につながる方法です。
法人化することで、事業主本人の給与を経費にできる、妥当な範囲内の退職金であれば損金算入できるなどのメリットがあります。

また、所得税は所得額が大きくなるにつれ税率が高くなる累進課税制度です。
一方で法人税は利益に関係なく税率が一定であるため、所得額が大きい場合は法人の方が支払う税額が小さくなります。
あくまでひとつの目安ですが、所得が600万円を超えた個人事業主は、法人化を検討するのがおすすめです。

まとめ

このように、個人事業主が活用できる節税対策にはさまざまなテクニックがあります。
どれも簡単に実施できるものであるにも関わらず、やるかやらないかによって税額が大きく変わります。
節税対策は「知っていること」「実施すること」の2つが非常に重要です。

今回紹介したテクニックを活用し、上手く節税しましょう。


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吉岡 伸晃

記事監修
BIZARQ合同会社代表公認会計士

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